[230](投稿)寿都町、神恵内村 の文献調査うけいれをフォローする原発推進論

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 経団連寿都町神恵内村が核ゴミ処分場の文献調査を受け入れたことにコメントをだしました。
北海道新聞デジタル版、2020・10・25から引用します。「核のごみどこへ」というシリーズ評論欄に掲載されていました。

原子力 脱炭素化へ必要 経団連資源・エネルギー対策委員会企画部会長代行・小野透氏

 高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分は原子力発電を利用する国であれば避けて通れない重要な課題だ。今の世代の責任で取り組む必要がある。後志管内寿都町神恵内村で最終処分場選定に向けた文献調査が始まることを歓迎する。両自治体の関係者に敬意を示したい。
 国が2017年に地層処分の適地を示した「科学的特性マップ」を公表してから、原子力発電環境整備機構(NUMO)などが全国で説明会を開いてきた。関係者の理解や対話が深まった結果、寿都町神恵内村で文献調査に入る動きが出てきたのではないか。今後も北海道に限らず調査に応じる自治体が出てくることを期待したい。
 原子力は人類が将来にわたってエネルギーを確保し、二酸化炭素(CO2)排出量を実質ゼロにする「脱炭素社会」に向かうために必要な技術だ。文献調査を始めることは、原子力の継続的な活用に不可欠な最終処分場選定に向けた第一歩。これを機に原子力活用の意義を含め日本のエネルギー政策について全国で広く議論が進んでほしい。
 脱炭素化の観点から言えば、CO2を出さない非化石電源である再生可能エネルギー原子力の導入拡大が重要だ。日本の再生エネは欧州に比べてコストが高く、安定供給の面から課題もあり、現状では主力電源になっていない。
 原子力東京電力福島第1原発事故後にできた新規制基準に対応する追加工事をしたとしても経済性や安定供給の面で優れている。50年にCO2など温室効果ガスを80%削減する日本の長期目標は、原子力抜きで達成するのは難しい。
 国内の原発再稼働も安全性の確保を大前提に、地元の理解を得て着実に進めてほしい。国には原子力の技術をどう維持、発展させていくのか明確な方針を示すことが求められる。
 最終処分に向けた手続きを進めていくには、地域の住民に丁寧な説明をすることが欠かせない。国やNUMOには幅広い関係者に対しこれまで以上に理解を得る活動をするよう努めてもらいたい。
 最終処分の方法や安全性についてより深い技術的な内容を含めて事実を説明する場を地域で設けて住民に納得してもらった上で、冷静に判断していくべきだと思う。(聞き手・長谷川裕紀)
■<略歴>おの・とおる (62) 1958年熊本市生まれ。81年に新日鉄(現日本製鉄)入社。同社技術総括部部長などを経て、2020年から日鉄総研常務取締役。経済産業省総合資源エネルギー調査会臨時委員も務める。



※※※ 与謝野晶児のコメント

 まさに小野氏の主張は、見出しの「原子力 脱炭素化へ必要」に集約され、「日本のエネルギー政策」には「原発が必要」ということを述べている。そのために、「温室効果を高める」二酸化炭素の排出量をゼロにすることが必要で、「脱炭素化社会」に向かうために「原子力」と「炭酸ガスを出さない再生エネルギー」が不可欠だという極めて単純な論理です。
 そして、50年に炭酸ガスなどの温室効果ガスを80%削減する日本の長期目標は、原子力抜きで達成するのは困難であり、国内の原発再稼働も「安全性確保を大前提」に、地元の理解を得て進め、最終処分地確保も「住民に丁寧な説明」でもって推進するべきであると述べています。
 
温室効果の「犯人」は二酸化炭素

 問題は、この論の大前提になっている「温室効果」の「犯人」は「二酸化炭素」なのか?といまや「知の巨人」と言われる養老孟司氏は疑っています。また、京都議定書に当時の鳩山・政府が署名したのは失策だったと書いています。
 養老氏は、はたして、「温暖化」は、炭酸ガスのせいだけなのか?また、温暖化がそれほど「悪いもの」なのか、凍てついた大地が溶けて農耕地になり、食物の供給に役立つことだってあるではないかとも言っています。
 森林を切り開き、単一作物作りをし、その結果、農地を痩せさせ、砂漠化させていることや、森林火災による二酸化炭素の増加(もとより、産業や車や飛行機などに石油を多量に使って生じている二酸化炭素の増加にかんしては、いわずもがなですが)については、ほとんど語られていないと指摘しています。
 「アファンの森の物語」を書いたC・W ニコル氏のような森の中に家を建て、木を植え、食料の多くを自前で作り、森の生き物や水を得て暮らす生き方にも養老氏は共感しています。  

