[743]介護1対3を1対4へ 政府行革会議

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 政府が行政改革推進会議で介護労働の規制緩和を検討しはじめました。現在介護労働者は1人で最大3人の介護を行うことが上限とされています。上限を4人に増やすというのです。要するに労働生産性を上げよということです。
 ある介護福祉士によれば、見守りだけなら1人で10人みられるが食事介護、入浴、排泄介助などは1対1でやらなければならない仕事だといいます。(NEWS PICK)私は見守りだけだとしても一人で10人の見守りができるのかと素人ながら思うのですが······。
 介護労働者は低賃金でハードな労働を強いられています。日経新聞は「センサーなどのIT(情報技術)活用で介護現場の生産性を高める」といいます。しかし生産性を上げるということは労働の密度を上げよということです。ITセンサーなど労働手段となるものを介護サービス生産過程に導入するということは、労働者はそれをつかうために新しい技術性を身につけ使いこなすために心身を磨り減らさなければなりません。
行革推進会議が言っていることの意味は、介護事業の資本家は労働者を「もっとこき使え」ということです。
 岸田政権の新しい資本主義はこういうことだったのです。新しくもなんともありません。資本家が新しい設備であるIT機器を介護サービス生産過程に導入するのは合理化の典型です。
 便利になるからいいではないかというのは、資本家が合理化攻撃に抵抗する労働者を説得するための口上です。便利になる分、単位時間あたりより多くの仕事をするように働きなさいということです。
 
技術的構成の高度化
 
 合理化とは労働生産性を高めるために生産過程の主体面と客体面を技術化することです。介護サービス生産過程に新技術形態(IT機器など)を導入するということは、生産過程の主体面の労働強化が必然となるのです。
 資本家が生産過程に新技術諸形態を導入するのは、最小の労働をもって最大の生産力を得るためです。生産過程に投入する生産諸手段(労働対象となるもの及び労働手段となるもの)の分量と労働の分量との比率を高めることが目的です。これを技術的構成の高度化といいます。この技術的構成の高度化は、労働量にたいする生産手段の量的な増大としてあらわれます。
 介護労働では1人の受け持ち人数を3人から4人に増やすということです。仮に1人にたいする仕事が楽になるのだとしても(楽にはならないでしょうが)、うけもつ人数が増えるわけですから労働者はてんてこまいです。
 他業種でもAi合理化が行われるでしょう。どんなに高度な仕事ができるようになっても労働者は疲弊することになるのではないでしょうか。

[742]香港立法会、親中派一色に

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香港議会選挙、親中派が99パーセント

 「愛国者による香港統治」と聞くだけでデモにたいする香港警察の弾圧が思い出されます。そしてジョージ・オーウェル『1984年』の世界を連想します。
「戦争は平和なり 自由は隷従なり 無知は力なり」
「自由とは二足す二は四と言える自由である。その自由が認められるならば、他の自由はすべて後からついてくる。」(『1984年』)
 スターリン主義から転向した習近平の「共産党」は、官僚専制という統治形態を強化し国家資本主義へと転態しました。今日の中国はスターリン主義国家建設の破産のうえにそびえ立つ資本主義の国家、すなわち「共同性の幻想的形態」にほかならず「社会主義」とは縁もゆかりもないのです。
 私は香港の労働者学生による逃亡犯条例反対闘争や国家安全維持法反対闘争に熱い思いで注目し支援していましたが、今日の香港は少なくとも表面上は中国による暴力的弾圧によって「平定」されてしまいました。
 
 19日 に香港立法会の選挙が行われ、全90議席のうち親中派が89議席を占めました。
 投票率30.2%(前回58%)。日経新聞によれば香港の会社員の張さん(25)は「偽物の選挙なので投票には行かない。当局はほとんどの民主派を収監し、応援したい候補はいない」と語りました。90議席のうち「一般市民」が選べるのは20議席であとは親中派 の委員や業界の互選できまります。しかしながら政府が「愛国者」と認めないかぎり立候補できません。
 いまなお多くの人が獄中にいます。弾圧下、雌伏している香港のたたかう労働者学生は中国の労働者階級とともにやがて再起する日が来ます。日本の労働者も支援しつづけます。

[741](寄稿)急務のワクチンブースター接種

ペンギンドクターより
その2

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急務のコロナワクチンブースター接種根詰まりのブレイクスルーは?

