[865](寄稿)医療あれこれ(その66)

ペンギンドクターより
その3

ここで「膵がん」についてです。
 膵がんが最も予後不良のがんであることはご存知でしょう。10年生存率は約5%です。つまり治癒率はわずか5%ということです。私の同級生も3人診断後一年で死亡しています。手術不能でした。すべて男性ですが、膵がんはほぼ男女比が1:1で、他のがんの男女比が2:1に比べて女性にも多いがんです。もちろん乳がんは圧倒的に女性ですが。
 手術できても私の手術した約10人ほどはすべて2年以内に再発死亡しました。
 女房の親友の場合、腹膜播種(腹膜転移)で見つかったので、予後は当然1年以内大体半年以内というのが、今までの実情でした。しかし、彼女の場合、東大病院の看護学校卒で、癌研病院の看護部長であったこともあり、新薬の腹腔内注入と点滴静注の化学療法を一年前から開始ししました。副作用で髪の毛はなくなったものの全身状態良好で故郷の新潟の家と東京の自宅を往復していろいろ友人や親戚とも会って日常を過ごしていました。CEACA19-9という腫瘍マーカーも正常化しました。しかし、徐々に腫瘍マーカーの再上昇と腰痛で発症した骨転移が見つかって、明日18日から放射線照射をすることになったのです。まずは12日間連続照射のようで、女房ともう一人千葉在住の同級生が「お見舞い」に行くことになったということです。
 その結果はひどい腰痛も不思議に昨日は軽快して、話が弾んだようです。
 PETでの腰椎転移で、今のところ他の転移は見つかっていないので、期待はできますが、常識的にはあと一年以内かという延命でしょうが、本人の希望だった73歳まで生きたいという望みは、まずは一年余り経過したので成就した形です。今後の推移を見守るだけです。

 もうひとつ、先日私がこの間まで勤務していたクリニックの理事長から、「至急のお願い」というメールが先日飛び込んできました。常勤の医師が「胃がん」と診断されたので、医大胃がん担当の教授のメールアドレスを教えてほしいという依頼でした。6年前に同級生のHさんの手術をしてくれた教授のアドレスです。すぐに教えて、私からも「よろしく頼む」と教授に依頼しておきました。理事長からのメールが午後6時半、私の返事が7時過ぎ、私からの教授へのメールがそのすぐ後、そして理事長からの教授宛の依頼、その内容は私と当事者の胃がんになった医師にも知らされ、滞りなく、午後9時には胃がん患者自身から診断の経緯と来週の教授の外来受診の日時まで決定しました。
 ネットによるメールのやり取りは、適時メールを開くことが必須ですが、それさえあれば、あっという間に共有できて便利なものです。

 発見された胃がんの状況は、詳細は今後の検査ですが、経緯は以下のようなものです。

 ピロリ菌の除菌をした(いつかは不明)後、その後のチェックをしていないので昨年12月に近医でピロリ菌の呼気試験と胃カメラをした、ピロリ菌は陰性となった、胃カメラで「びらん(浅い潰瘍)」があったが、光テストで問題なしだった。今回4月2日再び胃カメラをしたら、びらんの一カ所に異常があり、生検で「印環細胞がん」が見つかったというものです。
 私の推定ですが、恐らくは早期胃癌だろうと思いますが、いわゆる「未分化ガン」ですので、内視鏡による粘膜切除では不十分で手術的に胃の部分切除が必要と思われます。
 しかし、ピロリ菌の除菌のあとのチェックのおかげで発見されたわけですから、ピロリ菌の除菌のおかげとも言えるでしょう。
 Hさんの場合、奥さんはピロリ菌除菌をしたのに、本人はピロリ菌の陽性を無視して放置し、その後胃カメラはやっていたものの除菌せず5年後に進行癌が見つかりました。除菌していたら胃がんにならなかったと言えるかどうかは微妙ですが、除菌の必要性は間違いなくあると私は思います。でもHさんも進行癌が治癒して本当に良かったと思います。

