[1507]賃上げ分の価格転嫁を組合の方針として主張するのはおかしい

 

 連合は24春闘で5%以上の賃上げ要求とセットにして、経営者が賃上げによるコスト増加分を価格に転嫁できるようにすることを政府、経団連に要請しています。芳野会長は価格転嫁のために独禁法などの法改正を要求しています。

 中小企業経営者が賃上げによる労務費の上昇を商品やサービスの価格に上乗せできるように労働組合として政府、大企業にお願いするということです。しかし物価値上げを労働組合から要求するというのは許されることではないと思います。賃金が上がってもその分を商品価格に転嫁すれば生活は楽になりません。そして今以上の物価値上げは年金生活者と賃上げのない中小零細企業で働く労働者に貧窮化を強いることになります。

以下日経新聞より

 連合の芳野友子会長は26日、都内で報道各社のインタビューに応じ、労務費の価格転嫁が進まない現状について「いまの独占禁止法や下請法に限界が来ている」と述べた。中小企業を中心とした賃上げに向け、政府に法改正を要望した。

 原材料費に比べて労務費は価格転嫁が難しく、中小企業は「自助努力での解決を求められている」と指摘した。適切なコスト転嫁に向けて「発注側である大手企業が価格交渉のテーブルにのってほしい」と訴えた。

 2023年11月に公正取引委員会が示した価格転嫁を促すための指針が活用されるよう周知啓発に取り組む姿勢も強調した。

 24年の春季労使交渉に関しては「賃金が物価高に追いついていない。23年を上回る賃上げをめざしている」と語った。23年の交渉では30年ぶりとなる平均3.58%の賃上げを実現したが、24年は5%以上を目標にかかげる。

 政府は22日に岸田文雄首相と経団連の十倉雅和会長、芳野氏が出席して政労使会議を開き、23年を超える賃上げをめざすと確認した。芳野氏は中小企業の賃上げ交渉が本格化する春ごろに「もう一度、機運醸成に向けて政労使会議ができると効果的ではないか」と話した。

以上

 政労使会議で政府と経営者はこの芳野会長の要求を歓迎すると思います。連合会長が経営者の代弁者になってはいけません。

 いま、価格転嫁という言葉は労働組合幹部の合言葉のようになっています。先日私が活動している労組の中央委員会に来ていた連合東京の幹部もやはり「カカクテンカ」という言葉をくり返していました。これから本格的に春闘に入りますが、私は価格転嫁要求を批判していこうと思います。労働組合は物価値上げ反対を掲げなければなりません。