[1496]ウクライナ停戦の動き 

 欧米で早期停戦論が広がっていますがウクライナは徹底抗戦の訴えを続けています

 16日の日経新聞によればウクライナを支えてきた欧米諸国で停戦論がじわり強まっています。欧州主要国の高官が相次ぎ停戦に向けた外交努力の必要性に言及し米国では関連予算の成立が難航しています。各国政府はウクライナの戦争継続が難しくなっているとの判断をもっています。

 開催国スイスのカシス外相は「ウクライナの人々にとって和平は緊急に必要となっている。我々はこの戦争を終わらせるためにあらゆることをしなければならない」。「我々は、ロシアを和平交渉の場に参加させる方法を見つけなければならない」と述べました。

 ゼレンスキー大統領が演説

 ウクライナのゼレンスキー大統領は16日、世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)で演説し、ロシアのウクライナ侵攻開始から約2年を迎える中、ロシアの勝利を阻止するために西側諸国の結束とウクライナへの支援を訴えました。  ゼレンスキー大統領は、西側諸国によるウクライナ支援へのためらいや戦闘激化を巡る懸念によって戦争が長引くおそれがあると警告。「プーチン氏は変わらない。プーチン氏や他の侵略者に巣食う狂気がまん延しないよう、われわれ全員が変わらなければならない」と述べ、現在の状況で紛争を凍結することには強く反対するとも言明しました。  

ダボス会議NATO事務総長ら、支援継

続を表明

 NATOのストルテンベルグ事務総長と欧州委員会のフォンデアライエン委員長は西側諸国がウクライナの勝利を望むなら、兵器と資金の供給を継続しなければならないと語りました。

 ストルテンベルグ事務総長は演説で、ウクライナへの支援は「慈善事業」ではなく、NATOの安全保障への投資だと表明。「われわれはウクライナと共にある必要がある。ある時点でロシアは代償が高すぎると理解し、公正な和平に同意するだろう。ただ、今はウクライナと共にいなければならない」と語リました。微妙な言い回しですがウクライナ戦争を「NATO対ロシアの戦争」として認識し、今のところはウクライナを支援すると言っています。

 フォンデアライエン委員長は「ウクライナは2024年以降も予測可能な資金提供が必要だ。国土を守り、正当的に領土を(ロシアから)取り戻すために、十分かつ持続的な兵器の供給が必要だ」と述べました。 これはEU委員長としての建前でしょう。

 イスラエルのガザ侵略がつづき、世界各国の政府は戦時下の混迷の中で右往左往。ウクライナ戦争に関してはダボス会議で全体として停戦に動きはじめています。

 各国の権力者は自国支配階級の利害しか考えません。停戦の方向に動き始めたといっても自国に不利にならないような妥協案を提案し次の戦争の種を残します。

 犠牲になるのは労働者階級です。戦争は労働者の力で止めなければなりません。