[1168](寄稿)医療あれこれ(その76)−2

 転送するのは、話題になっている東大の医学生杉浦さんの留年問題です。(編集者註∶明日掲載します。)他にもMRICには彼を擁護する主張が見られます。下記の主張の関家氏は弁護士さんでしょうか。時代の変化に疎い東京大学の現状が浮彫りになっています。それと直接の関連はないのですが、群馬大学での留年問題が話題になっています。
 2022年の医学部3年生で、「必修授業:指名された学生が即興演劇をするという独特の形式で、ペーパーテストなしで8人の不合格とされた学生の一部」が群馬大学当局に質問状を提出したというニュースがありました。その教授は不合格にする人数が以前から多く学生の間で問題になっていた。
 その問題に対し、大学当局が救済措置を行うと言明したというニュースがその後ありました。
 説明困難な不合格というのは、以前からあったということでしょうが、群馬大学当局の対応にも、東大杉浦さんの訴訟問題が影響しているかもしれません。
 私自身、ストライキの解除後の授業が始まり、生化学や病理学の試験で落ちて、生化学などはビーコンにも落ちて、トリコンになり、教授面接で、「生化学の勉強はしたかね」と聞かれ、「先生、勉強する気になる状況ではありませんでした」と言ったら、「じゃあ、これから勉強するということで通しておこう」と単位をもらいました。私の場合、騒然とした激動の時代でしたが、今もコロナは大きな問題です。私立大学の状況はわかりませんが、群馬大学医学部と言えば、肝臓手術の問題で世間を騒がせたところです。国立大学の教授となれば「一国一城の主」で他から文句を言えない風潮があるのでしょう。
 日本の医療・医学の世界は遅れています。
 数年前に亡くなった東大旧第一外科の教授が死ぬ少し前でしたが、日本外科学会の理事長講演に選んだのが、「To err is Human」(人は誰でも間違える)という1999年12月にアメリカで出た本についての講演でした。アメリカでは医療ミスで年間10万人が死亡しているという衝撃的な現実を扱った本でした。発行後20年近く前の本を取り上げるのですから、遅すぎます。私は医事紛争を扱っていたので、その本については知っていました。
このへんで今回はやめておきます。では。
つづく