政府が行政改革推進会議で介護労働の規制緩和を検討しはじめました。現在介護労働者は1人で最大3人の介護を行うことが上限とされています。上限を4人に増やすというのです。要するに労働生産性を上げよということです。
ある介護福祉士によれば、見守りだけなら1人で10人みられるが食事介護、入浴、排泄介助などは1対1でやらなければならない仕事だといいます。(NEWS PICK)私は見守りだけだとしても一人で10人の見守りができるのかと素人ながら思うのですが······。
介護労働者は低賃金でハードな労働を強いられています。日経新聞は「センサーなどのIT(情報技術)活用で介護現場の生産性を高める」といいます。しかし生産性を上げるということは労働の密度を上げよということです。ITセンサーなど労働手段となるものを介護サービス生産過程に導入するということは、労働者はそれをつかうために新しい技術性を身につけ使いこなすために心身を磨り減らさなければなりません。
行革推進会議が言っていることの意味は、介護事業の資本家は労働者を「もっとこき使え」ということです。
岸田政権の新しい資本主義はこういうことだったのです。新しくもなんともありません。資本家が新しい設備であるIT機器を介護サービス生産過程に導入するのは合理化の典型です。
便利になるからいいではないかというのは、資本家が合理化攻撃に抵抗する労働者を説得するための口上です。便利になる分、単位時間あたりより多くの仕事をするように働きなさいということです。
技術的構成の高度化
合理化とは労働生産性を高めるために生産過程の主体面と客体面を技術化することです。介護サービス生産過程に新技術形態(IT機器など)を導入するということは、生産過程の主体面の労働強化が必然となるのです。
資本家が生産過程に新技術諸形態を導入するのは、最小の労働をもって最大の生産力を得るためです。生産過程に投入する生産諸手段(労働対象となるもの及び労働手段となるもの)の分量と労働の分量との比率を高めることが目的です。これを技術的構成の高度化といいます。この技術的構成の高度化は、労働量にたいする生産手段の量的な増大としてあらわれます。
介護労働では1人の受け持ち人数を3人から4人に増やすということです。仮に1人にたいする仕事が楽になるのだとしても(楽にはならないでしょうが)、うけもつ人数が増えるわけですから労働者はてんてこまいです。
他業種でもAi合理化が行われるでしょう。どんなに高度な仕事ができるようになっても労働者は疲弊することになるのではないでしょうか。