[1300]ザポロジエ原発爆破計画⁉️プロパガンダ

 ウクライナ軍の「反転攻勢」が行き詰まっているなかで、米CIAバーンズ長官がゼレンスキーの「年内の停戦交渉」発言をメディアに発表しました。ゼレンスキーはクリミヤを奪還するまで停戦はないと打ち消そうとしていますが、戦局は膠着し米国の期待を背負ったゼレンスキーは困っています。

 昨年から様子を見ていた中国が今年2月以降停戦仲介にのりだしました。中国は中華ナショナリズムにもとづいて、ゼレンスキーにテコ入れするアメリカに対抗するかたちで介入を強めています。また7月NATO首脳会議では武器援助を縮小する提案がなされる可能性もあり、米CIA長官発言などからすると、戦争は大局的に見れば終わりに傾きはじめています。これからの戦闘とプロパガンダはロシアとウクライナそれぞれが停戦を自国に有利な形で実現するためのものになると思われます。両軍の兵士と労働者民衆はその犠牲を強いられます。

 4日ゼレンスキーは、ロシアがウクライナ軍の反転攻勢を遅らせるためにザポロジエ原発に爆弾を仕掛けたと発表、ロシアはそれはウソだ、ウクライナの破壊工作の脅威だと言い、主張が180度対立しています。西側メディアはロシアならやりかねないといった調子の報道をしています。

 私は原発の爆破はたとえ小規模なものでも核爆弾投下と同じだと思います。ロシア、ウクライナ両国民衆は被曝し多くの人が亡くなり、生き残っても晩発性障害に苦しみます。

 そういうことは現時点でロシアはやらないでしょう。ウクライナもやらないでしょう。

 ウクライナの発表は反撃に難渋しているゼレンスキーのプロパガンダでしょう。ロシアの原発攻撃にNATO軍も立ち上がれ、無理なら武器を提供せよということでしょう。ロシアの発表はウクライナプロパガンダにたいする直対応でしょう。

 多くの犠牲者を出しなお続けられているウクライナ戦争は今やアメリカをはじめとする西側帝国主義が、ロシア、中国国家資本主義を封じ込めることを策して総掛かりとなっています。日本はウクライナへの武器援助に向けて準備を進めています。

 はじめに述べたように戦争を煽った帝国主義諸国が和平に傾きはじめているとはいえ、この戦争はウクライナの労働者民衆を楯とした世界戦争につながりかねない様相を見せています。侵略したロシアは、圧倒的戦力を投入して持久戦に持ち込もうとしています。

 プーチン・ロシアの越境侵略ではじまったウクライナ戦争は戦後77年、ソ連邦自己崩壊11年目の現代資本主義世界において資本家階級の支配構造を転換する一大事件です。プーチンが侵攻に踏み切ったこと自体がアメリカの力の低下を意味しています。

 しかし、反対運動はウクライナかロシアかどちらの立場に立つかという二者択一的に思考するものになっており、総じてウクライナ・ゼレンスキー支援運動となっています。

 

西側帝国主義との一体化を求めるゼレンスキー

 ソ連邦自己崩壊後、ロシアもウクライナ市場経済体制を全面的に取り入れ資本主義化しました。ソ連邦から独立して国有資産の民営化が急速に進められる過程でウクライナのオリガルヒ(政治的影響力をもつ新興財閥)が莫大な利益を得ました。ゼレンスキーは2019年オリガルヒのコロモイスキーの支持を受けて、「チョコレート王」と呼ばれたオリガルヒ・ポロシェンコ前大統領に勝利して大統領になったのです。

 ゼレンスキーは現在ロシアの侵略に立ち向かう英雄のように言われていますが、考え方は新自由主義です。2022年3月政府・議会は経営者が労働時間の延長、解雇・配置転換、賃金支給の停止を認める時限法をつくったり、戦争前から準備されていた労働法改悪を反対を押しきって成立させました。労組があっても250人未満の企業では労働者との個別交渉で労働時間、賃金、契約終了等を決めることができるという労働法の改悪を2022年7月に採択しました。ウクライナ労働者は反対闘争を展開しましたが、日本のメディアは報道しません。

 ウクライナの労働者階級はゼレンスキーを政治的代表とする資本家階級と対立していますが、ロシアの侵略にたいして当面協力して国家、民族を守るために戦っています。階級対立をこえた国家防衛戦争は本質的に資本家階級の利益を守るという性格を刻印されています。西側帝国主義諸国家が政治的軍事的経済的にゼレンスキー政権を支援する所以です。

 私はいま、ロシアの侵略反対・軍の撤退、ウクライナの戦争継続政策反対、NATOの介入反対、を訴えるべきだと思います。

 

ザポロジエ原発爆破論に関する産経新聞を引用しますので参照してください。批判的に読む必要があります。

 

ザポロジエ原発に緊張 ウクライナ「露が爆破準備」 露「すべて嘘」  7/4(火) 17:51

 ロシアが占拠するウクライナ南部ザポロジエ原発を巡って緊張が再び高まっている。ウクライナ国防省情報総局は、露軍が原発敷地内に爆発物を搭載した兵器を配備し、職員らに7月5日までに退避するよう勧告したと明らかにした。ウクライナのゼレンスキー大統領は、露軍が原発を爆破する恐れがあるとみて警戒している。ロシアはウクライナの指摘について「事実無根だ」と否定している。 

 ウクライナメディアによると、国防省情報総局のブダノフ局長は6月下旬、ザポロジエ原発の原子炉6基のうち4基の周辺に、露軍が爆発物搭載の兵器を配備したとの情報を明らかにした。南部ザポロジエ州で反攻作戦を展開するウクライナ軍を足止めするため、露軍が原発を爆破する恐れがあるという。

 ブダノフ氏によると、爆発などで原子炉の冷却が停止した場合、原子炉は最短10時間で溶解する恐れがある。 情報総局は6月30日、原発支配下に置く露国営原子力企業ロスアトムが原発作業員に対し、7月5日までの退避を勧告したとする諜報内容も公表した。ザポロジエ州のマラシコ知事は1日、最悪の事態に備えて住民避難のシミュレーションを実施したと説明した。 ゼレンスキー氏は1日、「ロシアは原発で爆発を起こし、放射性物質を大気中にまき散らす技術的な準備を終えている」と指摘。各国にこうした情報を通知していると明らかにした。 一方、ラブロフ露外相は6月30日、ウクライナの指摘は「全て噓」であり、危機を演出して欧米から支援を引き出そうとするウクライナの常套(じょうとう)手段だと主張。露外務省のザハロワ報道官も「ウクライナが恒例のテロを準備している」とし、ウクライナ原発を爆破して責任をロシアに転嫁しようとしているとの見方を示した。タス通信によると、ロスアトムは作業員への退避勧告を否定した。 ザポロジエ原発に職員を派遣している国際原子力機関IAEA)は30日の声明で、現時点で原発に爆発物が設置されたとの目に見える兆候はないとする一方、追加の査察が必要だと指摘した。  露軍はウクライナ侵攻後の昨年3月にザポロジエ原発を占拠した。昨年夏ごろからは周辺での戦闘で送電線が損傷するなどし、外部電源を喪失する事態がたびたび起きた。原発事故の危険を避けるため、昨年9月に全原子炉の稼働が停止されたが、一部の原子炉はなお高温状態にある。  

 6月に決壊した南部ヘルソン州のカホフカ水力発電所ダムは同原発の冷却水の取水源となっていた。IAEAは30日の声明で「原発の冷却水プールには利用可能な水が残っている」とし、現時点で冷却水不足により事故が起きる可能性は低いとの見方を示した。

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