[587](投稿)寿都町説明会終了、計8回で延べ100名

f:id:new-corona-kiki:20210722064459j:plain
説明会全8回で106人参加 寿都の核ごみ説明会 全日程終了
07/17 08:32 更新(北海道新聞デジタルより)


寿都】後志管内寿都町が1日から始めた原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定に向けた文献調査に関する住民説明会が16日、全日程を終えた。片岡春雄町長は、町内7カ所計8回の説明会を通して文献調査への理解促進を狙ったが、人口約2800人のうち、参加者数は延べ106人にとどまった。▼ 説明会は、最終日の16日だけ公開された。冒頭、片岡町長は「文献調査に応募したからと言って、処分場が決まったわけではない。次の段階に進むときは住民投票を行うので安心してほしい」と改めて強調。町職員が町の将来の財政状況が厳しさを増すことについて、原子力発電環境整備機構(NUMO)の職員が核のごみの地層処分事業について、それぞれ説明した。▼ 質疑では、調査に反対する町議や住民が「町の住民説明会に地層処分を推進するNUMOを呼ぶべきではない」「核のごみの処分は、新技術ができるまで待つべきだ」などと訴えた。▼ 町は文献調査に関する町民の不安や疑問を解消するために説明会を開いたが、参加者は延べ100人強にとどまった。調査の賛否で町の分断が進む中、説明会への参加を見送った町民も多い。不参加だった無職男性(74)は「賛成か反対かは決めかねている。ただ説明会に参加して発言しても、賛否をみられているようで行きにくい」と話す。▼ 終了後、片岡町長は「地域の団体がやっているサークルなどに出かけて説明する方法などを考えたい」と今後も勉強会を開く考えを示した。NUMO寿都交流センターの末木克久所長も「こちらから出向く形で交流を深めたい」と話した。ただ、説明会に参加しなかった高齢女性は「用事で行けなかったけど、用事がなくても行かなかった。応募の前に勉強するべきで遅いよね」と突き放した。(前野貴大、日野夏美)

※※※ 岩見重太郎のコメント
 寿都町の人口2800人のうちNUMO(原子力発電環境整備機構)が開催した「対話の会」に集まったのは延べ106人だったそうです。いかに、寿都町の住民の方たちが「海岡町町並びにNUMO(原子力発電環境整備機構)」を信頼していないかが分かります。「軒を貸して母屋取られる」という危機感があったと考えられます。◆幌延の借地期間を強引に延長していく様をみても、同じ経過をたどり、文献調査をしてから先に進むか否かは、町民投票をして決めるという片岡町長の言葉は多くの寿都町の住民には届かなかったというほかありません。◆片岡町長は未練がましく「地域の団体がやっているサークルなどに出かけて説明する方法などを考えたい」つぶやいていますが、秋の選挙で再選されるかどうかの方が気になっていることでしょうね。 
 NUMO(原子力発電環境整備機構)の末木克久所長も'「こちらから出向く形で交流を深めたい」といっていますが、これもむなしいことになりそうです。地元の有志の人たちが集める会は、自由に興味のある人に集まってもらって勉強会を自発的に開くので軽く一回の会に100以上集まります。秘密サークルのような寿都町長とNNUMOの会には参加者は8回やってもなかなか住民の方たちが集まらないことが歴然としました。◆記者が町やNUMO開催の説明会に行かなかった女性に問いかけたのでしょうね。なぜ町長やNUMOが集める会に行かないのかと。「説明会に参加しなかった高齢女性は『用事で行けなかったけど、用事がなくても行かなかった。応募の前に勉強するべきで遅いよね』と突き放した」と書かれています。文献調査に応募する前に、核のごみの勉強と寿都町の住民の方々の意見を聞かないで、独断で決めていることや町内を分断することなどに違和感があったのでしょうね。そのように私は推測します。子々孫々のために、きれいな山や土地や海をのこし、日々の暮らしをゆっくりと過ごしたいと思っているのではないかと…

