[594](寄稿)本の紹介

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ペンギンドクターより(7月22日寄稿)
その1

皆様
 梅雨が明けたと思ったら、猛烈な暑さになってしまいました。いかがお暮しでしょうか。
 オリンピックも一部の競技が始まったものの、開会式直前でありながら、様々な不手際が発生してきて、「日本は本当に弱体化したな」と呆れるというか、誰を責める気にもならず、憂鬱になっています。
 新型コロナウイルスもデルタ株(インド株)が蔓延してきて、感染者が急増してきているうえに、50代以下の入院患者も増加し、医療逼迫が現実となっています。ワクチン自身は変異株でも有効だと言われますし、私も同意見ですが、だからといって私たちは「巣ごもり生活」を解除しようという気はまったくありません。さらに加えて、私自身は81歳という平均寿命に着実にそれも急速に近づいているという焦燥を感じています。もうCOVID‐19が世界を駆け巡り始めて1年半にもなってしまいました。大事なわが人生が風の如く過ぎ去っていくという焦りですが、愚痴っているぐらいなら勉強しようと自らを鼓舞している毎日です。

 前回、黒木先生の本の内容を引用しましたが、2009年の新型インフルエンザの発生前後は、民主党政権の頃だったと思いますし、その後の東日本大震災もあって、感染症どころではなかったのかもしれません。官僚を責めるだけというのは、片手落ちでしょう。要するに、「弱り目に祟り目」ではありませんが、オリンピック開催という貧乏くじ(歓喜した人もいたようですが)を引き当てて、それだけでもオリンピック後(国と東京都の財政赤字の急増と無用の長物の競技施設という箱モノ)が心配されていた上に、「泣きっ面にハチ」であるCOVID‐19が日本を痛めつけているという気がします。

 その中で、以下に転送するワクチン接種の「相馬モデル」は、大震災の被災地であったという教訓を生かした数少ない事例かもしれません。ただし、このMRICを主宰している上昌広グループの実践の場が、相馬市であり、大西睦子医師もこのグループに近い人ですので、内容は多少割り引いた方がいいと思います。
 また文中にある「フラミングハム研究」というのは、心臓研究では有名です。私は外科医でしたから門外漢でしたが、名前だけは聞いていました。それはアメリカの小都市ですが、日本では九州大学医学部が関与している、福岡県の久山町(人口8400人)の久山町研究が世界的に有名です。1961年より開始されて60年になります。生活習慣病である脳卒中・虚血性心疾患・悪性腫瘍・認知症などの疫学研究です。60年間で町の住民の死亡者の当初は8割、最近でも6割の病理解剖が行なわれて、緻密な研究が続けられています。公平を期すために、日本も負けてはいないとつけ加えました。

 本を紹介します。上野千鶴子『在宅ひとり死のススメ』(文春新書、2021年1月20日第1刷、2021年5月10日第6刷発行)です。昨日買って今日の午前中には読み終わり、先ほど簡単な感想などを記録しました。彼女のことは以前にもお話しましたので繰り返しません。バイタリティあふれた社会学者・東大名誉教授です。東大の卒業式での発言も話題になりました。NHK‐BS3だったか、「最後の授業」でも「男社会何するものぞ」というしっかりした見解を聞いて感心しました。私がパート医をしているクリニックの理事長(在宅医療の草分け)とも旧知の仲です。
 詳細は省きますが、今私たちは二人暮らしです。しかし、いずれはどちらかが先に逝き、一人暮らしになります。その時、私は娘およびその家族と同居するより一人暮らしを選びます。娘や娘の旦那たちと仲が悪いわけではありませんが、一人の方がはるかにいいと私は思っています。女房には直接聞いてはいませんが、彼女も子どもたちと同居するよりは、一人暮らしを選ぶでしょう。
 そういう未来を予想している老人にとって、上野千鶴子の「おひとりさまの老後」シリーズ(累計125万部)は大変いい本です。医療にたずさわる私としては、彼女の意見に多少のずれは感じていますが、見事な本だという評価は崩れません。面白い人ですし、先験の明のある人です。
 前回名前を挙げたシッダールタ・ムカジー『遺伝子㊤㊦』というハヤカワノンフィクション文庫は、現在下巻の半ばを読み進めていますが、これは偉大な本と言えます。メンデル・ダーウィンから始まってヒトラーも登場しますし、面白い本でもあります。
 では今日はこのへんで。