わだ内科クリニック
和田眞紀夫

2021年12月15日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
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1.急務のコロナワクチンブースター接種根詰まりのブレイクスルーは?

欧米をはじめとする世界の国々では、冬の季節に突入したと同時に再び新型コロナウイルスの感染が拡大してきています。アジアでもそれは例外ではなく、お隣の国の韓国では連日7000人以上の新規感染者を出しているのが現状です。

このところのマスコミ報道は南アフリカで発見された変異の激しいオミクロン株の話題で持ちきりですが、忘れてはならないことは今現在世界中で猛威を振るっているのはデルタ株だということです。今後オミクロン株に移行した時にどうなるかについて今は別稿に委ねたいと思います。ここでは現時点で問題となっているデルタ株の問題点を探りたいと思います。韓国の感染状況を例にとってご紹介すると、韓国では連日の感染者数が7000人を超え過去最高を更新していますが、重症や死亡の80%以上が60歳以上の人たちで、60歳以上の陽性者の80%はブレイクスルー感染、すなわちこの年齢層の新規感染者の80~85%は接種完了しているとのことなのです(高麗大学感染内科金宇柱教授)。これは由々しき問題です。韓国政府はブレイクスルー感染が現在の感染状況につながっていると考えて、現状打破のためブースター接種の前倒しを表明しました。

ところで日本の現状はどうでしょう。感染者数は激減していてほとんど収束に近い状態です。そのためか厚労省は3回目接種を2回目接種から8カ月以上開けて実施するとしていますが、実はそのように決めた医学的な根拠は何もなく、ただ地方自治体が接種券の発行・発送とワクチン供給・輸送が(急に言われても)間に合わないからという行政管理上の理由のためからそうしているのです。日本では高齢者以下のコロナワクチン接種のタイミングが遅れて夏の終わりから秋にかけて実施されたので、多くの活動的な世代ではまだワクチンが効いていてそのために感染者が少ない可能性が高いのですが、春ごろから接種を始めた高齢者のコロナワクチンの効果はすでに切れ始めていると考えられます。

「オミクロン株の感染性は高くとも毒性は弱いのではないか」というような議論がありますが、新型コロナウイルス感染の特徴は当初より高齢者で重篤化しやすく、若い人の多くは無症状もしくは軽症で治っていくということで、今に始まった話ではありません。詳しくみれば若い人でも後遺症の問題は無視できないのですが、ここではこの問題は置いておきましょう。問題は無症状感染者がウイルスを運び高齢者に伝播させる温床となっていること、そしてそのためには社会全体の感染をコントロールしなければいけないということです(自分は平気なのだから普通の風邪のような扱いにしてほしいと考える人がいるのは理解できないわけではありません)。となるとデルタ株にせよオミクロン株にせよ感染の温床となりうる多くの人がブースター接種を受けることが大切なことに違いありません。

では日本が現在抱えているブースター接種の根詰まりを解決する打開策はないのでしょうか。実はそれは簡単なことで、国によるワクチン供給の管理・統制体制をやめて、通常の医薬品卸業者への発注・受給体制に組み入れればいいだけのことなのです。例えば新型インフルエンザワクチン接種が急務だった2009年のときも、接種順位が厳しく統制されていても通常の発注・受給体制で滞りなく接種が遂行されました。

問題はなぜ国が地方自治体を通してワクチン供給をする管理・統制体制をやめたがらないのかということで、おそらくは接種後のVRS(タブレット)への記録入力で接種状況を把握しておきたい、国の管轄下に置いておきたいという官僚統制体制を崩したくなという理由からだけなのです。このままでは行政対応の手遅れのために第6波の感染が拡大して少なからず重症・さらには死亡者が発生する事態になりかねません。対策の取り様で少しでも救える命があるのならば、できる限り最善を尽くさなければならないのです。

2.集団接種体制の構築に向けての提案

私が子供の頃はワクチンの集団接種は当たり前のことで、学校でもいっぱいワクチンを打った記憶があります。当時は保健所にも集団接種のノウハウを知った人がいっぱいいたわけですが、いつからか集団接種は行なわれなくなり、今ではどうやって集団接種をしていたか知っている保健所職員もまったくいなくなってしまったようです。