[586](投稿)トヨタ、五輪CMを中止する「CM」

f:id:new-corona-kiki:20210721061110j:plain
トヨタ、五輪関連CMを放映せず 社長は開会式出席を見送り 
最高位スポンサー 社長は開会式欠席
07/19 13:36 更新(北海道新聞デジタルより)
 東京五輪パラリンピックの最高位スポンサーを務めるトヨタ自動車は19日、五輪に関するテレビCMを国内では見送る方針を明らかにした。豊田章男社長ら関係者は開会式に出席しない。広報担当の長田准執行役員がオンラインで報道陣の取材に応じた。▼ 長田氏は理由について説明していないが、CMを放映することで参加する選手への批判が強まったり、企業イメージが低下したりすると判断した可能性がある。長田氏はこれまでの五輪を巡る経緯を踏まえ「いろんなことが理解されない五輪になりつつある」と指摘。「徹底的にアスリートを支援し、大会関係車両などで貢献したい」と強調した。▼ 販売促進向けではなく、アスリートの精神などを伝える内容のCMを用意していたが、取りやめることにしたという。無観客中心の開催となったことで、トヨタの製品や技術をPRする展示や試乗会などのイベントも中止した。▼ 大会関係車両としては3340台を提供する。観客が使う車両が必要なくなったことなどで、当初発表した3700台からは縮小した。全体の90%以上が水素で走る燃料電池車や電気自動車(EV)といった電動車で、二酸化炭素(CO2)の排出抑制に貢献する。

※※※ 森圏外のコメント:

 このニュースを聞いて直感的に以下のことかんがえました。◆ トヨタの社長は「オリンピック協賛CM」競争から「降りる」ということに加え、「開会式欠席」という戦術・作戦まで用意していました。このやり方はコロナ禍の中で、政財界に影響を与える「際立つニュース」であり、トヨタの「匠(たくみ)な宣伝」だと思いました。◆ これがTV報道や各新聞に大々的に幅広く出るだけで、オリンピックでCMをしないでも「(わが社の車は)他社とは違う」という有利な位置を占める「隠れた大きな宣伝」になりました。金銭を払わずして、各内外のTVやネット・新聞報道にも掲載されることも計算してのことでしょう。◆ さらに、オリンピックの下支えになるようにと「大会関係車両としては3340台を提供する。観客が使う車両が必要なくなったことなどで、当初発表した3700台からは縮小した。全体の90%以上が水素で走る燃料電池車や電気自動車(EV)といった電動車で、二酸化炭素(CO2)の排出抑制に貢献する」とまで書かれて、社長の気持ちは、至極、ご満悦の境地に入ったことでしょう。政府が炭酸ガス排出を減らすと言いながら、裏で原発を再稼働させ続ける方針があからさまに出てしまうのに比べると「大きな違い」として、国民の意識に反映することでしょう。◆ しかし、水素と言えども三重水素トリチウム)は放射能を放出します。これが占める水が生み出されていくと長い間に癌を発症したり、種々の血管や臓器の障害が生じていきます。この三重水素の含まれた汚染水は、福島第一原発だけでなく、再稼働している原発からも再稼働していない原発からも海洋に常に垂れ流されています。◆ 原発というのは、休眠状態に置かれていても常に冷やしておかないと原子炉の中で空だき状態となってメルトダウンを起こします。さらに空だき状態が続くと原子炉から高熱で溶け出した核燃料が原子炉の底から抜け落ちて、格納容器の底まで「メルト・スルー」し、福島第一原発のように、強烈な放射能を出し続ける「デブリ」となります。冷却水(地下水や海水など)を常に掛けていなければ、福島第一原発で生じたようにデブリの塊が「熱せられた溶岩」のように「液状」なり、高熱と高レベルの放射能を放射し続けることになります。それを防ぐために、絶えず地下水や海洋からの水を必要としています。それらから発せられる放射能は、水を構成する水素を放射性重水素に変えてしまいます。重水素で構成された水と普通の水とを分離することは大変困難で、普通の水と重水素でできた水を区分けするには膨大なエネルギーを要します。◆ 風力発電も考えられていますが、寿都の漁業関係者は、漁の邪魔になるとして、喜んではいません。台風の時や無風の時には困る装置でもあるのです。太陽光パネルもパネルの覆われた土地利用はできないので、無駄が多いように思えます。◆ また、原発には「電源喪失になってしまわないようにするため」に、火力発電所などの補助発電装置が必要です。これが震災・大津波で発電機が作動せず、原発が壊れて大事故になったのが福島第一原発のチュエルノブイリ級の過酷な原発事故です。◆ 読者の皆様、このようなことも考えに入れた上で、トヨタの社長の方策を見直してみること、並びに、菅政権・自民党の政策、電力会社の原発稼働策に対して反対の声を上げて行こうではありませんか!!