つづく
次回「ワクチン接種『相馬モデル』」

[593](投稿)菅首相、「黒い雨」判決上告断念

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黒い雨訴訟、上告を断念 首相表明、救済策早急に
07/26 22:41 更新
 広島への原爆投下直後に降った「黒い雨」を巡る訴訟で、一審に続き原告全員に被爆者健康手帳の交付を認めた14日の広島高裁判決に関し、菅義偉首相は26日、上告断念を表明した。内部被ばくを含め広く被爆者認定すべきだとの同判決が確定する。上告期限が28日に迫る中8月の終戦76年を前にした政治決断。首相は原告84人にすぐに手帳交付するとし、同じような立場の被害者の救済に関しても「早急に検討したい」と述べた。高齢化した黒い雨に遭った人たちに救済の道が開けた。▼ 菅首相は官邸での湯崎英彦広島県知事と松井一実広島市長との面会に先立ち、記者団に表明。上告見送りの理由について「多くの方が高齢者で、病気の方もいる。速やかに救済すべきだと考えた」「県、市としっかり連携する」と述べ、法務省厚生労働省に必要な指示を出したと述べた。▼ 黒い雨に関する被爆者認定について政府関係者は要件の明確化を図る考えを示した。運用見直しは広島だけでなく長崎にも影響する可能性があるという。▼ 菅首相は、判決内容に関し「政府として受け入れがたい部分もある」と主張。政府関係者によると、上告断念に伴う首相談話を27日の持ち回り閣議で決定する方針だ。▼ 菅首相は午後5時からの知事と市長との面会では「熟慮に熟慮を重ねた」として被爆者援護法の理念を重んじる考えを伝えた。湯崎氏は面会後の取材に「黒い雨を浴びた方々の痛みを理解してもらい、感謝したい」と述べ、松井氏は「英断だ」と歓迎した。▼ 訴訟では、手帳交付の事務を担う県と市は被告、制度設計した国は訴訟参加の立場。県と市は、住民救済を重んじ昨年7月の一審判決時に控訴を望まず、今回も国に上告断念を求めた。前回は、有識者検討会の設置とセットで国の控訴方針を受け入れた経緯がある。▼ 被爆者援護法は、爆心地周辺にいた人らに手帳を交付している。黒い雨に関しては、降り続いたとされる「特例区域」にいた上で、放射線に起因する病気を発症した人を被爆者と認定している。▼ 今月14日の広島高裁判決は、黒い雨の範囲を特例区域より広く捉えた。また空気中の放射性微粒子を吸い込むことなどによる内部被ばくで健康被害が出る可能性を指摘。病気の発症にかかわらず広く被爆者認定すべきだとの判断を示した。
(2021・7・26北海道新聞デジタルより引用)

※※※ 骨川筋衛門のコメント
 
 厚労省の田村大臣は高裁の判決に渋っていましたが、菅首相は、26日、上告断念を表明し、内部被ばくを含め広く被爆者認定すべきだとの同判決が確定しました。厚労省の幹部は「これが政治だよ」と、つぶやいたそうです(本当は天を仰いだのかもしれません)。おそらく田村厚労省大臣もそう思っていることでしょう。訴訟に参加していない被爆者にも長崎の被爆者にも朗報だと思います。◆黒い雨は原水爆の放射性微粒子を含み、直接雨粒を飲み込まないにせよ、雨の後、日が照れば乾燥し、放射性微粒子(セシュウムやストロンチウムなどなど)を含んだ塵埃(じんあい)=埃(ほこり)を人々が吸い込んだり、飲み込んだりして身体の内部に入り込み、放射能内部被曝を短期間~長期間浴びることになったでしょう。(このことは北海道新聞にも触れられています)◆このブログにも書かれているように、北海道癌センターの現在は名誉院長の西尾正道氏の上梓した著書に、内部被曝の問題に気付い肥田舜太郎医師の著述が紹介されています。広島県の公務員だった人の妻がお産で実家の島根県に帰っていましたが、広島が壊滅したことを知り、夫を探しに広島に帰り焼け跡を1週間ほど探索した後に急死し、原爆炸裂時たまたま地下室にいた夫は足を骨折したものの助かりました。急性原爆症を発症した松江の夫人を当時診察にあたった肥田医師の記録が、西尾氏の本に紹介されています。(注1)              