コロナワクチンは国民全員接種を目指してきたわけですが、そうなると会場設定もスタッフの必要数も相当なことになると思います。それではほかのワクチンでそのようなことがかつてあったのでしょうか。例えばインフルエンザワクチンの接種率はどのくらいなのだろうかと調べてみたら、法定接種でもなんとちょうど50%ぐらいなのです。英米の接種率が60-70%と高く、接種率でトップの韓国ではなんと90%にも届かんとする接種率です。なお、法定接種というのは日本では主に高齢者を対象とした接種であり、一般の方に対する任意接種数はこの数字には含まれていません。毎年のインフルエンザワクチンの生産量が2500万回分であることから推察すると国民全体では高々20-25%の接種率ということのようです。
ところで日本におけるインフルエンザワクチン接種の長い歴史を見ると、昭和50年代はなんと60-70%の接種率だったのが、ちょうど1990年代に極端に接種率が下がってそれからまた少しずつ回復して50%になっていたのです(いずれも法定接種)。どうしてこういうことになったのかというと、それまでの予防接種では接種針を再利用していたのですがこのために肝炎ウイルス感染などが発生することがわかって、1994年に集団接種自体が中止となりワクチン接種が激減したのです。ところがその結果として90年代には約800名の幼児がインフルエンザで死亡するという事態になり、個別接種に形を代えて徐々に復活を遂げてきたというわけです。

ワクチンで唯一地球上から姿を消したのは天然痘ウイルスです。これは全世界の人がワクチンを打ったからです。ワクチン接種が世界的に広がらなければ、ウイルスの撲滅はできないでいでしょう。しかし多くのウイルスは撲滅を目指してはいないはずで、ワクチンを打つ目的が違います(個々人の感染予防のため)。天然痘でどうしてそのようなことが成功したのか、今のコロナワクチンの接種状況(接種に反対する人が少なからず存在する)からは考えられませんが、人以外に感染の温床となる宿主動物がいなかったことも幸いしたかもしれません。

最後に迅速にコロナ接種を推し進められる打開策を一つ提唱します。それは選挙投票場で投票と同時に接種を行うというものです。一般的な投票場というのは、特に行列を作っているわけではないし、会場は体育館などで広さはそこそこあり、さらに好都合なことは本人確認も確実にできるからです。投票率が50%なら単純計算では全国民の50%の人の接種がたった1日でできてしまうかもしれません(もちろん接種を希望するひとだけですが)。その日だけは医師会員が仕事を休んで(もともと投票日は日曜日です)交代で全員が会場に張り付ていていたらいいし、誰かが強力に音頭を取ればできないことではないでしょう。

多くの人にワクチンを打ってもらうにはインセンティブは必要ですが、アメリカで実施した、お菓子を配るとかそういうのは必ずしも成功しなかったようです。インセンティブもそうですが、不精な人には選挙の時に一緒にというのは悪くはないやり方です(来夏はまた参議院選挙があります)。選挙とタイミングを合わせるのはなかなか難しいですが、必ずしも選挙投票時でなくても投票場を利用して似たような形式で実施することはこれからもありえる方法かもしれません。日本全国でできないのであれば、一部の地方自治体で採用してもいいかもしれません。


3.コロナワクチン接種に当たっての心構え

ことコロナに関しては、感染者の早期発見と治療(もしくは隔離)が原則だとすれば、(検査に関しては)どこかの国のように「いつでも誰でも何処でも無料で」できるようになれば理想です。これは検査だけでなくワクチンも同様です。

アメリカでは街中のいろいろな接種会場をふらっと訪れて接種を受けることが可能でした。接種会場は駅とか薬局とかショッピングモールとかにあったと思います。こういうやり方は自由度が高い反面、接種に関しては自己責任も負わされていて、ワクチンの種類とか接種回数とか各個人が自分で考えて受けなければならなかったはずです。それでも「いち早く多くの人が接種する」ことが最重要課題だとするなら、そのような方法を選択するのもありだったのではないでしょうか。つまり、緊急時の対応と定期のワクチン接種は考え方がガラッと変わってもいいと思います。とはいえ、実際のところはといえば、日本では難しいでしょう。ブースター接種がなかなか進まない理由のもう一つにはワクチンの供給量が十分ではないこともありそうで、それならばそのことを正直に国民に情報公開して説明するべきです。IT化が遅れていることも大きなネックとなっています。

