[1323]首相が武器輸出拡大の与党協議指示

 25日岸田首相が武器輸出拡大に向けた与党協議の再開を指示しました。武器輸出を制限している政府の「防衛装備移転三原則」の運用指針見直しをめぐり、4月に自公協議が開始されました。そして7月5日、殺傷能力のある武器輸出制限を緩和する方向で中間報告をまとめ秋以降に協議する予定でしたが、首相の指示で8月にも再開される見通しです。 

 ウクライナ戦争は膠着状態になっており、先のNATO首脳会議で長期にわたるウクライナ支援を打ち出しました。武器支援に関してはフランス、ドイツがミサイルや戦車などの供与を口にしましたがアメリカは具体的な武器増援を約束しませんでした。

 弾薬の供与を要求するウクライナにたいしてすでにクラスター爆弾を与えたアメリカは、無尽蔵に武器を支援しつづけるほどの在庫はありません。

 ソ連邦自己崩壊以降、アメリカはソ連を主敵とした軍事戦略を転換し、武器生産量を減らしはじめました。国防費を1990年のGDP比5%から2020年には3%に減らし、軍事関連企業は2017年の7万6000社から2021年に5万9000社へと2割減少しました。(7/25 日経新聞「真相深層」参照)

 しかも兵器産業はジャスト・イン・タイム方式をとって多量の在庫をつくらないようにしているのです。

 アメリカはウクライナ戦争にテコ入れするために流弾砲の弾薬や誘導型多連装ロケットシステムの増産に乗り出していますが、間に合わなくなっています。

 中国との軍事的緊張関係をエスカレートさせてもいて、バイデンは日本政府に相応の負担を要請しています。

 岸田首相は8月訪米の際に武器輸出を確約したいのだと思われます。

 岸田政権はアメリカとの軍事同盟関係を強化し急速に軍事大国化しています。