菅内閣は支持率低下に歯止めがかりません。菅首相は、広島県で生起した「2019年の参院選をめぐる大型買収事件で、元法相の河井克行(58)と妻の案里元参院議員(47)から現金を受け取ったとして公職選挙法違反(被買収)の疑いで告発」され有罪になった事件のことを鑑みたり、また、自民党幹事長二階氏が出したことを認めた1億5千万円の使途不明金の件やこれからも感染者が増えていくであろうオリ・パラの関係者並びに日本中の急激な感染拡大にも頭を悩ませ、来る秋の総選挙と首相の選挙で頭がいっぱいなので、これ以上裁判に関わっているわけにもいかず、致し方なく「被爆者健康健康手帳」を早期に認めることを選んだと推定されます。ここに至るまで40年以上要しています。これが長崎の被爆者の方々にも早期に適用されることを祈念したいと思います。


注1:西尾正道 著 『被曝インフォデミック 』トリチウム内部被曝――ICRPによるエセ科学の拡散  単行本 – 2021/3/13 (寿郎社 刊) 【注:「インフォデミック」とは、「偽情報の拡散」という意味です。】








 

[592](投稿)広島の黒い雨、判決

f:id:new-corona-kiki:20210727071911j:plain被爆認定、大幅に緩和 「黒い雨」二審判決 病気の発症、要件から除外/国側には大きな衝撃
07/15 05:00(北海道新聞デジタルより)

 原爆投下後の「黒い雨」を巡る訴訟で、広島高裁は原告全員を「被爆者」と認める判決を言い渡した。「健康被害が否定できない」というレベルでも認定すべきだとする高裁判決は、全面勝訴だった昨年夏の一審判決以上に被爆地の思いに寄り添った内容となった。「まさかここまでとは…」。国側には大きな衝撃が走った。控訴時に立ち上げ、「結論先延ばし」と批判された国の検証検討会は行き詰まっている。制度の見直しを迫る原告側の願いを裏切れば、国へのさらなる批判は免れない。

 「一審判決よりも踏み込んだ内容だ」。原告団の竹森雅泰弁護士は、満足げな表情で話した。一審判決は特定の病気の発症も被爆者認定の要件としていたが、高裁はこれがなくても認定できると判断を示した。政府関係者は「本当か、と驚いている」と話した。

 現行の認定制度は、降雨状況を踏まえて区域を線引きし、設定された。広島県・市は被爆者健康手帳交付の事務を担うため被告になったものの、実際には長年、住民のために区域の拡大を求めてきた経緯がある。昨夏、制度設計した国の意向で検証とセットの控訴を受け入れたが、松井一実市長が「毒杯を飲むという心境」と表現した苦渋の決断だった。

■科学的知見主張

 政府内には当時、一審判決は原告の証言に傾きすぎて救済範囲の際限がなくなるなどとして、区域拡大には「科学的知見が必要」との声が根強かった。ただ世論の反発への懸念もあり、政府は訴訟を続けながら、検証検討会を設けて救済策を模索するという両にらみの道を選んだ。

 だが昨年11月に厚生労働省が立ち上げた検討会は壁にぶつかり、袋小路に入った感は否めない。検証の目玉の一つだった気象シミュレーションは複数の委員から「不確実性が大きい」「手法そのものに疑問がある」との異論が出され、いつ結論を示せるのか見通せない。