なお、今回の投稿では触れませんでしたが、欧米では5歳から12歳の子供へのコロナワクチン接種が始まっています。社会全体の感染抑制のためには有効な手段と考える専門家も多いのですが、日本ではどうするかの議論すら行われていません。少なくとも学校や保育園などの集団生活の中でコロナ感染者もしくはその疑いがある子が発生した時にどう対処したらいいか(検査体制を含め)、学校や各施設に任せっぱなしにしておかないで、きちんと具体的な対処方法を文科省厚労省なりがマニアルにまとめて公表すべきです。このことでそれぞれの施設が頭を悩ませているのです。早急な対応が望まれるところです。

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[740](寄稿)「がん」の話

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ペンギンドクターより(12月17日)
その1

皆様
 朝晩寒いですね。温暖化そのものは変わらないのに寒く感じるのは年のせいだと思います。室温は日差しで二十度近くてもパソコンに向かうときは、足元の足温器のスイッチを入れています。今朝は雨で、「寒い時は身体を動かすに限る」と、師走の恒例行事の大掃除に一階の部屋の窓ふきなど雑巾がけをしました。明日は二階の部屋のカーテン洗濯+雑巾がけをする予定です。一方、女房は年賀状の印刷をしてくれました。これから数日かけて年賀状にひと言をペン書きでつけ加えてポストへ投函です。

 COVID‐19についてはオミクロン株の動向が気になりますが、日本でのデルタ株は沈静化 したままです。本日は「医療あれこれ(その63)」を送ります。転送するMRICの主張は「和田眞紀夫医師」です。デルタ株沈静化以後、和田氏の主張は久し振りです。彼の意見は具体的でまさに現場からの発信と注目していました。しかし、今回の意見はいささかインパクトに欠けますが、現状の解説として転送します。

 さて、本題です。私の現役のころの専門の「がん」のお話から始めます。

 すい臓がんでは医学部の同級生が少なくとも3人死んでいます。同級生100人ほどのうち物故者は13人ですから、割合は高いと言えるでしょう。最も予後不良のがんです。一般的にがんは2:1と男性に多いのですが、すい臓がんに限り、ほぼ1:1で女性にも多いがんです。私がH病院にいた時、一年で3人のすい臓がんを見つけましたが、全員手術不能でした。しかも3人とも40歳未満の女性でした。3人とも国立国際医療センターの胆嚢・すい臓専門の後輩に送りましたが、「そちらには、どうしてそんなにすい臓がんが多いのですか?」という質問を受けました。偶然ですが。

 なお、K君の「肺がん」ですが、タバコが原因の「扁平上皮癌」であり、胸部の単純写真ではわからないことが多いのが実情です。つまり、気管に近い気管支に多く、CTでないとわかりません。彼の場合は、「反回神経麻痺」があって見つかっていますから、残念ながら進行した状態でようやく診断がついています。
 反回神経とは迷走神経(消化管などに分布する10番目の脳神経)の枝で、右は右鎖骨下動脈で前方へ反転して上方へ、左は大動脈弓で反転して上方へ分布し、甲状腺の背部、気管にそって声帯に分布します。反回神経麻痺で「嗄声(しゃがれ声)」になります。声帯に直接影響する喉頭がんで「嗄声」が起こりますが、反回神経が麻痺した状態でも「嗄声」が起こります。したがって、甲状腺がんでもしゃがれ声になります。私はH病院で50代の女性でタバコを吸っていないのに「嗄声」があり、甲状腺がんを見つけたことがあります。また、食道癌でも起こります。特に食道がん手術でリンパ節を系統的に摘出すると反回神経を傷つけて術後「嗄声」を引き起こします。傷つけただけで、切断しなければ(特に電気メスの使用では再生しない)半年ぐらいで元に戻ります。食道がんの多くの原因がアルコールとタバコで、喉頭がんや肺がんの原因の多くはタバコですから、このへんの癌は「嗄声」で見つかることが十分あり得るということです。しかし、肺がんも食道がんも「嗄声」があれば、進行した状態ですから、予後は極めて悪いと言えます。

