[1423]動くイスラエルの世論

 ガザ侵攻は住民と街を破壊しつづけています。3日の日経新聞を読んでネタニヤフ首相の強硬策の背景を推論することができます。

 イスラエル紙マーリブが27日に発表した世論調査では、軍が大規模な攻撃に乗り出すべきだとの回答は29%、待ったほうが良いが49%でした。19日の調査では65%が大規模地上攻撃を支持していますから、多くの人が人質救出を優先しているようです。

 またシンクタンクイスラエル民主主義研究所が10月23日に発表した世論調査によると、ユダヤ人の市民のなかで政府を信頼すると答えたのは20%強で、6月の28%から大きく下り、過去20年で最低となったといいます。

 1400人の犠牲を出したハマスの攻撃を防げなかったネタニヤフ首相はハマスの壊滅を掲げ信頼回復を狙っていますが簡単に回復はしません。ネタニヤフは奇襲を許したことについて、28日夜Xで「私にはハマスが戦争をしかけるという警告は届いていなかった」と治安機関を批判しました。これは国民の批判から身を避け治安期間に責任転嫁する行為でした。戦時内閣のガンツ元国防相にたしなめられて「間違っていた」と謝り自分のXへの投稿を削除しました。

 経済界からもネタニヤフ批判がふきだしています。半導体関連会社のモービルアイのシャシュアCEOは29日、ネタニヤフ首相の失態を指摘し即時退陣を求めました。

 ネタニヤフは昨年極右政党と連立を組んで政権に復帰しました。裁判所の力を弱める「司法制度」改革をこころみたものの、多くの人が反対し、7月24日には大規模な抗議デモが起きました。

ハマスの攻撃で挙国一致政権が成立

 ネタニヤフは8月11日に野党党首で元国防省ガンツ氏と挙国一致政権をつくりましたが、ハマスの攻撃を許した責任を問われ治安機関に責任を転化するも批判に直面し謝罪に追い込まれますます支持を失っています。ガザを破壊し成果を上げ、もって信頼を回復しようとしています。

 中東、南米諸国からガザ侵攻に抗議する声が上がっています。ボリビアイスラエルと国交断絶し、チリ、コロンビアは大使を引き上げました。連鎖的に反イスラエルの気運が広がっています。

 ブリンケンが3日イスラエルに行き地上侵攻に「ブレーキ」をかけようとしていますが、これはアメリカの孤立を恐れてのことでしょう。

 ネタニヤフは「失敗」を糊塗するためにもパレスチナの労働者民衆の殺戮を続けるつもりです。