 一方、控訴審の進行は速く、今年2月には判決期日が示された。松井市長は今月、田村憲久厚労相に「科学的知見を超えた政治判断を優先してほしい」と要請した。市の関係者は「100パーセントの結果が出なくても50パーセントでも決断してほしい」と漏らす。国に上告断念を求められるかについては、控訴を受け入れた経緯があり困難との見方を示した。

■「線引き」理不尽

 国は被爆者認定について「科学的根拠」に固執してきたが、そもそもの線引き自体が理不尽との批判は根強い。原告の前田千賀さん(79)は、援護対象区域と川を挟んだだけの実家周辺で黒い雨を浴びたという。同じ集落内でも身内の中で、認定されるかどうか分かれた。2007年に亡くなった父親は1970年代から区域拡大運動の中心人物の一人だった。前田さんは控訴審の判決後、こう訴えた。「ようやくここまで来られた。県や市、国は上告せず、原告以外の人も含めて救ってほしい」

■「微粒子」影響 考慮が必要

 名古屋大の沢田昭二名誉教授(物理学)の話 「黒い雨」が降った地域では通常より小さな雨粒の水分が蒸発した放射性微粒子が、大気中に大量に充満していたと考えられる。呼吸などによって取り込むと体内に付着し、内部被ばくしてしまう。こうした影響を国はこれまで無視してきたが、判決は健康被害を受ける可能性を改めて認めており画期的だ。国は黒い雨の雨量によって援護対象区域を線引きするのではなく、放射性微粒子による被ばくの可能性をきちんと考慮すべきだ。

■地元と国で温度差 黒い雨訴訟で14日の広島高裁判決が一審に続き原告全員の請求を認めたことを受け、被告側の広島県広島市、国は今後の対応を協議する方針を明らかにした。ただ地元と国では温度差があり、湯崎英彦知事は「(判決で)黒い雨体験者の切実な思いが認められ非常に大きな意義がある。上告したくないと思っている」との意向を示した。▼ 松井一実市長も「心身に苦しみを抱えてきた体験者の長年の切なる思いが認知されたものと受け止める。降雨地域の拡大を目指す市の思いを訴える立場で協議に臨みたい」とした。▼ 一方、厚労省原子爆弾被爆者援護対策室は「国側の主張が認められなかったと認識している。判決内容を精査している」とのコメントを出すにとどめた。



②黒い雨訴訟「上告断念認めて」 広島県・市が国に要請

07/16 13:28

 広島への原爆投下直後に降った「黒い雨」を巡る訴訟で、一審に続き原告全員への被爆者健康手帳の交付を命じた広島高裁判決を受け、被告の立場の広島県広島市は16日、田村憲久厚生労働相に面会し、上告しないことを認めるよう求めた。▼ 松井一実市長と、県の田辺昌彦副知事が厚労省を訪れ直接、要請書を手渡した。県と市は手帳の交付事務を担うため被告になったものの、実際には長年、住民のために援護対象区域の拡大を求めてきた。昨夏、制度設計した国の意向で検証とセットで控訴を受け入れた経緯がある。▼ 要請書は、当事者の高齢化に触れ「人道的視点に立って救済方法を考えていくという政治判断が優先されるタイミングだ」などと指摘した。▼ これに先立ち、田村氏は16日の記者会見で、援護対象区域拡大を視野に入れた有識者検討会に触れ「急いで方向性を示したい」と述べた。▼ 厚労省は昨年7月の一審判決に控訴した一方、検討会を立ち上げて検証を進めている。▼ 上告するかどうかについては「精査している最中」「関係省庁、県、市と協議したい」などと述べるにとどめた。