[585](投稿)寿都町近隣にも買収の動き

f:id:new-corona-kiki:20210720052627j:plain
① 寿都近隣4町村は協議に応じる方針 核ごみ交付金
07/17 05:00
 【寿都原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定に向けた後志管内寿都町の文献調査に伴い国から支給される交付金の配分について、同町から協議を打診された同管内の近隣4町村(岩内、蘭越黒松内、島牧)は16日、いずれも応じる方針を決めた。今月下旬にも協議を始める。▼ 黒松内町島牧村は核のごみの受け入れを拒否する「核抜き条例」を制定するなど調査に反対する立場だが、黒松内町の鎌田満町長は「交付金制度を勉強する意味もある」と協議参加の理由を答え、島牧村の藤沢克村長は「交付金のルールに基づいて申し入れを受けたから」とした。▼ 町議会が核抜き条例について審議している蘭越町の金秀行町長も「まず(寿都町の)話を聞かなければいけない」と述べた。3町村とも交付金受け取りの是非については、議会と話し合うという。▼ 4町村で唯一北海道電力泊原発の立地自治体として関連する交付金を受けている岩内町は調査への賛否を示しておらず、木村清彦町長は「交付金の使い方など寿都町の考え方を説明してもらった上で、議会にも相談したい」と述べた。▼ 交付金は文献調査の2年間で最大20億円が支給され、調査地の寿都町には5割以上、残りは希望する近隣自治体に配分される。(前野貴大、宇野沢晋一郎)(北海道新聞デジタルより引用)

② 核のごみ交付金配分協議へ 寿都町と近隣4町

07/15 23:35 更新
 【寿都】後志管内寿都町は15日、原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定に向けた文献調査受け入れに伴い国から支給される交付金の配分について、同管内の近隣4町村(岩内、蘭越黒松内、島牧)に協議を申し入れた。7月下旬にも協議の場を設ける。▼ 蘭越黒松内、島牧の3町村はこれまでの取材に、調査に反対する立場から交付金は受け取らないと答えているが、蘭越黒松内両町は協議には参加する見通しで、島牧村は未定。▼ 交付金は文献調査の2年間で最大20億円が支給され、調査地の寿都町には5割以上、残りは希望する近隣自治体に配分される。寿都町は本年度予算に1年分の10億円全額を計上したが、希望する町村があれば基金に積み立てた5億7千万円の中から配分する。▼ 片岡春雄町長は3月の町議会で、蘭越黒松内、島牧の3町村を念頭に「近隣町村はいらないと言っている」として自町で全額使う意向を示していた。ただ、同じく文献調査が進む同管内神恵内村が今月、近隣4町村と交付金の配分協議を始めたため、寿都町も近隣自治体の意向を確認することが必要だと判断した。(前野貴大)

