[47]広がる在宅勤務について

日経新聞は欧州では在宅勤務が標準になりつつあると報じています。

 新型コロナ感染症の広がりの中でドイツでは12%から25%に上昇。フィンランド、オランダでは在宅勤務を認める法律が施行されています。アメリカでは5月、ツイッター社が5000人の全従業員の在宅勤務を決めました。日本では法制化はされていませんが、5月29日~6月2日の在宅勤務を含むテレワークの実施率は25.7%になり3月の2倍に達しました。(パーソナル総合研究所調べ)

確かにコロナ感染症対策として、感染の危険性を避けるために会社に行かないのは有効です。製造業は休業しました。労働組合は休業補償を要求すべきです。けれども在宅勤務の導入には警戒が必要です。いま言われはじめているのは、コロナ危機下でテレワークを試験的に導入したことにふまえてコロナ以後の標準的な勤務形態として企業が在宅勤務を採り入れるということです。

在宅勤務は8時間労働制の廃止につながります。経営者は労働時間規制を廃止するために在宅勤務を含むテレワークを導入するといっても過言ではないのです。残業代にかかわる賃金コストの削減になりオフィス賃借料の節約にもなります。労働者は完全な成果主義賃金制度が導入され、家に居ながら他の労働者と競うことが強いられます。労働者にとってストレスは高まります。テレワークの問題性は5月21日のブログ「[5]家で仕事をしたくない」を見てください。

 定時の労働時間が廃止されるということは、労働者にとって生活全体を変えなければならないということを意味するのです。朝会社に行って仕事をして、夕方終業時間になって家路につき、会社の外で「自分の時間」を過ごすという生活のサイクルが基本的に壊されます。家に居ながら仕事をするというのは、多くの労働者は24時間の拘束感を感じることになるのではないかと思います。

 永続的に在宅勤務になれば、新しい形の大きな問題が起こってくるように思われるのですが、どうでしょうか。