③黒い雨訴訟、容認しづらい 厚労相、手帳交付「重い」07/20 13:28

 広島への原爆投下直後に降った「黒い雨」を巡る訴訟で。一審に続き原告全員に被爆者健康手帳を交付するように命じた14日の広島高裁判決を受け、田村憲久厚生労相は20日閣議後記者会見で「(放射線に関する)他のいろいろな事象に影響する内容とすれば、われわれとしては容認しづらい面がある」と述べた。▼ 原告全員への手帳交付については「重く受け止めている」などと繰り返し、援護対象区域の拡大に一定の含みを持たせた。一方、判決の認定には懸念があるとして上告の可否を慎重に判断する姿勢を示した。▼ 判決は、黒い雨に直接打たれた場合だけでなく空気中の放射性微粒子を吸い込んだことなどによる内部被ばくで健康被害の可能性があれば被爆者と認めるべきだとしている。田村氏は判決が影響する範囲について関係省庁と分析を進めているという。

④黒い雨訴訟、国が上告を要望 広島県、市は受け入れず

07/23 19:55
 広島への原爆投下直後に降った「黒い雨」訴訟で一審に続き原告全員を被爆者と認めた14日の広島高裁判決に関し、訴訟に参加する国が、最高裁に上告するよう被告の広島県と市に要望したことが23日、関係者への取材で分かった。県と市は受け入れず、結論は出ていない。▼ 関係者によると、23日に広島市内で国、県、市の3者協議が開かれ、厚生労働省法務省の幹部が出席。判決を受け入れた場合、被爆者援護法に基づく援護制度を大きく変える必要があるため最高裁の判断を仰ぐ必要があると説明したという。(①②③④の記事はいずれも北海道新聞デジタルからの引用です。)

※※※ 骨川筋衛門のコメント

「原爆投下後の「黒い雨」を巡る訴訟で、広島高裁は原告全員を『被爆者』と認める判決を言い渡した。『健康被害が否定できない』というレベルでも認定すべきだとする高裁判決は、全面勝訴だった昨年夏の一審判決以上に被爆地の思いに寄り添った内容となった。『まさかここまでとは…』。国側には大きな衝撃が走った。」と①の報道では書かれていて、後日、国はこの判決に対して、広島県広島市最高裁に上告するよう「要請した」とありますが、この国の要請の仕方に皆様は、「既視感」がありませんか?      
 ついこの間、オリンピックの前に西村康稔経済再生担当大臣が、酒税を科する国税局や金融機関に酒の卸店やお酒を提供するお店に、酒の提供を「私権を制する」通達を出し、「優越的地位の乱用」とまで批判されたのと同じ道を歩んでいると思います。国の言うことを聞かない場合、地方自治体に「配分するお金」や「選挙になれば協力しない」などというような「悪代官の手口」を水面下で匂わせながら、最高裁に「上告すること」を迫っていると想像します。

◆ 西尾正道氏の「被曝インフォデミック トリチウム内部被曝ICRPによるエセ科学の拡散」(2021・3・11 発行 寿郎社 発行)の45ページに、内部被曝について書かれています。
 広島に落とされた原爆の放射線を直接的に浴びた広島県庁に勤めていた夫を探しに松江市から妻は出かけ、「(原爆投下後)一週間後に入市したが明らかに原爆症と思える症状で死亡した(夫は存命したが)」「松江の夫人は、内部被曝問題への私の疑念の元になった」と「内部被曝の問題に気付いた肥田舜太郎氏の著述」の引用があります。この部分の肝(きも)は、外部被曝よりも内部被曝の影響がより大きいことを示しているのです。原爆の影響を調べた結果、爆心地から2キロメートル以上離れた地域には被害がないとしている[ICRP(国際放射線防護委員会)]の科学は「エセ科学」だと西尾氏は喝破しています。

◆遠い地域に降り注いだ「黒い雨」を浴びて外部被曝を被ると同時に、呼吸器や消化管などから黒い雨を吸ったり口に入れたりして、呼吸器や消化器の細胞や血管内に入り込んで骨髄や各臓器に蓄積された放射性物質が、各臓器に与えた内部被曝の影響は外部被曝よりも強いことを示す例だと肥田舜太郎医師は気づいたのです。黒い雨の影響は長年に続き、かなり後でも癌になったり心臓血管障害や骨髄が侵され、白血病や血小板減少症や貧血や脳腫瘍などにもなったことでしょう。

◆そのようななかで何とか延命できた方たちの声を素直に聞き入れなければ、政府とともに厚労省の信頼は地に落ちるばかりです。新型コロナ対策でも失策の連続のこれまでの経過を鑑みても、この裁判の判決を「真摯(しんし)」に受け止めるべきです。さもなければ、政府、各省庁の権威失墜はなおのこと早まり、傷が深まり、人民の信頼をさらに失いことになると思います。

◆読者の皆様、この「黒い雨」の判決と政府の最高裁への上告を広島県広島市に迫るという今回の「悪代官」まがいの「優越的地位の乱用」をどのように考えられますでしょうか!!

