[727](寄稿)子宮頸がんワクチンの定期接種、「積極的勧奨を差し控えている状態を終了させることについて反対する意見は無かった」(厚労部会長)

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ペンギンドクターより
その1 
 
 私は連日8000歩以上の散歩をノルマとしていますが、女房は私の行動を冷やかにみていました。ところが、彼女も先日受診した内科の外来で肝機能異常から「脂肪肝」を指摘され、それから一念発起ジョギングモードになってきました。コロナ禍で、「カーブス」での運動も避けていたせいかもしれません。車で数分走り土手のそばの温水プールの駐車場に車を置いて、渡良瀬川の土手を走っているようです。1-2分走っては歩くのだそうです。この土手からは白い富士山や浅間山、奥白根、日光連山も見える関東平野のど真ん中です。もちろん私は別行動で公方公園内を散歩です。

 転送する山本加奈医師の主張は今年8月7日時点のものであり、その後11月12日の厚労省の合同部会でHPVワクチンの積極的勧奨再開へと動き出しました。ニュースだけでもいいのですが、やはり山本医師の具体的な経験があるほうがわかりやすいと思いますので転送します。

●HPVワクチン、積極的勧奨「再開」へ、厚労部会了承
 差し控えから8年半、部会長「差し控え終了への反対意見なかった」
 
レポート 2021年11月12日(金)配信 
橋本佳子(m3.com編集長)
 「HPVワクチンの接種を進めるに当たり必要となる具体的な進め方について、本日さまざまなご意見を頂戴したが、HPVワクチンの定期接種の積極的な勧奨を差し控えている状態を終了させることについて反対である意見は無かったと理解している。本日の審議会においては、HPVのワクチンの定期接種の積極的な勧奨を差し控えている状態を終了させることが妥当である」

 11月12日の厚生労働省の合同部会で、部会長の森尾友宏氏(東京医科歯科大学発生発達病態学分野小児科教授)が議論をこう締めくくった。11月15日の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会に諮った上で、厚労省が積極的勧奨の再開に向けた通知等を発出するスケジュールとなる。「合同部会や分科会の意見を踏まえ、行政的な対応を総合的に判断するという建付けで考えている。なるべく早期に判断して、お示しすることを予定している」(厚労省事務局)。通知等には、「再開」時期なども盛り込まれる見通し。
 〔中略〕
 12日の合同部会は、「HPVワクチンの接種を進めるに当たり必要となる事項」として、(1)有効性・安全性、(2)接種後に呈した症状への対応、(3)情報提供、(4)接種対象年齢が過ぎた方へのキャッチアップ接種――のうち、(1)から(3)についての議論、(4)について、積極的勧奨再開決定後、予防接種・ワクチン分科会で検討する。
 これらの事項を議論した上での「論点」は下記で、冒頭に紹介した森尾部長の議論の取りまとめに対し、異論は一つも出なかった。

 今後、HPVワクチンの安全性を引き続き評価し、HPVワクチン接種後に何らかの症状が生じた方の相談体制が医療体制を強化するとともに、こうした症状に苦しんでいる方に寄り添った支援策を継続し、HPVワクチンに関する情報提供を継続していく。
 以下、厚労省の提示したまとめ(案)があります。省略しますが、HPVワクチンの課題への今後の対応の方向性(案)と論点として、
 1、HPVワクチンの安全性・有効性に関する最新のエビデンスについて
 2、HPVワクチン接種後に生じた症状に苦しんでいる方に寄り添った支援について
 3、HPVワクチンに関する情報提供について
が、詳細ではありますが、やや抽象的に述べられています。落ち度のないお役人の文章です。

▼皆様はどのように感じられますか。「反対意見はなかった」というのがいかにも日本的です。では、この空白の8年半は何だったのか、と言いたくなります。異論が無くなるまで十分検討されてきたというより、マスコミが話題にするニュース性が薄れてくるのを待ったというのか、新型コロナウイルスワクチンの接種が急がれる今、HPVワクチン接種を放置するのはまずいのではないか、という判断が出てきたのか、私は釈然としないものを感じます。8年半前私もパート医として中学生女子のワクチン接種を何度かやったことを思い出します。
 ここで私の個人的な古い経験をひとつお話します。都立駒込病院病理科にいた時のことです。進行した子宮頸がんの切除標本が病理科に届けられました。当番だった私は、その子宮全摘、両側卵管・卵巣切除の標本を持参した産婦人科医の前で、子宮前方にハサミで割を入れて、子宮の内面をよく見えるように開きました。すると羊膜に包まれたもう十分人間と判断できる赤ちゃんが出現したのです。それを私はそっと写真台において、数枚のスライド写真を撮影しました。大きな癌腫とそのそばに静かに丸まって眠っている赤んぼの姿は今も私の脳裏に鮮やかに浮かんできます。撮影後、私はそれを板に張り付けた後、ホルマリンたっぷりのバケツに入れました。数日後、再びその固定標本の写真を撮りました。その時も静かに赤んぼは眠っていました。
 子宮頸がんというと、私には私なりのイメージがあるというわけです。
 HPVワクチン接種に伴うと疑われた症状に類似の痛みとして、今も8年半前も「線維筋痛症」あるいは「若年性線維筋痛症」は難病として存在しています。原因はわかっていません。ただ、WHOでは当時もHPVワクチンが原因ではないという評価をしていました。その評価は合同部会でどういう結論になったのか、私にはわかりません。