※※※ 織田輝南のコメント

 寿都町は、近隣の町村に交付金を分けるという神恵内村の「策」を真似て、「核のごみ」に関して文献調査を受けることで得る最大で20億円の交付金を岩内、蘭越黒松内、島牧にも分けることを持ちかけていました。このうち、未定や議会で協議するという回答もありましたが、結局は全町村が文献調査を経ないでお金が入るなら?分け前を少しでももらう方向へと舵を切りました。
 NUMO(原子力発電環境整備機構)は、「核のごみ=高レベル放射性廃棄物」の廃棄地を増やすためには、周辺の自治体にも飴玉を用意した方が良いと考えて、先ずは、積極的に文献調査を受け入れる神恵内村村長に耳打ちをして、交付金の一部を周辺の町村に分けるという前例を作りだし、これを「人寄せパンダ」としてみせて、寿都町の反対派を抑え込んだり、秋の寿都町町長選挙にカネに目がない片岡町長が当選する「仕掛け」の一つとして、神恵内村方式の交付金の一部を分配するという策に出ました。 
 何しろ、泊原発を始め、日本全土の停止している原発を稼働するためにも、膨大に積みあがっている「核のごみ=高レベル放射性廃棄物」を分散して、地中に埋めていかなければ、核のごみで原発稼働もおぼつかなくなっているからです。しかも、アメリカから輸入したすべての原発の寿命は40年で、その40年がすぐそこに近づいてきているからです。
 しかし、老朽化して福島第一原発チェルノブイリ原発事故のような過酷すぎるレベル7という最大級の事故を起こす可能性があるにもかかわらず、原発で稼ぎたい各電力会社は、延命治療によってわずかにでも廃炉を先延ばしにして、「陳旧性の老いたる原発を稼働させて金儲けを優先」させるという極めて危険な手法を「手軽に稼働」させる愚かな策に出ています。

 この金儲けの策と、金儲けが大好きな寿都町の片岡町長は、NUMO(原子力発電環境整備機構)を媒酌人として結びつき、交付金に目がくらんだ片岡町長は、「寿都町を核のごみ捨て場」の候補地として国に町や町民の命を差し出したのです。

 神恵内村の行った交付金の分配をうらやましく思った寿都町周辺の町村もよだれを流しながら見ていると、そこにNUMOが考えた神恵内村方式の分配に賛同するという有様になりつつあります。自分のところは多少離れているから、核のごみ=高レベル放射性廃棄物大丈夫だと思っているのかもしれません。

 なによりも、寿都町の秋の選挙で現職の町長が当選しないと国策が実現しないと思っている政府・経産省・NUMOは必至です。あの手この手で、寿都町を先ずは「手ごめ」にして、全国に、「文献調査」という「毒いりの甘い蜜」をばらまいている実績を作りたいのです。高知県の東洋町での「国策」が敗れてから、どこも核のごみを引き受けてくれていないからです。かつて、唯一、青森県の「むつ市」が受け入れましたが、現在では、むつ市の現市長は「むつ市は核のごみ捨て場ではない」と関西電力の核のごみの受け入れを断固として断りました。

 あとになって、失敗だったと後悔しても、お金を受け取ったら、幌延(ほろのべ)のように、借地の期限延長を押し込まれてどうにもならなくなります。

 読者の皆様はお金で「核のごみ」を捨てるという国家政策をどのように思いますか?同時に、危険な老朽化した原発の稼働の延命策をどのように思われますか?

[584](投稿)核のごみ処分場交付金のおすそ分け協議

f:id:new-corona-kiki:20210719044407j:plain
核のごみ交付金配分協議へ 寿都町と近隣4町

 【寿都】後志管内寿都町は15日、原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定に向けた文献調査受け入れに伴い国から支給される交付金の配分について、同管内の近隣4町村(岩内、蘭越黒松内、島牧)に協議を申し入れた。7月下旬にも協議の場を設ける。▼ 蘭越黒松内、島牧の3町村はこれまでの取材に、調査に反対する立場から交付金は受け取らないと答えているが、蘭越黒松内両町は協議には参加する見通しで、島牧村は未定。▼ 交付金は文献調査の2年間で最大20億円が支給され、調査地の寿都町には5割以上、残りは希望する近隣自治体に配分される。寿都町は本年度予算に1年分の10億円全額を計上したが、希望する町村があれば基金に積み立てた5億7千万円の中から配分する。▼ 片岡春雄町長は3月の町議会で、蘭越黒松内、島牧の3町村を念頭に「近隣町村はいらないと言っている」として自町で全額使う意向を示していた。ただ、同じく文献調査が進む同管内神恵内村が今月、近隣4町村と交付金の配分協議を始めたため、寿都町も近隣自治体の意向を確認することが必要だと判断した。(前野貴大)(2021・7・15北海道新聞デジタルより)

※※※ 上杉真剣のコメント:

 寿都町も核のごみ交付金を、神恵内村(かもえないむら)を真似て、近隣の4町村が希望すれば「基金に積み立てた5億7千万円の中から配分」する態度にでました。ここまでしないと、寿都町町長は「欲深爺さん」とみられ、秋の町長選に勝てないと判断したのだと思います。◆NUMO(原子力発電環境整備局)が主となって、町民との「対話の場」を設けましたが、寿都町の町民は集まりませんでした。それに危機感を抱いたNUMOと片岡町長は裏で相談し、「我欲」を見せまいとして近隣の4町村にお金を配分するという「町長選挙当選策」を打ち出して、是が非でも「10億~20億」の「調査費」という名のまだ国から貰っていない「交付金」を「希望する町村があれば基金に積み立てた5億7千万円の中から配分する」と名目なども変えて、いくらかでもでも配布することを決め、各市町村に打診することにしました。◆このような手を使わざるを得ない状況に寿都町の片岡町長ならびにNUMOは町長選挙の先が暗いことに頭を悩ませていると思います。漁業などへの打撃を与える「核のごみ」、だれもが嫌う「核のごみ」ということが明確になってきたのです。そうでなければ、このような「愚策・下策」は出てこないと思います。読者の皆様はどのように思われますでしょうか?

[583](投稿)追いつめて地元に誘致させる・政府の手口

f:id:new-corona-kiki:20210718060519j:plain
<シリーズ評論 核のごみどこへ>29 過疎地追い込み「服従
 東京工業大教授・中島岳志氏(46)
(2021・6・3北海道新聞デジタルより引用)

 原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場のように誰もが受け入れたくない施設を過疎地が自ら引き受けようとするケースがある。これは国がその選択肢しかない状況にまで地方を追い込み、手を挙げさせているという構造が背景にある。国が自治体を主体的に従属させる構造で、私は「自発的服従」と呼んでいる。核のごみの最終処分場選定の文献調査に手を挙げた後志管内寿都町神恵内村はこれに当てはまる。▼ 北大で教員をしていた5年前まで、道内各地に出向いて自治体職員らの話を聞いた。過疎に悩み、「もう手だてがない」と言って刑務所やごみ処理場を誘致して雇用を生もうと考える様子を見てきた。その体験から、迷惑施設を地方に受け入れさせる構造について着目するようになった。▼ 自発的服従は戦後日本の構造で、代表例が原発だ。大都市の電力を支えるため、国が地方に原発を押しつけたというより、雇用を求める過疎地に「どうぞ来てください」と言わせた。東京電力福島第1原発事故をきっかけに、多くの人が原発は東北などに押しつけられてきたと感じたと思う。▼ この構造は小さな行政を目指す自民党政権新自由主義的な政策で加速している。国は地方交付税を削減し、さらに地方を競争させようと、人口減少を防ぐ戦略を自治体に策定させる地方創生を導入した。自治体で勝ち組、負け組をはっきりさせ、負け組は自治体運営が失敗したと反省する。そこで核のごみを受け入れたら多額の補助金が入るとなれば、「これしかない」となる。寿都町長が文献調査に手を挙げたが、国からすれば地方創生の効果が出たということだ。▼ 核のごみを巡り、寿都町では住民同士で対立し、経済産業省は責められていない。寿都町民だけが傷ついている。これも自発的服従によるもので、仮に経産省寿都町に処分場を造りたいと言ったら、経産省VS寿都町民になるが、寿都町長が手を挙げたため、国は当事者とならず住民から批判されにくくなっている。▼ 統治というのは地域が割れるほどうまくいく。住民同士の争いになれば批判が上にいかない。国は地域が一つになって反対するのを一番嫌がり、もめてくれたほうが良い。分割統治といって、英国のインド統治がそうだった。日本でも水俣病患者への補償金認定の線引きで住民が分断された。▼ 核のごみ問題は本来、国に責任がある。原発を始めた時からセットで考えなければならなかったが、国は問題を先送りし、手を挙げてくれる地方に都市部の生活のツケを背負わせようとしている。この構造で本当に良いのか私たちはもっと考えなければならないし、国の責任放棄を許してはいけない。地方は自発的服従に陥らないよう、大規模事業で一発逆転を狙うのはやめ、住民の主体性を重視した取り組みを地道に積み上げていくべきだ。(聞き手・山田一輝)