 すい臓がんに戻ります。女房の同級生の件です。彼女が腹膜播種(腹腔内に転移が広がった状態)にて見つかったすい臓がんです。今年の3月に診断がつき、腹腔内には断続的に抗がん剤を皮下に埋没したチューブから投与、さらに別の抗ガン剤を静脈より全身投与しています。抗がん剤の副作用で髪の毛は抜けましたが、腫瘍マーカーも正常に戻り、現在元気です。コロナ下ですが、4月初めのお見舞いに続いて、先日東京の彼女のマンションで5人で同級会もやったようです。したがって、女房は今年2回上京しています。彼女は「73歳まで生きられればいいな」と言っているようです。確定診断後の生存日数の中央値は291日、1年生存率は40%というのがすい臓がんの現状です。

 もう一つ、私が今最も信頼し尊敬もしている作家・評論家は「佐藤優」です。ご存じの方も多いでしょうが、彼は1960年生まれの61歳です。私は彼の本を100冊ほど読みました。彼は以前から腎臓が悪いと聞いていました。経緯は不確実ですが、末期の腎不全で奥さんから腎臓移植の可能性を探るため、検査したところ、前立腺がんが見つかったとのことです。転移の有無を検査中とのこと。
 前立腺がんだけならともかく、腎臓移植ができなければ、血液透析になるとのことで、一日4時間(昔から)の睡眠で月に2000枚の原稿を書いている佐藤優の仕事に支障が出ないか心配です。このことはいずれ詳しく書きます。
 きょうはこのへんで。

[739]溜まる放射性汚泥、土壌、瓦礫

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土嚢、瓦礫

 福島第一原発廃炉作業の困難は増え続ける汚泥(スラリー)とその容器の劣化への対応にとどまりません。
 東電は事故直後、汚染水を建屋地下の貯水槽にためました。その際、セシウムを吸着する軽石ゼオライト」をつめた土嚢を床に並べました。放射能をふくんだ土嚢約26トンはいまだに汚染水につかったままです。2019年度に線量を計ったところ最高で毎時4シーベルトで近くにいると1時間で半数の人が亡くなります。東電は23年度以降に遠隔ロボットで土嚢を回収する予定だといいますが、いつまでにどのように保管するのか未定です。
 他にも汚染された瓦礫や土、伐採された木などが現在約48万立方メートル、10年後 には約79万立方メートルに増える見こみですが、処分先は決まっていません。
 国や東電は廃炉完了を30年後としていますが、まず不可能でしょう。スラリーをはじめ放射能汚染された物質は増え続けます。
 政府はそれを知っていて原発再稼働だけでなく新増設まで口にしはじめているのです。
私たちは黙っていてはならないと思います。

[738]福島第一原発で増え続ける放射性汚泥

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 福島第一原発事故後、デブリとかスラリーという言葉が使われるようになりました。デブリとは溶け落ちた核燃料のこと、スラリーとは汚染水の処理で増え続ける放射性汚泥のことです。
 朝日新聞の記者が福島第一原発事故廃炉作業の現場に入りレポートしています。報告によれば廃炉作業は行き詰まっており先は見通せません。

スラリーの蓄積と放射線による容器の劣化

 スラリーは汚染水に含まれる放射性物質を薬剤で沈殿させる工程で発生します。泥状でストロンチウム濃度が1立方センチメートルあたり数千ベクレルの高線量のものもあるといいます。11月時点でスラリーの保管容器は3373基まで増えました。容器はスラリーから出る放射線で劣化し、東電は2025年7月以降に寿命を迎えるといっていますが、規制委員会はすでに31基が耐用年数を超え、さらに2年以内に51基が寿命を迎えるといいます。新しい容器に詰め替えるしかないのですが、東電が低線量のスラリーで詰め替えるテストをしたところ1ヶ月かかりました。このテスト用スラリーの1000倍の線量のストロンチウムを含むスラリーもあり非常に危険です。容器の蓋は遠隔で行わなければなりませんが、具体的な見通しがたっていません。
 しかも、詰め替えの過程で放射能をふくんだ埃もたち、空中に飛び散る恐れもあると規制委員会に指摘された東電は、周辺をビニールハウスで囲うことを検討中だといいます。
 スラリー容器は次々と寿命をむかえます。この間全国で原発再稼働を許可してきた原子力規制委員会ですら今年6月、東電に「詰め替えには時間がかかる。切迫性を共有してほしい」と迫ったそうです。
 私はそれを知りませんでした。
 危険なことはまだあります。
つづく

