[1338]ニジェール内戦、東西の代理戦争へ

 

 強行されたニジェールのクーデターはフランス、アメリカの力の翳りを浮き彫りにしました。これにたいしてにアメリカが周辺の親米(親西側)政権にテコ入れして介入をし始めました。

 ニジェールにはフランスの軍事基地があります。ニジェールは低賃金、食料不足で国民は貧窮してます。

 ウクライナ戦争で東西対立・抗争の帰趨をかけたアメリカ(=NATOウクライナ)とロシアの攻防は、アフリカにおける代理戦争をも惹き起こしたと私は直観します。

クーデター

 西アフリカのニジェールで7月26日軍事クーデターがありました。軍に拘束されたモハメド・バズム大統領の伝統的な支持基盤では、ロシア国旗の色の服を誇らしげに見せびらかす実業家もいます。 バズム大統領は西側にとって、イスラム主義者との戦いにおける重要な同盟者であり、力強い経済的パートナーでもありました。 ニジェールにはフランス軍の基地があります。

 また、ニジェールは世界第7位のウラン産出国です。産出量の4分の1が欧州に、とりわけ旧宗主国フランスに輸出されています。  

 ニジェールで起きたクーデターの背景には西側、特に旧宗主国フランスのニジェール支配にたいする民衆の反発がありますす。アフリカの当該地域は近年マリとブルキナファソで軍事クーデターが起き親仏政権が倒されました。貧困に苦しむ民衆とその指導者はウクライナ戦争で浮き彫りとなったロシアと西側の対立の波をもを受け翻弄されています。

以下、BBCニュースを引用します。

 クーデターを主導したアブドゥラフマン・チアニ将軍がバズム氏を失脚させて以降、街中でいきなりロシア国旗の色が見られるようになりました。 首都ニアメーでは30日、数千人が抗議デモに参加。中にはロシアの国旗を振りかざす者や、フランス大使館を襲撃する者さえいた。 この「運動」は今や、ニジェール全土に広がりつつあります。

 ニアメーから約800キロ離れた中部ジンダーに住む実業家は、「自分は親ロ派で、フランスは嫌いだ」、「子供のころからフランスに反対してきた」と話した。この人物は身の安全のため、名前は明かさず、顔にモザイクをかけるよう要求した。 「フランスはウランやガソリン、金といったこの国の富を全て搾取してきた。最も貧しいニジェール人が1日3食食べられないのは、フランスのせいだ」 この実業家は、ジンダーでも8月31日に軍事クーデターを支持するデモが起き、数千人が参加したと語った。 また、地元の洋服店に頼んで白と赤、青のロシアの色の素材で服を作ってもらったと語った。一方で、その代金を親ロ派組織が支払ったことは否定した。

 ニジェールの人口は2440万人。5人に2人が、1日に2.15ドル(約308円)以下で暮らす極度の貧困状態にある。 バズム大統領は、2021年に就任。1960年の独立以来初の民主的な選挙で選ばれ、平和的な権力移譲が実現した。 しかしバズム政権は、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」や「アルカイダ」につながる武装組織の標的となった。こうした組織は、サハラ砂漠の一部や、サハラ砂漠南縁部に広がる半乾燥地域「サヘル」で活動している。

 イスラム主義者の圧力を受け、隣国のマリとブルキナファソでは近年、ジハーディスト(イスラム教聖戦主義者)との戦いを助けるとして軍部が政権を握った。両国ともかつてフランスの植民地で、フランスと大きな利害関係がある国だ。 両国ではニジェールと同様、かつては多くのフランス軍が駐留して援助をしていた。しかし、イスラム主義者の攻撃が続く中で反仏感情が高まった。この3カ国の人々は、イスラム主義者に対抗するための対応が不十分だと、フランスを非難するようになった。 マリは軍事政権が成立すると、まずフランス軍を追い出し、数千人規模の国連の平和維持部隊も撤退させた。そして、ロシアの雇い兵組織「ワグネル」を迎え入れたのだった。 マリでのイスラム主義者の攻撃は続いているが、ブルキナファソの軍事政権もロシアと接近し、フランス軍を追放した。 ニジェールでは、バズム政権が反仏抗議運動を何度も禁止していた。  

 2022年半ばに、マリから追放されたフランス軍のバルカン部隊について、バズム政権がニジェール国内への再配備を許可した際には、いくつかの市民団体が反仏抗議を加速させた。 中でも顕著だったのは、活動家や市民団体、労働組合などが連合した「M62」と呼ばれる活動グループで、生活費の上昇や統治の欠陥、フランス軍の駐留について声を挙げた。 ニジェール当局は、「M62」が計画した抗議を禁止したり、暴力を使って中止に追い込んだ。

 指導者のアブドゥライエ・セイドウ氏は2023年4月、「公の秩序を乱した」罪で9カ月の禁錮刑となった。 「M62」は、バズム大統領が拘束・失脚させられた後、勢いを取り戻したようだ。 国営テレビは、「M62」のメンバーたちが軍事政権を支持する大規模なデモを起こし、西アフリカの指導者らによる制裁を非難したと、異例の報道を行った。 「M62」が、「祖国救済国家評議会(CNSP)」を称する軍事政権やロシアとつながりがあるのかは不明だ。 しかし「M62」は、30日のデモに参加した小規模の市民団体を統括している。 ジンダーに戻ると、親ロ派の実業家はロシアがニジェールを助けてくれることに前向きだと話した。 「治安と食料の面で助けてほしい」、「ロシアは農業改良の技術も供給してくれるかもしれない」と、この実業家は述べた。

 しかし、ジンダー在住の農家モウタカさんはこの意見に反対する。クーデターは万人にとって悪いものだと話した。 「ロシアがこの国に来ることに賛成しない。みんな欧州人だから、誰も助けてくれないはずだ」と、モウタカさんは言った。 「ニジェールを愛しているし、平和に暮らせるよう望んでいる」 (英語記事 Why some in Niger want Russia in and France out) (c) BBC News