[1208]「中国に照らされた岸田外交」

 3月31日の日経新聞4面に「Angle」というコラムがあります。見出しにひかれて読みました。

「3度目のウクライナ訪問 中国が照らす岸田外交」

 面白そうだと思いました。中国が岸田外交をどのように照らしているのか、興味津々で読みました。

 「Angle」で次のようにいいます。ウクライナはロシアから侵略される前、最大の武器輸出国が中国であった。中国はウクライナから空母や戦闘機、揚陸艦などを買っている。またウクライナは中国の一帯一路構想の要衝でもある。筆者は「中国とウクライナの外交は軍事と経済が支えていた」と言います。

 「中国に照らされた岸田外交」とは武器貿易が欠けている外交という意味のようです。筆者は軍事援助を欠落させた岸田外交は、ゼレンスキー大統領に「日本の揺るぎない連帯」を約束しても、空虚に響く掛け声と変わらないというのです。

 筆者はいいます。「外交で成果をあげるにはその根拠として経済力と軍事力が欠かせない。かつて『1強』と呼ばれた米国や現在の中国をみれば、相互依存関係は明白だ。」

「『侵略された民主主義国には輸出できるようにすべきだ』。政府・自民党内に殺傷能力がある武器の輸出を禁じる防衛装備移転三原則の改定案がある。······外交は単体では機能せず、経済、軍事と連なる。その構造を理解したうえで外交を論じる日本の政治家の資質を見極めなければならない。」

 このコラムの筆者は日経新聞·政治部長の吉野直也氏です。期待して読んだのですが、筆者は要するに日本政府はウクライナにたいして口だけではなく武器を援助する資質を持つべきだいうことを言うために「中国が照らす岸田外交」とすかした言い方をしたに過ぎません。今回の「Angle」は新しい戦前の、メディア界の旗手としての意見表明でした。