[591](投稿)道と幌延町、地層の追加掘削を容認

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幌延深地層研 追加掘削容認できない
(07/20 05:05 北海道新聞デジタルより)
 日本原子力研究開発機構宗谷管内幌延町の幌延深地層研究センターで実施している高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の地層処分研究で道と幌延町は、坑道を500メートルまで掘削することを容認した。▼ 機構は、当初は2020年度ごろまでとしていた研究期間を、十分な説明もないまま28年度ごろまでに延長した。追加掘削の必要性を強調しだしたのはその後だ。▼ 変更を小出しにする対応は地元の自治体や住民に対する誠実な姿勢とは言えず、延長ありきだったと言わざるを得ない。▼ 地下水の異常出水などで掘削工事が長期化すれば、研究の再延長も懸念される。道は追加掘削について検討を尽くし、疑問点を解消した上で同意したのだろうか。▼ 研究の長期化につながりかねない追加掘削は容認できない。▼ 機構は25年12月ごろに追加掘削を完了させるとしている。現行の350メートルとは異なる地質環境が分かり、技術基盤の整備にも役立つと訴えた。▼ 機構は岐阜県瑞浪市の超深地層研究所で既に500メートルの調査を実施している。瑞浪の地層は結晶質岩で、幌延は堆積岩だ。地質が異なり、多様なデータを集める必要があると言う。▼ ならば期間延長時になぜ正面から説明しなかったのか。研究を長期化させる布石として後から持ち出したとみられても仕方がない。▼ 解せないのは、研究のさらなる延長の可能性について、道と幌延町が確認した内容だ。▼ 機構は再延長は想定していないとしている。▼ しかし研究期間の「調整」が必要と判断した場合には道と町に速やかに報告し、協議するという。▼ 協議が調わなければ「計画は変更せず終了する」ことも確認したが、事実上、道が再延長の余地を機構側に与えたことになる。曖昧な対応は道民の不信感を生む。▼ そもそも道と町、機構は最終処分場転用への疑念を払拭(ふっしょく)するため3者協定を結び、研究区域を最終処分場にせず研究終了後は地下施設を埋め戻すと明記している。▼ ならば、機構は終了と埋め戻しの時期を明示し、それまでに研究を完全に終えると確約すべきだ。▼ それをしない姿勢からは、結局は最終処分場とする選択肢を残したいとの意図が透け、反対派住民らの疑念につながっている。▼ 鈴木直道知事は核のごみを受け入れ難いとする「核抜き条例」の趣旨を踏まえ、毅然(きぜん)と対応してもらいたい。

※※※新井白山のコメント

 幌延の借地延長についてはこれまでも反対の意見がこのブログで述べられてきていますが、改めて、研究をだしに使って幌延の500メートルまで掘り進めることに反対したいと思います。◆ いずれ、地層のなかがどうであれ、ある程度の放射能の廃棄場所として活用できる「見込み」があれば、お金を積んで、原発から必然的に排泄される「核のごみ=高レベル放射性廃棄物」の貯蔵施設を作る算段をしていると思います。なにしろ、原発を無理やり稼働させて、電力会社の金儲けに勤(いそ)しむ、自民党とそれを補助する政党が推し進める政策ですから、「借地権」?を与えたときから運命は決まっていました。◆引き返すなら最初に決めた「借地期限」年数の時でした。しかし、これから北海道民、日本の原発反対の意見を持っている方々の「原発反対・核のごみ捨てること反対」の声を大きく上げ、反対運動を地道にやっていくことで、多くの人々の意識が変わり、福島第一原発事故の二の舞も防ぐことに繋がるのではないかと思います。読者の皆様はいかがお考えになられますでしょうか!!

