[1478]「冷徹な政権」

 ガザで爆撃と飢餓で多くの人が死んでいます。イスラエル軍によるパレスチナ人の公開ジェノサイド。

 米バイデン政権は国連に提出された停戦決議にすら反対し、ネタニヤフを支えています。ウクライナ戦争をここまで長びかせ、ガザの虐殺に加担するアメリカ資本家階級の政府の罪は重い。

 日本政府は力の弱った帝国主義アメリカの同盟国として、東アジアでの脇固め役から一歩前に踏み出し始めています。

 2024年は私たち労働者民衆の怒りを集め労働者的団結を再生する年にしなければなりません。

 

 12月29日の朝日新聞辺野古埋め立て工事の代執行にかんする記事に「手続き粛々 冷徹な政権」という見出しをつけました。ピッタリだと思います。

 私は岸田文雄氏の首相としての言動をメディアを通して見ていて、この人は時代の流れに逆らわずアメリカの行動と意向に合わせて安倍、菅政権が残した目の前の案件を実に無表情に事務的に行う人だと感じます。反対の声は入口ではねつけてもなんにも感じることなく、何があっても恬として恥じることはない。岸田文雄首相に求めてもしょうがないことではありますが、無機質で情を感じない。そういう感情の領域が青少年期に形成されなかったのではないかとさえ思えます。

 岸田首相は沖縄の民衆の気持ちを感じるレセプターを欠如しているとしか言いようがないです。気持ちの揺動がない。

 知識として人情というものは知っているが、感じない、ないし乏しいようです。何んでも「ていねいに説明」できると思いこんでいるようです。

 先日、こういう話を労働組合の後輩に話したところ、「日本の首相になった人は冷徹とか人情とか関係ないですよ。まずアメリカの言う事を聞いて言う通りにやることが第一です。人情なんか入る余地はないです。岸田さんはそれがひどくなってます、自分の考えを持って行動しているとは思えません」と言われました。「たしかに人情で政治ができるとは思わないが保守政治家なりの考えがない」というと「アメリカにたてついたりせず波風がたたず平穏なのがいいのだと思います。アメリカの言う通りにするのが正しいと思っているので、何も感じないでしょう」とバッサリ言われました。

 彼は醒めた見方をしています。その通りなのですが、なぜ政府がアメリカの言うことを聞いて軍備増強をはじめ平然と悪いことをしているのか。何をやっても強い反対運動が起きないとたかをくくっているからです。裏金問題にしても政府は労働運動、学生運動の力を恐がってはいません。労働組合指導部を政労使協議のなかにひっぱりこんで懐柔して組合を骨抜きにしたと思っているからです。

 民主主義の危機⁈

 朝日新聞は「代執行 揺らぐ民主主義」という見出しもつけています。県民の過半が反対しているのですから決して間違ったことを言っているとは思いません。がしかし、政権は合法的、民主主義的手続きを経てに代執行を決めたのでしょう。ヒットラーもワイマール憲法下、選挙で政権を掌握しました。

 議会で多数派のもとで岸田文雄氏のような人が政府のトップに座っている時代に「民主主義の危機」を叫ぶのは無力で危険です。日本の政治的軍事的将来を閣議決定国家安全保障会議NSC)で決めてしまうのは反対ですが、国会で決めればいいのかと言われればNOと言いたい。

 議会制民主主義の本質は支配者が資本家階級の利益を国民のためという普遍性の装いを与えることにあるのではないでしょうか。悪いことも議会で決まれば社会的には「良いこと」としてオーソライズされます。

 いま日本の反対運動に足りないのは怒りです。議会制民主主義の陥し穴に警戒して労働運動、学生運動を下から盛り上げて団結を強くつくっていかなければいけないと思います。

先の後輩にもそう言いました。

2024年の世界は悪い方向に激動するでしょう。怒りをバネにして一歩前進するしかないです。