<略歴>なかじま・たけし 大阪市生まれ。京都大大学院修了。北大には2006年から16年まで在籍。16年から現職。専門は南アジア地域研究、近代思想史など。

※※※ 骨川筋衛門のコメント:

 中島岳氏は、談話で、「原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場のように誰もが受け入れたくない施設を過疎地が自ら引き受けようとするケース」があり、これには「国がその選択肢しかない状況にまで地方を追い込み、手を挙げさせているという構造が背景にある」と断じています。そしてこれは「国が自治体を主体的に従属させる構造」であり、これを「自発的服従」と呼び、「核のごみの最終処分場選定の文献調査に手を挙げた後志管内寿都町神恵内村はこれに該当する」と指摘しています。

 中島氏は北大で教員をしていた5年前まで、道内各地に出向いて自治体職員らの話を聞き、「過疎に悩み、『もう手だてがない』と言って刑務所やごみ処理場を誘致して雇用を生もうと考える」自治体の様子を見聞してこられました。「その体験から、迷惑施設を地方に受け入れさせる構造について着目するようになった」のですが、その結果、「自発的服従は戦後日本の構造で、代表例が原発だ」と指摘しています。「大都市の電力を支えるため、国が地方に原発を押しつけたというより、雇用を求める過疎地に『どうぞ来てください』と言わせた」と言い、また、「東京電力福島第1原発事故をきっかけに、多くの人が原発は東北などに押しつけられてきたと感じたと思う」とも彼は言います。この手法と構造は「小さな行政を目指す自民党政権新自由主義的な政策で加速している」と指摘しています。

 しかしこの「小さな行政」は、国が地方の方から手を挙げたように見せかけるという「蜃気楼(しんきろう)」なのです。国が押しつけると地方自治体の意見は割れ、国の目的が果たせなくなり、同時に国の責任が問われかねないため、自治体が国に「お願いをする」という構造を作ろうとしているのです。自治体の意見が割れ、争いになっても国は素知らぬ顔ができます。これを英国のインドの統治の仕方と同じ「分割統治」なので、中島氏は「分割統治」と呼んでいます。

 本来の責任は国にあるのに、あたかも地方自治体に責任があるかのようにもって行く手法で、国は責任を免れ、地方自治体は後始末に追われます。果ては「福島第一原発事故」のように、後始末も到底できない「チェルノブイリ原発事故」と同じ世界的規模・最高レベルの原発事故が生じても、安倍首相は、福島第一原発事故は、「アンダー・コントロール」と世界中の人に向かって「虚偽」を言ってのけ、五輪を招致しました。その結果、この五輪の現状の観客を入れるかどうかの現下の大混乱も、最後は各自治体の責任にされました。感染拡大が始まれば、決定した地方自治体の責任になるわけです。

 「地方(自治体)は自発的服従に陥らないよう、大規模事業で一発逆転を狙うのはやめ、住民の主体性を重視した取り組みを地道に積み上げていくべきだ」と中島氏は言います。自治体の、とりわけ寿都町神恵内村の「核のごみ」受け入れの「文献調査」等について、警告していることを当事者の地方自治体だけではなく、全国民が考えるように促していると思います。読者の皆様は「核のごみ」の処理について、同時に、現下のオリンピックの開催の招致と混乱についてどのようにお考えになりますでしょうか?