[590](投稿)五輪強行で菅政権、どん詰まり

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投稿
こんにちは
開会式は見ないで寝ました。
気温と感染者の発症者数は相変わらず右肩上がりですね。
これでは7月のすえを待たずに東京都は2千人を上回りそうです。
高い気温が続く中に台風が突っ込む天気で、選手村のなかもコロナで荒れそうです。

道新の見出しは「政権浮上へ固執 10月総選挙 感染拡大なら黄信号 混迷続けば責任論も」「綱渡り 完走見通せず」「『安全安心』ほころび 『無観客』迷走に不信」「チケット分900億円誰が穴埋め 都と国さや当て」などです。

オリンピック反対のデモがTVで出ていましたね。
今日の「新型コロナ危機の中で」の記事とてもタイムリーで良かったです。
道新も「天皇開会宣言 国民統合の立場」「和訳変え『祝い』見送り」でした。

 チケット代を国が払うとなると全国民の血税からの収奪となり、都が払うと東京都民の血税からの収奪になりますね。@@)

[589]天皇と日本人

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 菅政権は感染症が勢いづくなかでオリンピックを強行しました。もうあとには引けなかったかつての戦争のように。天皇は五輪を「祝い」ではなく「記念し」と表現しました。「何でも言える」仮象をかもす日本を象徴しています。
 東京五輪開催に先だって、天皇新型コロナウイルス感染症の広がりを懸念しているという、宮内庁長官の「拝察」が明らかにされました。
 私はこのニュースを聞いたときには、天皇もさすがに五輪開催には抵抗感があるんだと感じたにすぎませんでした。
 ところがその後、「拝察」された天皇の「気持ち」が大きなハレーションをひきおこし、「五輪を開催するのはやめてほしいと天皇が言ってくれないかなあ」という人が少なからずいたことを聞き考えてしまいました。
 天皇に頼るほかないほどに日本の反対運動は低迷しているということです。また、天皇の政治的発言云々が取り沙汰されていますが、日本人の意識は戦争中のそれと変わってないんだなあと思いました。
 矢印の対象は昔は戦争の相手、いま五輪開催による感染症の拡大、と違いますが、天皇発言の威力にすがるという構造は同じです。憲法に抵触することにつながることではありますが、この問題は憲法問題ではなく、天皇発言に期待する日本人の主体性の欠除という問題が浮かんだということではないでしょうか。天皇も日本人の精神性をよくわかって行動するのでしょう。
 私たち日本人の「お腹のなかの天皇制」は積み重ねられた歴史の重みがあるので、一朝一夕に変えるのは難しいのですが・・・。
 いわゆる「多様」な意見を言える現代日本は、あらゆる意見を吸収し時代に許容された言葉を紡ぎながら、総体として戦争のできる国に向かって進んでいるのではないでしょうか。
 そういえば開会式で「日の丸」をアスリートから自衛隊が受けとり掲揚していました。

[588](投稿)原発設備定年「60年超」を検討

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原発運転「60年超」検討 新増設、建て替え見送り
07/16 06:18
原発運転期間のルール