 以下の高橋教授の文章には、・・・・・・のようです、という曖昧な表現が多過ぎます。マスクにより空気中に浮遊しているウイルスが除去できるというのもおかしい。こういう文章を発表する教授とは何者かと調べたら、1994年の東大医学部出身で、もともと小児科出身らしいものの、かなりいい加減な人ではないかと思いました。
 では。今日はこのへんで。

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「自宅療養」の注意点とは?「家族内感染」を防ぐために

この原稿は幻冬舎ゴールドオンライン(4月3日配信)からの転載です。
https://gentosha-go.com/articles/-/41993

帝京大学大学院公衆衛生学研究科 教授

高橋謙造

2022年4月14日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
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●オミクロン感染者は「自宅療養」のケースも多い

 本稿執筆時点(2022年3月28日)の段階では、まだオミクロン株の勢いが衰えていません。オミクロン株は感染してから発症までの期間が短く、また、感染者の約半数が3日以内に発症(発熱などの症状が現れる)しますが、発症2日前から他人への感染力を発揮するようです。しかも、その感染力は強いようです。そのためか、オミクロン株が主流になってから10歳以下の小児の感染も明らかに増えてきています。

 ただし、オミクロン株は感染しても喉周りで繁殖するのが好きらしく、あまり肺には進んでいかないようです。したがって、肺炎にはなりにくく、以前の感染よりも軽症であるケースが多いようです。

 そのこともあってか、軽症の患者さんでは自宅療養がすすめられるケースが多いようです。

 しかし、自宅療養の結果、家族に感染させてしまうケースもよく耳にするようになりました。このような家族内感染を経験している方たちのお話をお聞きしていると、ある共通点に気づきました。そこで、本稿では「家族が新型コロナに感染してしまったとしたら自宅療養で気をつけること」についてお伝えします。

●消毒、洗濯、手袋の使用…基本中の基本だが重要な対策

 まずは、誰もが当たり前にやっていることは共通しています。まめに消毒すること、パジャマなどの洗濯、感染者が使用した食器の片付け、使用済みのティッシュペーパーの処分などで直接手を触れないように手袋など使用することなどです。これらは、接触感染の対策としては非常に有効です。また、感染者が部屋の中に隔離状態で閉じこもり、直に接しないようにすることは、飛沫感染の予防にも有効です。「対策は十分にとっているのに、それでも感染してしまった!」という声をお聞きします。しかし、これだけでは十分とは言えないのです。

 感染対策の盲点…忘れてはいけない「空気感染」
 では、抜けている対策とは何でしょうか? 新型コロナ感染の経路は、接触感染、飛沫感染だけではありません。空気感染も重要な経路なのです。患者さんが咳き込んだりして排出したエアロゾルにはウイルスが含まれています。エアロゾルは軽いので、ふわふわと空中を漂い、ウイルスを運びます。この対策が重要なのです。

 では、どう対策を取ればいいのでしょうか?

-「マスク装着」で吸い込みを予防し、「換気」を徹底-

 「家の中くらい、マスクは外したい」と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、患者さんが安定するまでの間は、マスクを装着していた方が安心なようです。不織布マスクを使っておけば、空気中に漂うエアロゾルの吸入予防になりえます。家庭内だからとうっかりとマスクをしていないという方が、かなりいらっしゃるようです。もう一つの重要な対策は、換気です。エアロゾル対策としては非常に有効です。できれば30分に5分以上か、1時間に10分以上は換気をしたいものです。この換気により、空気中のエアロゾルはかなり減らすことが可能なようです。マスク装着と換気は、絶対に徹底してみてください。

-「逆隔離」という奥の手も-

 もし、家族に高齢者の方などいて、基礎疾患がある場合には、感染が命取りになる可能性も否めません。従って、どうしても感染を回避したい場合には、その方を連れてホテルや別の家にこもるという手があります。感染した患者さんを部屋に隔離するのではなくて、健常者のほうを逆に隔離するのです。これは場合によっては、高齢者の方を孤独な環境においてしまうことにもなるので、必ずしもおすすめはしませんが、付添の家族が確保できて、こもる場所を確保できるなら考えてもいいかもしれませんね。

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