[582](投稿)菅政権、コロナ対策の失敗を飲食店のせいに。兵糧責めの強権発動

f:id:new-corona-kiki:20210717055929j:plain
実態は政府ぐるみ、批判拡大 金融機関要請、首相・閣僚に説明 「個人より政権の体質」
07/14 05:00
 酒の提供停止に従わない飲食店に対し取引金融機関の働き掛けを求めた政府の新型コロナウイルス対策を巡り、13日も批判が拡大した。各省庁が入念に事前調整し、知らないと公言していた菅義偉首相が実際には説明を受けていたことも判明。政府ぐるみで進めようとした事実は否めず、酒卸業者に対して酒の提供を続ける店との取引停止を求める対策も撤回に追い込まれ、政権の弱体化は必至だ。▼ 西村康稔経済再生担当相は13日の記者会見で「深く反省している」と陳謝。閣僚辞任は「責任を果たしていきたい」と否定した。金融機関への要請に関して、首相も出席した7日の関係閣僚会合で事務方から提示したことも明らかにした。▼ 首相は9日、「承知していない」と記者団に述べていた。政権幹部は当初、西村氏個人の失言として幕引きを図る考えだったが、実際には内閣官房が銀行を監督する金融庁や、政府系金融機関を所管する財務、経済産業両省と事前に調整し、依頼文書を出していた。▼ 7日の会合に出ていなかった閣僚も個別に事前報告があったと認めた。麻生太郎財務相は13日の会見で「何か違うんじゃねえのと思った。(政府は飲食店へ)融資してくださいと言っているのに融資を止めろという話をしている。普通に考えればおかしい。ほっとけと言った」と説明。梶山弘志経産相も「強い違和感を覚え、趣旨を確認するように指示した。私が了承した事実はない」と述べた。▼ 首相や閣僚が報告を受けながら政府方針を「知らなかった」「了承していない」と主張し、責任を西村氏1人に押しつける異様な構図だ。自民党内では13日も西村氏に対し「辞任すべきだ」(閣僚関係者)と厳しい声が上がったが、立憲民主党枝野幸男代表は党会合で「西村大臣個人の問題にとどまらない政権全体の体質の問題だ」と指摘した。▼ 首相は13日昼、公明党山口那津男代表との会食で「ご心配をお掛けした」と陳謝した。そのわずか数時間後、今度は酒卸業者への呼び掛けも撤回。東京都への4度目の緊急事態宣言に伴う新たな対策は相次いで失策の烙印(らくいん)を押された。▼ 自民党関係者は「こんなことをやっていたら支持率は上がらない。衆院選は全部リセットするくらいじゃないと大変だ」と漏らした。野党は14日の衆院内閣委員会で責任を追及する。(佐藤陽介)(2021・7・14北海道新聞デジタルより)

※※※ 武田心玄のコメント:

 「優越的地位」にあるとされる西村康稔経済再生担当相は続けて2度も酒類に関する政策の失態を演じました。①「酒の提供停止に従わない飲食店に対し取引金融機関の働き掛けを求めた政府の新型コロナウイルス対策」、この「政策」を補強するために、②「内閣官房が銀行を監督する金融庁や、政府系金融機関を所管する財務、経済産業両省と事前に調整し」、酒類を卸す業者に「酒類を卸すな」という意味の「依頼文書」を発出していたことで、政府・自民党は「大混乱」となり、「誤解だ」などとごまかしたりしながらの「大騒動」になりました。当初、菅首相は①に関しては、「知らない・聞いていない・(西村大臣は)そのようなことを言う人物ではない」というような内容を、本当は事前に知っていたにも関わらず公言しました。梶山経産大臣も「聞いていない」というような態度に終始。それゆえ、「酒卸業者への呼び掛けも撤回。東京都への4度目の緊急事態宣言に伴う新たな対策は相次いで失策の烙印(らくいん)を押され」、自民党内部からも衆議院選挙対策の練り直しの声が上がっているのも当然だと思います。何より菅首相の首がより危うくなりました。最近の世論調査でも菅政権の支持率は急降下しています。 

 このような権力を振り回してきた菅義偉氏の衣鉢(いはつ)を「まともに」継いでしまったのが西村康稔大臣で、彼の下策を裏で容認したのが菅首相たちです。現実に危険水位に達するのももうすぐだと予感させる菅首相の新型コロナ対策の失敗と「オリンピックのバブルの崩壊」の始まりの鐘の音が大きく鳴り響き、地盤沈下が早まろうとしていると思います。

 加えて、ワクチンの「供給不足」をごまかすのに大わらわです。各自治体にはまだ在庫があるはずだ…などと言ってその場しのぎをしています。新型コロナデルタ株の感染拡大は「オリンピック村」からも拡大していくのではないかと危ぶまれます。その時期(とき)にあって、「備えのワクチン不足」は大打撃です。「備えなければ憂いあり」ですね…若い人も中年も罹患者が増えている現在…

