[1266]「中国・中央アジアサミット」開催

 中国がG7サミットに対抗して「中国・中央アジアサミット」を主催しました。

以下JETROのビジネス短信を参照してまとめます。

 中国の陝西省西安市で5月18~19日、中国と中央アジア5カ国による「中国・中央アジアサミット」が開催されました。習近平国家主席のほか、カザフスタンのカシムジョマルト・トカエフ大統領、キルギスのサディル・ジャパロフ大統領、タジキスタンエモマリ・ラフモン大統領、トルクメニスタンのセルダル・ベルディムハメドフ大統領、ウズベキスタンのシャフカト・ミルジヨエフ大統領が参加しました。

 習近平は19日の基調講演で、主権、独立、民族の尊厳、長期的発展などの核心的利益に関する各国との協力のほか、内政干渉、「カラー革命」、「三つの勢力」(注1)への反対を呼びかけました。その上で、産業、投資、農業、交通、危機管理、教育、政党などの分野での対話メカニズム構築や、鉄道・道路の相互接続、エネルギー分野での協力拡大などを示しました。

 また、中央アジア諸国の発展に向け、260億元(約5,200億円、1元=約20円)の融資と無償援助を行うとしました。

 19日には「中国・中央アジアサミット西安宣言」が発表され、今後の方向として、参加国は中国・中央アジア運命共同体の構築に向けて協力するとされました。また、サミットは2年ごとに開催し、中国と今回参加した5カ国のうち担当となる国が交代で主催(注2)するとしました。常設事務局設置についても検討する。その他、2023年にウズベキスタンで食糧安全保障に関する国際会議を開催することが確認されました。

 また、 サミットに合わせて17~18日には、習国家主席と5カ国の大統領との個別会談が開催された。うち、キルギスとは「新時代の全面的戦略パートナーシップ」に関する共同宣言を発表した。

 5月20日付の環球時報は、サミットでは100を超える協力協議が署名されたと報じその成果を強調しました。その上で、成果の背景には「運命を共にする」という強いコンセンサスがあると評しました。

 22日付の記事では、5月19~21日に開催されたG7広島サミットのコミュニケに中国に関する内容が盛り込まれたことに言及し、「G7は世界の平和と発展における最大のリスクの1つ」と評しました。

(注1)テロリズム、分離主義、宗教的急進主義。

(注2)2年ごとに中国と、5カ国のうちアルファベット順で担当となった国の持ち回りで開催する。中国では4年に1度の開催となる。 

 

 アメリカはNATOを実体的基礎としてウクライナを盾にして多くの人を犠牲にしつつロシア(・中国)を封じこめることを狙っています。他方では日本を巻き込む形で台湾、東アジアへの軍事的経済的関与を強め対中包囲網を構築していくという世界支配の新たな体制を模索しています。

 G7サミットと平行して開催された中央アジア5ヵ国との西安サミットは運命共同体を謳い、アメリカを意識した軍事的協力関係をも展望するものといえるでしょう。国家資本主義中国は中央アジアでも着実に力を広げつつあります。

 中国はアメリカに対抗する形でブラジルのルーラ、インドのモディらと共にウクライナ和平に踏み出しており、今後西側帝国主義との角逐が激しくなるのは必至です。

 ウクライナ戦争のただ中で東西の資本主義国家のパワーゲームが展開されています。しかし、資本主義国家の権力者たちは歴史を変える倫理と論理を持ってはいません。資本の増殖のために労働者を犠牲にしつつプラグマチックに右往左往しているだけなのではないか。