[237](投稿)任命拒否の本当の理由は言えない菅首相

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 菅は2日の衆院予算委員会で、日本学術会議の会員任命拒否問題を巡り、会員の選考が「閉鎖的で既得権益」のようになっていると批判し、組織改革の必要性を強調した。拒否理由は「人事に関することで答えを控える」と繰り返した。除外した6人の研究や実績については、東大の加藤陽子教授(歴史学)以外は「知らなかった」と述べた。
 会員の選考方法に関し「官房長官在任中から懸念していた」と言及。会員とのつながりがなければ新会員になれないとして、「前例主義踏襲はやめ、例えば民間人や若い人を増やせたらいいと私が判断した」と拒否の正当性を主張した。
 6人が安全保障関連法などに反対したことが任命拒否の理由ではないか、との指摘に対しては「ありえない」と重ねて否定。ただ、具体的な理由は「説明することによって、その後の円滑な人事が困難になる恐れがある」と回答を拒んだ。…(中略)… 
 2050年の脱炭素社会に向け、原発など「原子力を含むあらゆる選択肢を追及する」と重ねて強調。梶山経産相は「全ての手段や技術を駆使しなければ、脱炭素の達成は難しい」と述べ、原発再稼働を進める姿勢を示した。

首相 延々「ゼロ回答」 「差し控える」繰り返し/的はずれな説明も 矛盾追及にしどろもどろ

 6人の会員候補の任命を拒否した理由について、菅は「通常の公務員の任命と同様、人事に関することは答えを差し控える」と従来の答弁を繰り返した。
 ただ菅は著書で、自身が進めたNHK改革に否定的な発言をした総務省課長を更迭した理由を「一課長が勝手に発言したのは許せない」などと記述。この食い違いを問われると「(任命拒否と)すでに公務員である人の人事異動は異なる」と苦しい延命に追われた。
 加藤官房長官は記者会見で「公知の事実なら場合によって説明することもある」と擁護したが、政権に都合の悪い事実は説明を拒む姿勢が、より鮮明になった。
 首相は会員が旧帝国大所属に偏り、若手が少ないとするが、拒否された人のうち3人が私立大所属で、53歳の宇野重規東大教授が含まれる点については「大学に偏りがあるのは事実。49歳以下の会員は3%だ」と直接答えなかった。さらに理由を問われると「個々人の任命の有無は答えを差し控える」とのみ。質問した立憲民主党今井雅人氏は「会員候補105人のうち52歳以下は11人しかおらず、宇野氏は若手。事実と違う対応をしている。めちゃくちゃだ」と批判した。
 午前の質疑終了後、菅は同期で立憲民主党の辻本清美予算委筆頭理事と言葉を交わした。辻本氏によると「きちんとした答弁をして」とくぎを刺すと首相は「分かりました」と応じたという。実際は、しどろもどろの答弁や的はずれの内容も目立ち、立憲本部は「(論点をずらす)ごはん論法にすらなっていない」とあきれた。
 一方、自民からは学術会議の在り方を問題視する質問が上がった。大塚氏は、全国の研究者数に比べ、人文社会系の会員の比率が高いなどと指摘し、「特定のグループにとって既得権益化している」と菅を援護した。また、複数の研究者から聞いた話などとして「学術会議の提言は質が非常に低い」と主張。菅は「国民から理解される会議にしたい」と応じた。
 首相の答弁能力については「一問一答は不安だ」(自民党関係者)などと不満も漏れる。野党は任命拒否に関わったとされる杉田官房副長官の招致を求めるが、首相答弁の不安から自民は「無理筋だ」(国対幹部)と拒否し、問題の早期収束を図る構えだ(吉田隆久、鈴木誠

2020・11・3 北海道新聞より一部改訂して引用いたしました。

※※※ 骨川筋衛門のコメント
 菅政権は、支持率が高いところから出発したので、自民党内部から「学術会議」問題で「混迷」してしまったのは「残念だ」という関係者もいます。自民党関係者は「先行き不安」でしょうね。
 しかし、「けんか師」という「異名」をとる菅にとって、「けんか」を吹っ掛けたいという「気分」が先行するのでしょう。
 「任命しない表向きの屁理屈」はどうでもいいのです。「政権に反対する学者・研究者」を「任命から外す」というのが菅の狙いで、それが、誰もが言うように「正鵠(せいこく)を射ている」(注1)からです。
 それをいってしまうと「身も蓋(ふた)もない」だけではなく、全国から非難の声が上がることや、解散選挙が必至だからでしょう。今のコロナ禍、オリンピック前の解散選挙はまずいと思っていることでしょう。
 そうでなくても、自民党内からも、杉田官房副長官の招致は「首相答弁の不安から『無理筋だ』」といわれるくらいの予算委員会の「波乱・混迷の幕開け」ですから。
 日本学術会議は、各分野の専門家集団が、210名で構成され(事務方は50名で国家公務員です)①6年ごとに半数が替わる仕組みであること、②その専門分野ごとに次の学術会議の学者・研究者を論文や研究成果などを精査して、分野ごとに複数の会員が議論して、選抜していくわけで、知り合いだからとか、地縁血縁、学閥とかで決めないと思います。そんなことをすれば、内部からの批判も起きてきます。また、政府から諮問されてもその回答の質の低下は免れないと思います。
 さらに、会議の一員に選ばれるということは、「名誉」であるという社会的な意味もあると思いますし、また、本人は自分の研究に「矜持(きょうじ)」(注2)をもって学会誌などに論文や研究成果を投稿し、表明する、講演する、学生に教える、弟子を育てる等々の役割を果たしていく人だと思います。
 国家からの独立性を保つことができれば良いのですが、残念ながら、日本のこれまでの文化・制度からすると一気にはできそうもありません。
 菅は「恫喝(どうかつ)」として「約10億円」の予算を止めるという話も持ち出していました。
しかし、それを言うなら、同じ北海道新聞に掲載されている「国会議員 公用車『議員特権』委員長が専有/公務外使用   見直し・削減進まず」という見出しで書かれている、年間20億円を超える公用車の方を削減してはいかがかと思います。

読者の皆さま方はどのようにお考えになりますでしょうか!!

以下のアドレスはyahooニュースに掲載されていた、いろいろな学者の意見です。
参考までに掲載いたします。
https://times.abema.tv/news-article/8627010

(注1)「正鵠(せいこく)を射(い)る」:物事の急所を正確につく。正鵠を得るともいう。
(注2)矜持(きょうじ):その道を歩んできた者として確固たる信念に立脚し、相手によって恥じたり引け目を感じたりするような相対的なものではなく自己の尊厳に密接にかかわるというニュアンスを込めて用いられる。