[1318]清水建設で過労自殺、どうすればいいのか

 清水建設で働く当時29歳の男性社員が2021年8月に自殺し、今年5月に過労認定されたことが16日の朝日新聞で報道されました。

 2019年から始まった720時間以内の残業規制(罰則付き)が建設業にも来年4月から適用されるのを前にして、清水建設は出退勤時間管理をパソコンのオン・オフデータをもとにして残業規制を行っていましたが、共用パソコンで自分のIDでログオンしログオフすれば退社したことになり、その後は自分用のパソコンで仕事ができました。つまり長時間労働していても記録されないしくみになっていました。

 会社は当初は本人の勤務記録を示し「長時間残業の問題はなかった」と説明しましたが、遺族の求めに応じてパソコンを調査したところ、自殺した男性がうつ状態になったと思われる2021年の8月1日以前の3ヶ月の残業は月平均100時間を超えていました。

 会社の報告書によると男性の上司が残業を年間4ヶ月45時間以内におさえることと、社内ルールを守らないと考課に影響すると書いた回覧書を回しました。会社は自殺した男性が勤務時間の操作をした理由について「時短目標の達成が評価に影響するとされていたことが大きかったと考えられる」としています。

 会社は本人の報告に偽りがあったことに気づかず実残業時間を把握出来なかったことを反省していますが、過労自殺をうみだしたことの反省にはなっていません。

 会社は再発防止策として、作業所や事務所の出入りを顔認証カメラで記録し、勤務時間の管理に利用する仕組みの導入準備を進めているそうです。

 労働者をカメラで監視することによって労働時間を管理するという究極の労務管理です。仕事量に労働量が追いつかないことが問題の直接性です。仕事を減らすか労働者を増やすかということが対策の第一歩です。監視して労働時間を管理するというのは新たな問題を引き起こすことになります。

 会社も労働組合も、なぜ彼が長時間労働をせざるを得なかったのかを考えなければならないと思います。