[266](投稿)核のゴミどこへ

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<核のごみどこへ>行き詰まる国のサイクル政策 「直接処分」促す声も

原発の使用済み核燃料を全て再処理し、プルトニウムなどを燃料に再利用する国の「核燃料サイクル政策」について、見直しを求める声が専門家らから上がっている。サイクル政策が行き詰まり、実用性や実現性を伴わないためだ。地上の工場で極めて放射能が強い液体を扱う再処理をせず、使用済み核燃料をそのまま地中に埋める「直接処分」の検討を促す指摘もある。
「直接処分の調査研究を着実に進める」。梶山弘志経済産業相は2日の衆院予算委員会で、自民党下村博文氏に直接処分の必要性を問われ、そう答弁した。ただ10日の記者会見では「核燃サイクル推進が基本方針で、直接処分は想定していない」と、踏み込まなかった。
核燃料サイクルは、後志管内寿都町神恵内村が処分場選定への文献調査を受け入れた核のごみ最終処分の前提。再処理でプルトニウムとウランを取り出して混合酸化物(MOX)燃料として再利用する一方、残った廃液をガラスで固めた高レベル放射性廃棄物が、いわゆる「核のごみ」となる。最終処分法では、この核のごみだけを地層処分すると定めている。
現政策の意義について、経産省は「エネルギー資源に乏しい日本で、資源を有効活用するため全量再処理が必要」(原子力立地・核燃料サイクル産業課)と強調。青森県六ケ所村で再処理工場の2022年の稼働を目指す日本原燃も「再処理すれば、直接処分に比べ廃棄物の体積を4分の1に低減でき、放射能が安全なレベルに下がるまで10万年かかるところを8千年に短縮できる」と説明する。
しかし、実際には、MOX燃料の使い道は限られる。利用を想定した高速増殖炉は、研究段階のもんじゅ福井県)がトラブル続きで廃炉が決定。原子力規制委員会の新規制基準下で、MOX燃料を使える通常の原発は4基しか再稼働していない。再処理工場が稼働すれば、核兵器の原料にもなるプルトニウム保有量が増える恐れがある。
さらに、使用済みMOX燃料の再処理方法も、国が研究中だが、実用化のめどは立っておらず、最終的な処分方法も未定。田中俊一・前原子力規制委員長は「高速増殖炉の技術がなく、MOX燃料も再処理できない日本では、再処理による燃料節約効果は全くない」と、国の再処理方針に疑問を投げかける。
直接処分の場合、再処理するより大きな最終処分場が必要になるが、長崎大の鈴木達治郎教授(原子力政策)は「重大事故が起き得る地上の再処理工場より、地下に埋設する直接処分の方がリスクは低い。最終処分場の議論が進む中、国は直接処分の可能性を早期に検討すべきだ」と話す。(佐々木馨斗)

※※※ 石川木鐸(ぼくたく)のコメント

 原発保有する各国は、原発を稼働させ、電気エネルギーに変換して、いろいろな物を「効率よく」生産できるということは「良かった」と思っていたことでしょう。国が多額の補助金を出し、原発保有する電力会社がいかに儲けるかを考えて、安い土地・人口密度が少ない・水がある海や川があるところに、原発を米国から買い入れ、設置して、稼働してきました。予定の稼働年数は40年でした。
 この間、かなり電力会社は儲けたでしょうね。政府のお墨付きで儲けが確実に出るように「電源三法」(注1)もつくられています。
 しかし、原発から出てくる「使用済み核燃料」をすべて処理し、「プルトニウムなどを燃料に再利用する国の『核燃料サイクル政策』」は、完全に行き詰まり、破綻しました。
 福島の原発事故だけでも大きな問題としていまだ残る中、「使用済み核燃料」の「リサイクルする」という「核燃料サイクル」政策は蜃気楼(しんきろう)のようなものでした。「夢幻のごとし」というわけです。「使用済み核燃料」の一部は、極めて危険な「MOX燃料」(ウランとプルトニウムを取り出して作った混合酸化物)としての「MOX燃料」を、「高速増殖炉 もんじゅ」も事故を起こしてばかりですでに廃炉が決定しています。それで、MOX燃料を使えないような「仕様」の原発で稼働させていますが、いつ「福島第1原発」事故以上の恐ろしい事故が起こるかと原発研究の専門家の小出裕章氏も案じています。
 政府も、六ケ所村の再処理工場の稼働が全くうまくいっていないこと、MOX燃料を使っているうちに第二の福島原発事故の起こらないうちに、核のごみの「再処理」を諦(あきら)めて、直接「地層処分」するということを検討していました。それが表ざたせざるを得なくなって、メディアにも出てきました。MOX燃料ももちろん日本では再処理できない代物です。使用済み核燃料はイギリスやフランスに頼って、そのごプルトニウムなどを含めて、いろいろな核種が「返還」されてきます。これが一定以上になると「核爆弾を作る気」かとアメリカなどから非難を浴びせかけられます。
 長崎大の鈴木教授は、政府側に立って「重大事故が起き得る地上の再処理工場より、地下に埋設する直接処分の方がリスクは低い。最終処分場の議論が進む中、国は直接処分の可能性を早期に検討すべきだ」などと、いとも簡単に「地層処分」を進言しています。

 この間、寿都町神恵内村が「核のごみ」を「地層処分」することに手を挙げてくれることが分かったので、「文献調査」で最大20億円で、引っかけられるところは多いと推定したのでしょう。
 また、コロナ禍で困っている地域は多いとにらんで、このような「暴論」を表に出してきたのでしょう。
 これで、また、「文献調査」から「最終処分場」までの、道のりが大きく揺れ動くことになると思いますが、国家権力は押し切る構えだと思います。

読者の皆様、労働者の皆様、学生諸君、「行き詰った国のサイクル政策」の破綻の弥縫策(びほうさく)としての、「直接地層処分」に対して、そして休止している原発の再稼働に(例えば女川原発再稼働など)、一致団結して反対していきましょう!!

注1 「電源三法」についての解説が書かれています。原子力原発問題を考えるために必要だと思います。以下にそのタイトルをお示しします。検索してみてください。

よくわかる原子力 - 電源三法交付金 地元への懐柔策 (nuketext.org)