政治介入の疑念強まる 学術会議の任命拒否 首相「説明控える」15回
11/07 09:29
政治介入の疑念強まる 学術会議の任命拒否 首相「説明控える」15回
菅義偉首相にとって就任後初の本格論戦の場となった衆参予算委員会が6日終わった。首相はこの日の参院予算委で、3年前に日本学術会議と事前調整を行った上で会員を任命したことを初めて公式に認めた。一方で今回、事前調整が行われなかったことと任命拒否との因果関係については不安定な答弁に終始し、審議はたびたび中断。6人の拒否理由は明らかにされず、政治介入していた疑念は深まった。
■審議中断20回
「意見交換を行った。人事のプロセスなので説明を差し控える」。首相は、共産党の小池晃書記局長から事前調整の内容を問われると「控える」との答弁を15回繰り返した。そのたびに野党側が抗議し、審議の中断は約20回に上った。
小池氏が今回の任命拒否について「一定の調整ができなかったから拒否した。露骨な政治介入と認めるか」と質問を重ねると、首相は原稿に目を落としながら「学術会議法に基づき適切に判断した」と答弁。複数の学会が拒否理由の説明と6人の任命を求める声明を出したことへの見解を問われても「ご意見として伺う」と直接の答えを避けた。
事前調整を巡っては学術会議の大西隆元会長が、16年の会員補充人事で、官邸から推薦前に候補者案の説明を要求された上、候補の優先順位を入れ替えるよう求められ補充を断念したことを明らかにしている。17年の定期改選では官邸への事前の説明を経て、最終的に希望に沿って任命されており、これが首相の言う「一定の調整」と指すとみられる。
小池氏は委員会後の記者会見で「選考段階から意見を言い、受け入れられなければ任命しないという違法行為が明確になった」と指摘。事前調整について、5日の参院予算委の自民党議員の質疑で突然明らかになったことも問題視した。
■「一貫性ゼロ」
4日間にわたった予算委では、政府側は任命拒否問題だけでなく、野党側の追及には曖昧な答えを繰り返し、議論が生煮えに終わる場面が目立った。首相は自ら打ち出した2050年の温室効果ガス排出実質ゼロに関連しても、実現に向け焦点となる将来的な原発の新増設について問われると「現時点では考えていない」と明確に答えなかった。
一方、首相は野党からも反対が少ない不妊治療の保険適用拡大については6日も「早急に実現する」として時間を割いて説明するなど姿勢の違いが際立った。
今後の焦点は、野党が求める集中審議の開催と、除外に関与した杉田和博官房副長官の招致に移る。これまで首相は任命拒否の理由を「総合的・俯瞰(ふかん)的」「多様性」などと説明を替えてきた。立憲民主党幹部は「答弁の一貫性はゼロだ」として答弁の変遷や矛盾を突く方針だ。(吉田隆久、文基祐、鈴木誠)
北海道新聞デジタル版から引用致しました。 2010・11・7
※※※ 石川木鐸(ぼくたく)のコメント
菅がにとって、衆参予算委員会が終わって、やれやれと思ったことでしょうね。
しかし、新しい・大きな問題の「火種」を残しました。2017年に事前調整があったとしても、今回はなくて、いきなり6名の推薦された候補者の人たちを任命しなかったという「理由」については、全く口をふさいだままで「シャットダウン」したから、この火種が、原野から林野にさらに延焼させていくことになるでしょう。
「17年の定期改選では、官邸への事前の説明を経て、最終的に希望に沿って任命されて」いるので、何事も生じませんでした。
これは、当時のアベが学術会議に、菅のような「弱い・けんか師」のごときゲスな因縁を付けなかった(注1)ためでしょうね。
また、「内閣府学術会議事務局が2018年に作成した、首相が推薦通りに任命する義務はないとする内部文書」があるのかないのかも証明されず、またその内容を、口頭で全日本学術会議会長の山極寿一氏に口頭で事務局長が報告したという「事実」も証明はされていません。山極氏は、6日の共同通信のメール取材に「文書の内容は知らず、なぜ作成する必要があるのかの説明も事務局から受けていない」と回答しています。このような、すぐにばれる「嘘」をつく癖があるのでしょうね。これが「首相」と言えるでしょうか!!
