[1503]正社員への転換の壁

 

 総務省によれば非正規は22年に2101万人いて前年より26万人増えました。正社員は1万人の増加にとどまり、雇用者全体に占める正規社員の割合は36·9%まで上昇しました。( 21日の日経新聞「チャートは語る」参照)

 「チャートは語る」の冒頭で次のように言います。

 「非正社員から正社員への転換が進まない。実現できたのは7%前後にとどまる。人手不足感は高まっているのに、人材のミスマッチで非正規からの採用は伸び悩む。日本は主要国に比べて正規と非正規の給与の差が大きい。日本全体の賃金が低い要因になっている。」

 書かれていることに疑問があります。

 まず、非正規からの採用が伸び悩む原因は人材のミスマッチなのでしょうか。

 非正規社員は資本家・経営者の人件費削減策の産物です。経団連は1995年「新時代の『日本的経営』」という方針を打ちだし雇用形態の改革を進めました。総額人件費削減を目的にして「柔軟雇用型グループ」という名の非正規雇用を創出していったのでした。残念ですが労働組合の協力のもとで進められたことが大きかったと思います。

 かけ声とは裏腹に非正規から正規雇用への転換が進まないのは、経営者が人件費増大を嫌がっているからではないでしょうか。日経の記事では日本は主要国と比べて正規と非正規の給与格差が大きいと、あたかも自然現象のように書かれていますが、日本の経営者がより多く賃金コストをカットしているということでしょう。日本の経営者がより欲の皮がつっぱっているからではないでしょうか。経営者は有期雇用の無期雇用転換の5年ルールは有期雇用期間が5年になる前に契約を終えるという抜け道をつくっています。

 日本経団連の2024年版『経営労働政策特別員会報告』派遣労働者の派遣先での正社員雇用という言葉は書かれていません。そもそも派遣会社を傘下にもつ経団連派遣労働者の派遣先で正社員雇用への転換をとは言わないでしょう。

 労働組合がしっかりしないといけないです。