[1267]原発、国策化

 「GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法」という名の法案が31日に参院本会議で成立しました。この法案はその名に原発という言葉を使わず原発推進を国策にするものです。野党の維新の会、国民民主党も賛成しました。国民民主党は「連合」の電力総連、電機連合など原発に賛成する大産別組合を支持基盤として「野党」のなかに存在しながら与党を支えています。

 同一原子炉が60年を超えて運転できるようになります。認可するのは原子力規制委員会から政府経済産業省に代わります。要は運転期間を延長するという判断を、規制する立場の機関ではなく推進する立場の政府が行うことになるということです。福島第1原発の事故処理の終るめどが立っていないにもかかわらず。

 岸田政権は防衛費増額、敵基地攻撃能力の安保戦略への明記など「戦後日本の終焉」を画す決定を行ってきました。原発の危険性は承知の上でGX法を強行しました。

 岸田首相には自らの行為が積み重ねられた戦後の歴史を変えることになるという洞察はないかのようです。彼は能面のような無表情で安倍元首相の轍を踏んでいます。その手法は行政府権限の肥大化による「即断即決」方式です。決意成立の悩みはエイヤ!という投企によって葬られているのでしょう。

「国の責務」

 原発を活用して電力の安定供給や脱炭素社会の実現につなげることを「国の責務」と明確に位置づけました。人材育成や技術開発のために必要な産業基盤を維持・強化する方針も明記されています。

 原発プラントは民間電力会社によって運営されますが、原発政策は国策となります。軍事大国化に向かっている現政府は原発に暗に核開発のもくろみを秘めていると思います。警戒が必要です。