[1110]福島第一原発事故の教訓を破棄、「低減から最大限活用」へ

 政府は22日、原発の新規建設や60年以上の運転を認めることなどを盛り込んだ「GX(グリーン・トランスフォーメーション)実現に向けた基本方針案」をとりまとめました。来年に閣議決定するつもりです。

 8月のGX実行会議で方針転換を表明して4カ月しかたっていませんが、2011年の東京電力福島第一原発事故後に堅持してきた政府の方針を大転換しました。 

原発依存の低減から最大限活用へ

 政府の 基本方針案では、原発を「最大限活用する」として、大きく二つの政策転換を打ち出しました。

 一つは原発の新規建設。政府はこれまで「現時点では想定していない」としてきましたが、「将来にわたって原子力を活用するため、建設に取り組む」と明記しました。政府は「次世代革新炉」という改良型の原発を想定しています。

 もう一つは、原発の運転期間の延長です。原発事故の教訓をもとに原則40年、最長20年延長できると定めたルールを事実上変えます。再稼働に必要な原子力規制委員会の審査期間や、運転差し止めの司法判断などで停止した期間を運転期間から除きます。仮に10年間停止した場合、運転開始から70年まで運転できるようになります。

運転延長を審査するのは経産省

  これまで40年を超えて運転する場合、原子力規制委が安全性を審査して認可してきました。今後は経産省が電力の供給力や脱炭素など「利用政策」の観点から審査することにするといいます。規制委は運転開始から30年を迎える前に安全性を確認し、10年ごとに審査していくだけです。

(以上、参照朝日新聞

 安全性から必要性へ

 原発の運転期間規制の基準が安全性ではなく、その時の政府経産省の政策に変えられました。政府が必要と判断すれば運転期間の延長が検討されることになるのです。

 福島第一原発の事故で未だに避難している方がNHKラジオのインタビューで政府の方針転換に次のように答えています。

「私たちはまだ避難しているのです。とても納得できません。」

 

 2022年の12月、日本政府は軍事•エネルギー政策の大転換を行い、歴史の分水嶺を右方向に進みはじめました。