[1171]敵基地攻撃能力と憲法

 2月22日の天声人語、怒ってます。敵基地攻撃能力と憲法についてです。

(国会で岸田首相が)「······いまや米軍に依存せずに『自ら守る努力が不可欠だ』と答えた。▼ならば、政府は憲法解釈を変えた、と考えるのがふつうだろう。だが、首相は『変更しておりません』。出来の良くないロボットの不条理な応答を聞くようで、まったく理解に苦しむ。単に憲法の議論を避けたいだけではないか、と疑いたくなる。」▼国家権力を縛るための憲法の解釈を、時の政権が勝手に曲げる。そして曲げたことすら認めない。罪は二重に重い。」

 天声人語子が言うことはその通りだと思います。しかし今や現政権は「国家権力を縛るための憲法」という考えは過去のものにしています。憲法の縛りという建前を意識的に形骸にして踏み超えています。法に基づく民主主義的統治の装いさえ能面のような無表情ではぎ捨て、議会内多数派を背景としていわば内閣専決による強権的支配をサラリと行っているのです。体制内化した労働運動に助けられつつ。

 あらためて確認します。岸田首相が敵基地攻撃能力(反撃能力)を保有することを合憲だと言いはるのは、現行憲法9条を事実上破棄したということを意味しています。岸田首相は22日国会で反撃能力について「図などを活用した分かりやすい説明は重要だ」と語りました。

 私は対立する国家の基地に自衛隊が武力攻撃すること(敵基地攻撃)を憲法に沿った行為だというのは憲法9条破棄宣言だと断定しなければならないと思います。そしてこれから、政府は憲法の条文を変えることによって自衛隊が敵基地攻撃能力を持つこと自体に反対するのは憲法に違反する行為として取り締まっていくことを黙示しているのです。