[1445]北朝鮮中央通信、プーチンに「同志」という呼称

 

 26日の日経新聞「風見鶏」でロシアと北朝鮮の最近の接近ぶりについて書かれています。

 韓国国家情報院によれば100万発以上の砲弾が北朝鮮からロシアに送られたといいます。北朝鮮偵察衛星の打ち上げに成功しましたが、ロシアの衛星技術が供与されたといわれており、砲弾の提供はそのお返しにという意味もあるのでしょう。

 「風見鶏」は、最近北朝鮮朝鮮中央通信のなかでプーチン大統領の呼称が変わったと伝えています。朝鮮戦争休戦70年の行事で対ロ外交を本格化さた7月以降「プーチン大統領」という表現が減り「プーチン同志」という表現が増えたのだそうです。

 北朝鮮にとってロシアは反米の同志なのでしょう。スターリン主義ソ連邦の時代と比べてもお互いの距離は縮まっているようです。

 北朝鮮金正恩の時代に入って市場経済化が進んでいます。2014年に「社会主義企業管理責任制」と呼ばれる企業の独立採算制が導入されました。2014年『東洋経済』オンラインに解説部コラムニスト福田恵介氏が書いています。

抜粋します。

 ーー最近になって韓国や日本などで、「5.30措置」「5.30指示」といった新たな経済方針が発表され、すでに実施されているという話が流れていた。そのような中、朝鮮労働党の理論機関誌『勤労者』9月号において、それを裏付ける論文が掲載された。これは北朝鮮の国家計画委員会のリ・ヨンミン副局長が、「(金第1書記が)今年5月に歴史的な労作を発表し、現実発展の要求に合うわれわれ式経済管理方法を確立するために行うべき綱領的指針を明らかにされた」と記し、その「綱領的指針」の基本的な中身などを説明している。

 この論文には「5月に労作が発表された」ということが記されただけで、実際にどのような労作なのかは具体的な記述がない。だがその中身は、北朝鮮全国の工場や企業所、機関に全面的な自律経営権を与えると同時に、生産・分配・貿易する権限をその機関に与えるというものだ。ーー

 『5・30労作』と呼ばれる金正恩の論文の詳しい内容はわかりませんが、ここでまとめられていることは現実とかけ離れてはいないでしょう。

 スターリン主義ソ連邦が自己崩壊し中国をはじめ世界中の「社会主義」国は市場経済を導入し資本主義へと先祖返りしました。北朝鮮も「社会主義」を名乗っていますが賃労働と資本の対立を基礎とした資本主義です。統治の形は民主主義的形態ではなく労働党共産党)による官僚専制の国家です。生産手段、土地は国家所有とされているようですが、私的使用権は公認され広がっています。マルクスの言う共産主義への過渡形態としての社会主義ではありません。

 北朝鮮は、アメリカをはじめとする西側資本主義と利害対立関係にある中国、ロシアなどスターリン主義から転向したところの東側国家資本主義国のうちの一つです。

 今世界は、ウクライナ戦争とパレスチナ戦争によって東西新冷戦が第三次世界大戦に転化する可能性をはらみ揺動しています。北朝鮮とロシアの接近は両国政府が戦争協力体制の強化に向かう危険な動きです。

 日本政府が軍事力強化をもって対抗することはますます戦争の危機に拍車がかかります。私は軍拡競争に反対です。