[581](投稿)私の一存?

f:id:new-corona-kiki:20210716054911j:plain
「西村氏の独断」印象付けに躍起…首相と周囲の言葉ににじむ思惑
7/15(木) 9:41配信

西日本新聞

 新型コロナウイルス対策で、酒類提供を続ける飲食店に対応を取るよう酒類販売業界と金融機関に行った要請を撤回した菅義偉政権が、「西村康稔経済再生担当相の独断だった」との印象付けに躍起になっている。ワクチン接種や東京五輪パラリンピックを巡る混乱で内閣支持率が低迷する中、これ以上、首相の傷口が広がるのを回避しようとの思惑がにじむ。▼14日、首相は官邸で記者団に向かい、要請に関し「先週、事務方の説明の中で言及されているということでありますけれども、要請の具体的な内容について議論したことはありません」と繰り返した。▼酒類提供停止に応じない飲食店に対し、酒類販売業界に取引停止を、金融機関には順守の働き掛けを求めた二つの要請は、7日の新型コロナ対策の関係閣僚会合で首相らに説明され、翌8日に西村氏が公表した。  ▼14日の衆院内閣委員会の閉会中審査で、野党側は「(関係閣僚会合で)説明を受けて異論が出なかったということは、首相が責任を持って要請を発出したということだ」と主張したものの、当の西村氏も首相と整合性を取るように「私の責任で行った」と答弁。「反省すべきところは反省しながら、感染拡大防止に全力で取り組む」と辞任も拒んだ。▼当初、「あくまで一般的なお願いだ」(加藤勝信官房長官)と要請を維持して乗り切ろうとした政権だが、衆院選を間近に控えた時期に世論と業界から想定外の強烈な反発を受けて一転、「撤回ドミノ」に追い込まれた。ある閣僚は「(要請は)政府方針ではない」、官邸筋も「首相は詳しい中身まで知らなかった」などと強調。西村氏個人の「勇み足」とのシナリオへ誘導し、政権トップの責任問題に波及しないよう腐心している様子がうかがえる。▼一方、政府関係者によると、西村氏は周囲に「総理の了解まで得ていたのに、はしごを外された」とも漏らしているという。いずれにしても、政権が強権的な印象を与える施策を乱発し、臆面もなく引っ込めた混迷ぶりに変わりはない。ガバナンス(統治)機能の低下を指摘する声が強まっているが、官邸幹部は「今回はたまたまだ」とうそぶく。 (東京支社取材班)(2021・7・15 yahooニュースより引用)

※※※ 織田信康のコメント

 菅首相と菅官邸はまことに往生際が悪い!!西村経済反再生大臣が「優越的地位」から強権的に酒類を出さないようにという圧力を飲食店と金融機関からかけてくれということと、国税局からも同じ趣旨のある力をかけるように要請したことは紛(まぎ)れもなく、西村大臣だけが決めたことではなく、これらの二つの要請は、7日のコロナ対策関係閣僚会議で決めたことである。しかし、菅は知らなかったとしらを切ったときから、さらに菅首相の統治能力が疑われる道が開かれたと思います。この「はしごを外さた」というのも愚かしいことです。この人民の恨みを買う下策のシナリオの結末は「分かり切ったこと」です。
 この下策では、支持率がさらに激減して、内閣総辞職に追い込まれていくことは目に見えていることが分からない連中で凝り固まっているにもかかわらず、西村は「代表」して指示したわけですから、ぼやいてもどうにもなりません。風向きを変えるために、給付金の出し方を変えて見せますが、追いつかないでしょう。政府の思惑は外れ、感染拡大だけが目立つだけのオリンピック・パラリンピックになるのではないかと懸念します。

 あらためて、抜け穴ばかり目立つバブル方式のオリ・パラによる感染拡大が最小限にとどまることを願うばかりです。バッハの広島等に詣でるのも自己アピールのための「パフォーマンス」だということも付け加えたいと思います。