 政府が原発の運転に関する「原則40年間、最長60年間」の法定期間の延長を検討していることが15日分かった。自民党や経済界の一部が求める新増設やリプレース(建て替え)は、世論の強い反発が予想されるため見送り、既存原発の長期的な活用を模索する。来年にも原子炉等規制法改正案をまとめる方向で調整する。ただ老朽化により安全性への懸念が強まることは避けられない。地元住民や自治体の反発も予想される。▼ 今後の議論では、60年を超える運転を認める際の点検、審査方法も併せて検討する。最長で80年間の運転を認める米国など海外の事例も参考にする。▼ 原発運転の法定期間は、東京電力福島第1原発事故後に導入された。今年6月には、運転開始から44年を超える関西電力美浜原発3号機(福井県美浜町)が現行ルール下で初めて再稼働しており、原則とされた「40年間」は既に「骨抜き規制」との指摘もある。▼ 政府関係者によると、法改正では「原則40年間」の運転期間を長期化したり、その後の審査を経て認められる「最長20年間」の延長を複数回可能にしたりする案がある。▼ 自民党内にも、原発事故後の長期停止を40年間の運転期間から除くなどして、運転延長を求める意見がある。▼ 国内の原発は既存の33基に加えて3基が建設中だが、2040年代に「最長60年」の寿命を相次いで迎える。現行ルールでは50年に残る原発は20基程度の見通し。▼ 政府は温室効果ガス排出減をにらんだ30年度の電源構成を含む「エネルギー基本計画」の改定議論を進めており、原発比率は20~22%程度を検討している。この発電量を賄うには30基程度が必要とされる。▼ 経済産業省が今月21日の有識者会議に示す基本計画の改定案では、原発の新増設やリプレースの推進は明記せず、再稼働などを通じた持続的な活用方針を盛り込む見通しだ。(2021・7・16北海道新聞デジタルより)

※※※ 真田幸村のコメント:

 政府は原発の運転に関する「原則40年間、最長60年間」の延長に必死です。この理由は、新増設は新しい土地を探すのにも時間とお金が必要となるからです。また、建て替えにはお金もかかりますが、そもそも建て替えになると現在ある原発を壊さなければなりません。その「ごみくず」は単なる「ごみくず」ではなく「核のごみ=高レベル放射性廃棄物」であり、それらから強烈な放射能が飛び出てきて、始末に負えないものであり、建て替えなど到底できず、それゆえ「原発の延命措置」に政府並びに各電力会社は必死になっているのです(福島第一原発の始末も全くできていないにもかかわらず)。◆世界の原発に対する流れは、原発の廃止が大半になっています。1979年にスリーマイル島の2号機が炉心溶融という原発事故を起こしました。1号機は運転を継続していましたが、その1号機も採算が取れないため稼働停止を決めたのが2019年9月20日でした。再生可能なエネルギーの普及や天然ガス価格の低下などで採算が悪化したためだと書かれています(2019・9・20朝日新聞デジタルより)。この廃炉には60年かかるそうです。費用は10億ドル(約1千億円)以上かかるとされています。◆この例をみても、新増設や建て替えなどは到底無理というものです。最近の報道では天然ガスに次いで2番目に高い電力料金が原発によるものだとされていますが、これも嘘だと思います。かつても、どの種類の発電よりも原発による電力料金が安いとされてきましたが、これも全くの「嘘」でした。◆原発の燃料となるウランの採掘や精製にも多額の料金が必要であり、採掘する労働者の賃金は安く抑えても、精製には多量の電力と精製装置を必要とし、結果、原発による発電価格は高くついたのです。しかし、新聞などの報道では火力・水力発電天然ガス太陽光発電よりも安いと「騙(だま)してきた」のです。今になって、耐用年数が近くなり、廃炉するしかない時期にきて、なおウランとプルトニュウムの混合燃料(MOX燃料)を使って、原発の再稼働で各電力会社は儲けようと必死です。◆しかし、MOX燃料を使っても良い仕組み・強靭さもない壊れかけの既存の原発MOX燃料を使っての発電は、極めて危険で、第二第三の福島原発事故の二の舞・三の舞になると思います。◆読者の皆様、このような古びて壊れそうになっている原子力発電の「延命措置」は中止にしなければなりません。家電製品ならば少しの延命も可能でしょうけれど、原発の延命策は人民の命取りになります。チェルノブイリ原発事故の拡大を食い止めるために消防士や軍隊をソ連は使い捨てにしました。延命された人たちは浴びた放射線や粉塵に混じった微粒子の放射能物質を体内に取りこまざるを得ず、種々の癌や病に悩まされています。そうならないようにするのは、今のうちにあらゆる原発の廃止を早急にせねばならないと思います。原発の延命措置などもってのほかだと思います!!