質問に回答するとまずいことは、ことごとく避け、「説明を控える」こと15回!! アベのもりかけ問題やさくら問題もひどかったけれど、菅はもっと「醜悪」ですね。
任命拒否の理由が言えないなら、屋上屋を架す(注2)ような「内部文書」というような「偽計」とも言える「いい加減な」その場しのぎの「手」を使うことは、ことを大きくするだけに終わらずに、世界も「日本のへっぽこ政治屋の答弁」を見聞し報道知る中で、「田舎政治屋の答弁」と「トランプの言動」と比較しているでしょうね。
「選挙でダメなら最高裁まで…」という「狂気」と「へっぽこ虚言」とを。
16年に大西隆元会長は、会員候補補充人事で、官邸から推薦前に候補者案の説明を要求された上、候補の優先順位を入れ替えるよう求められ補充を断念していることを明らかにしています。「推薦候補を言われるがままには補充しない」というこのくらいの「自負と矜持(きょうじ)」を持っているのが、日本学術会議の会員であり、自他ともに認める一流の学者・研究者の「心意気」です。そうでなければ、世界が認める学者・研究者にはなれないでしょう。
おバカな自民党の議員は、政界の中で日本の研究数が少ないとかいう「ケチ」をつけますが、英文で発表する研究もあれば、日本語で発表する論文もあり、比較する基準の違いもあります。こんなことも、身近な優秀な相談できる「学者」の一人も知らないようでは先が思いやられますね。
さらに言えば、もっと潤沢な研究費と人件費を出さないと世界に比肩する研究ができない分野も多いと思われます。基礎的研究や数学の難解なまだ解けていない問題にチャレンジする学者も抱えていないと、優秀な後続の研究者も生まれません。
養老孟司氏は本に書いています。文科省に出す研究費を求める書類に、「この研究はなにに役立つのか?」という設問があるそうです。自分がやっている解剖学の研究が何の役に立つか?と問われても「分からない」と言うしかないと書いていました。おそらく、何に役立つかということが書ける研究は、すでに問題が解決している「研究」です。
多くの研究者は、今すぐに役立つ・流行に乗った「インスタント・コーヒー」研究をして、その結果、多くはすぐに古くなる研究結果に終わります。
これの反対として、例えば、「光るオワンクラゲ」の光り方のメカニズムを研究して、突きとめて、後にそれが応用されて、癌の遺伝子にくっつけて、どこに癌細胞があるか突き止めるとか…というようなことに発展して、ノーベル賞に輝いた下村脩氏のことを想起しました。(注3)
議員の乗る車という「既得権」に出すお金も含めて、それらを研究費に回してみてはどうでしょうか、各研究費や、主たる研究者を助ける助教授や助手や技師を雇用する人件費や諸器具や特殊な構造を持った「研究所」がなければ、先へ進むのが遅くなるのは目に見えています。様々な雑費に見えるものや器具がそろっていないと研究は進みません。山中伸弥教授ははっきりとこのことを発言して、研究費を求めています。マラソンが好きな人でもありますが、研究費を寄付してくださいというメッセージも含めて、マラソンランナーもやっています。研究費が極めて少ないからです。
(今述べた費用として大きなものでは、例えば建物自体が、新型コロナウイルスを安全に扱える施設であることが必要で、それを利用し、その中で安全に操作できる多くの技師・助手も必要です。研究論文をいち早く入手する資金、諸雑誌を購入する資金、諸文献を入手する資金等々がなければ、進まない学問分野もあります。古文書などは高くて購入するのはなかなか難しいでしょうね。)
上記のような様々な苦労をしながら、研究を継続し、論文として投稿し、講演し、居眠りする・缶ジュースを飲む、隣の人と雑談を授業中にするような学生を教え…多忙を極めてる中、研究をさらに深めていくという地道な仕事に日夜没頭する姿を描いてみてください。そのような努力をされている方々に文句をつけるほうがいかに下衆(げす)な輩(やから)かがわかるというものです。
読者の皆様は、このような「国会答弁」を見聞して菅の同類にならぬように、絶えざる探求心をもって働き・生活してくださいね。
共にこのような非道な菅の「独裁政治」に反対していきましょう!!
注1:「因縁を付ける」とは、「無理に理由をこじつけて相手の非を責めたてる。言いがかりをつける」こと。例文:「ちんぴらに―・けられる」
注2:「屋上屋を架す」に同じ。屋根の上に、もう一つ屋根を設けるように、無駄なものをこしらえること。「屋下に屋を架す」とも言う。
注3:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8B%E6%9D%91%E8%84%A9