[737](投稿)なぜ改ざんが起きたのか

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うどんくい
12/16 05:00
 お米が切符制となった1941年のこと。ある小学校の仲の良い女性教師2人の話だ。5年を受け持つ教師の教室に1年の担任が顔を出し、乾物屋の娘である児童にメモを渡した。何か注文したかと思った教師が何げなく「うどんはあるかしら」と尋ねたが、1年の担任は「ないんだって」と答えた▼翌日、用事ができた5年の教師が1年の担任の家に立ち寄ると、乾物屋から届いたうどんの山があったそうだ。ばつの悪い思いをしたことだろう。宮本百合子の随筆「うどんくい」にあった▼物資が困窮し米が副食品となった時代である。雑誌「婦人之友」の国民食の統計調査で食べたいものの最下位に沈んだうどんを巡り、親友をあざむかなくてはならぬ世相に宮本は嘆息した▼その統計で宮本が疑問を感じたのは調査の対象だ。家族のためやりくりし自身は栄養不良になりがちな主婦が外されていた。「家庭の声も統計されて初めて全面に亙(わた)る課題の参考となる」との指摘はもっともである▼3年前、厚生労働省の毎月勤労統計でずさんな調査が発覚したが、今回はさらに悪質な改ざんである。国土交通省が建設業者から集めた受注実績の数字を無断で書き換えていた。これでは実態は反映されないし、政策立案の基礎が根底から崩れかねない▼「うどんくい」とは仕事が下手な人のこと。信頼を失ってはせっかくの喉ごしも楽しめないだろうに。
2021・12・16(北海道新聞 コラム『卓上四季』より)

★★★ 一労働者

 戦争のためそれまで主食だった米が国家の統制品になり、切符がないと手に入れにくくなり、「うどん」が「主食」となった時代のことが宮本百合子によって描かれています。その時代の「婦人之友」の国民食の統計調査で食べたいものの最下位に沈んだうどんでしたが、その統計について、宮本は家族のためやりくりし自身は栄養不良になりがちな主婦が外されていたことに疑問を感じました。「家庭の声も統計されて初めて全面に亙(わた)る課題の参考となる」との指摘はもっともであるとコラムの筆者は賛同し、かつ「国土交通省が建設業者から集めた受注実績の数字を無断で書き換えていた。これでは実態は反映されないし、政策立案の基礎が根底から崩れかねない」という危惧を述べています。

 統計が操作されると諸領域に多大の影響を与えることは、新型コロナの時代にいろいろな統計が出てきて、その解釈に惑わされる方も多いのではないかと想像します。

 これに付け加えて言うならば、さらに、なぜ「国土交通省が建設業者から集めた受注実績の数字を無断で書き換えていた」のか?という疑問が湧きます。書き換える必要性や誰に指示され書き換えたのか?これも、森友学園の土地問題と共通するお金の問題があるのではないかという疑いが湧いてきます。例えば、この書き換えによって、地価が高騰したり、工事業者の株が値上がりしたりしたのではないかと想像するのです。早くから知っていると株を先に買い込んで儲けを得ることも可能です。その昔、田中角栄が新幹線を走らせる道筋を「お友達・仲間」に教えて田んぼや荒れ地を安く買い、新幹線が走ることが分かると値が上がり、「お友達」は大儲けしたと言われています。

 角栄氏の末路はロッキード疑獄と脳血管障害の罹患でした。国土交通省の書き換え問題ではとりあえず誰が大儲けしたのか?しているのか?ということも調査対象に挙げなければなりません。赤木氏が陥れられた事件でも「書き換え」で誰が得をしたのか?だれの指示で、突然、国民の血税のお金で裁判を「中止」したのか?岸田内閣の上には誰が君臨しているのか?などを考えてもしかるべきだと思います。

 考えてみませんか!! 発端と末路をも…