[1337]ウクライナ和平会議サウジで

 ウクライナ戦争の和平について約40カ国が話し合う国際会議が5日、サウジアラビア西部ジッダで始まり6日に終了しました。

 会議はウクライナとサウジが主催し各国の国家安全保障担当の高官らを招待して行われました。欧米各国のほか、対ロシア制裁に賛同していないインド、ブラジル、南アフリカなどの「グローバルサウス」と呼ばれる新興・途上国も参加。中国も4日、特使の派遣を発表しました。ロシアは参加していません。

 今回の会議は今年6月にデンマークの首都コペンハーゲンであった1回目の会議の流れを受けて開かれましたが、従来は欧米と距離を置いてきた国々も参加しました。サウジアラビアはロシアからの安い石油輸入を拡大し国内消費にあてており、ロシアとの関係も強く中国とも親しいサウジが開催国となることでグローバルサウスと呼ばれる国々も各国の思惑をもって参加しました。。

 ウクライナのクレバ外相は中国の参加について「とても大きな前進だ」と高く評価しました。同外相は、会議でロシア軍の全面撤退なしに和平はあり得ないとの原則を強調しましたが、しかし、現実性はありません。

 中国は2月にロシア軍の撤退に触れない和平提案を発表しました。サウジ会議でも中国の代表は和平交渉の前段階として停戦を求めることに固執しました。ウクライナの主張とは対立したまま終了しました。

 多くの犠牲を出した両国の国権力者は自分に有利な停戦条件を探りますが、上からの和平交渉の過程は次の戦争を準備します。

 戦争はウクライナ軍の越境攻撃が頻発しロシアの攻撃もエスカレートしています。

 権力者による停戦の動きは、今やウクライナ、ロシアの支配階級の利害を含みつつ、東西大国の利害を基準として進められています。戦場で流される血はその犠牲です。