[1301]上海協力機構、G7に対する「もうひとつの」国家連合へ

 

 プーチン大統領は4日、中国とともに主導するSCO(上海協力機構)のオンライン首脳会議に出席しました。プーチンは、民間軍事会社「ワグネル」による反乱後、初めて国際会議にオンラインで出席し、反乱でロシアを支持した国に、感謝を述べました。プーチン大統領は演説で「国民は、かつてないほど団結している」と強調。私はプーチンはいささか強がっている感じがします。

 今回はイランがはじめて出席し、対西側資本主義大国にたいするもうひとつの陣営の結束を拡大しました。中国・ロシアを中心としインドも参加するSCOは、カザフスタンキルギスタジキスタンウズベキスタンパキスタン・イラン9ヵ国で構成され、来年にはベラルーシも加わる予定です。人口は世界の半数になります。エジプト、サウジアラビアなども加盟に向けて動いています。

 SCOはユーラシア一帯の安全保障、経済協力、文化交流を議題として2000年に上海で6ヵ国が集まってつくられた国家連合です。NATOのような軍事同盟と比べて、SCOは加盟国にたいして強い法的強制力を持っているわけではなく、緩やかな国家連合体です。

 アメリカを中心としたG7の力に翳りが見えはじめ、ウクライナ戦争で現代世界は政治軍事経済の面で地殻変動を起こしています。基本的に米ー中(ロ)の対立抗争を基軸として世界は揺れ動くでしょうが、アメリカの力は衰えG7とSCO・グローバルサウスの対抗関係が前面化するでしょう

 習近平は今回のSCO会議演説で歴史は変わり目にあるという歴史認識を示し、つぎのように言いました。地域指導者にたいして互いの連携を強化することを呼びかけ、地域におよぶ外部勢力に対抗することを求めました。

「我々は外部勢力を高度に警戒する必要がある。彼らは地域内で『新たな冷戦』をたき付け、陣営間の対立をつくりだす。いかなる国であれ国内事情への干渉や『カラー革命』の扇動を行う場合は断固としてこれに異を唱えなければならない。」

 習近平アメリカにたいする警戒感を語っています。

 中国とロシアは上海協力機構にイランを取り込むことで、さらにアメリカへの対抗姿勢を強めると思われます。