[1096]ドイツでクーデタ一未遂

 

 12月7日ドイツでクーデタ一未遂で25人が逮捕されました。私はびっくりしました。

 ドイツも貧困問題が大きくなっています。加えてロシアのウクライナ侵攻の経済制裁の反動で国内のエネルギー危機は深刻となっています。

 クーデタ一未遂は単に一部の集団の行動に過ぎないというわけにはいかないと思います。

 アメリカのトランプとその支持者による連邦議会議事堂襲撃事件、日本では安倍元首相銃殺事件など、これらは「民主主義への挑戦•破壊」ということばで片づけられないように感じます。社会全体が行き詰まって誰も諸問題の解決策を見いだせず、デブリ状態になった矛盾が社会の底に鬱屈しているのだと思います。

このクーデタ一未遂事件を毎日新聞「余録」がとりあげています。

 

非合法的な手段で政府を転覆させるクーデターは、民主政治が安定した国でも時に計画が露見する。戦後の日本で1961年にあった「三無事件」もそのひとつだ。実業家や旧軍出身者らが国会、要人の襲撃や新政権樹立を画策したが、未遂で済んだ。当時の政権は池田勇人内閣。高度成長の開始期で、社会には安保闘争の爪痕が深く残っていた▲そして2022年、主要国、しかも欧州連合EU)の基軸ドイツでのクーデター騒動である。極右勢力のメンバーら25人が、国家転覆や連邦議会襲撃の計画や準備をした容疑で逮捕された▲主導役の男は貴族の家系の子孫で「ハインリヒ13世」を名乗っていた。荒唐無稽(むけい)な話に聞こえるが、メンバーには元軍人や裁判官が加わり、内閣をまねた組織まで作っていたという。「妄想」では片付けられまい▲ナチス支配や第二次大戦の教訓を糧に、民主政治の安定に努めてきたドイツである。背景や事実関係の解明はこれからとはいえ、衝撃は大きい▲気掛かりなのは容疑者グループが「影の国家」にドイツが支配されているという陰謀論を信じこみ、米国の陰謀論「Qアノン」に影響されていたとの指摘だ。インターネットで広がった病理は、想像以上に世界をむしばんでいるのかもしれない▲昨年1月に米国で連邦議会議事堂が暴徒に襲撃され、ドイツでも看過できぬ事態が起きた。翻って、日本はどうか。陰謀論や暴力が入り込む隙(すき)ができぬよう、世界に警鐘を鳴らしたクーデター未遂事件だ。 

以上「余録」

 私は陰謀論や暴力が社会の中から出てくるのは「不安」と「危機感」が内に醸成されているからだと思います。噴出する不満の感情の根っ子を洞察しなければならないと思います。