 政府は、レジ袋廃止するようにもしていますが、レジ袋をごみ捨て袋にして使って燃やす方がコストが下がるとも言っています。特別にごみ袋を作って、市民に購入させて、ごみを出す方式をとっている市町は、無駄なコストをかけている、また、買い物専用の「マイバッグ」を販売・購入し使うこともエネルギーの無駄だと言います。
 これこそ、今、問題にされている「日本学術会議」の会員や連携している研究者・学者を総動員して、研究しなおす必要があるのではないでしょうか!! 
 繰り返しますが、ここで、経済産業省総合資源エネルギー調査会臨時委員も務める小野透氏が・国の立場から述べられているのは、二酸化炭素で温暖化現象が生じるということが「確定している」こととして述べ、しかも、それが「日本にとって悪いこと」だという決めつけた論調であり、温暖化を阻止するためには、原発は「必要不可欠」で、かつ、「原発を稼働すれば核のごみは出る」、これを地下に押し込めることが必要だという意見を押し出すための「論」だということです。(この背後には、日本政府のエネルギー政策とそれを支える「NUMO【原子力発電環境整備機構】が小野氏や後で出てくる葛西氏に念入りに教示しているわけです)。
 養老氏は、このような意見に対しては、「100年後には石油が無くなり、ウランも無くなる」という見解を持ち、そうなればそうなったで新しい生活をすればよいという考えです。

原発を推奨する読売新聞
 
 これとたまたま同期して、同じ日の読売新聞の「地球を読む」と言う欄に、葛西敬之JR東海名誉会長が、「エネルギー政策 風力。太陽光・安定性に課題」「脱炭素 合理的な原発利用」という見出しで、「エネルギー政策は、国策の基本」で、「地球温暖化防のために脱炭素化社会を目指すという国際的な課題」だと主張しています。
 本質的には先の論と同じですが、後者の方が長文なので、巨細(こさい)に書かれているという点が異なる点でしょうか? 要約しながらコメントしたいと思います。

 東日本の大震災の津波による福島第一原発の被災を契機に、原発を忌避する世論が高まり、日本の原子力発電の割合は大きく低下して、再生エネルギーを主力電源にする方針を政府は示したが、風力や太陽光は風や日照時間で発電量が左右され、主力電源の資質に欠けるという理由などで、難があると言い、地熱発電は良い点があると例を挙げながら、最後は、原発再稼働を後押しする論調になっています。
 日本は高い原発技術を持っているとか、エネルギー政策が迷走すれば、高いエネルギーコストが慢性化し、日本経済は競争力を失っていくとか、「地震国の日本には原発には向かないとの主張も耳にするが、原発は安全な地点と岩盤を選んで建設されている。比類のない耐震安全性も確保している。津波の経験を生かして、水害対策も飛躍的に強化された」・・・「この世に絶対の安全はないが、原発はあらゆるインフラの中でも最も絶対に近いと言えるだけの安全性を備えてきた。福島の事故後はさらに強化されている」と安全性を強調しています。

※※※ 与謝野晶児のコメント
 しかし、福島第一原発事故で、日本のすべての原発が停止しても、社会は電力不足に陥らず、暑い夏も乗り切り、混乱に陥らなかったことはわたしたちは経験済みです。
 むしろ、地震、その後の大津波によって、加えてそれによる福島原発の大災害・事故によって、福島はもとより東北の近県の人たちが大勢亡くなり、そして日本中が原子力の災害に怯え、家を失い行先を求めて彷徨(さまよ)い、山林、田畑、海洋が放射能汚染され、高齢者の人たちが右往左往するバスの中に押し込められ、他界された人も多く出た、自然農法をやっていた方が自死されたことなども、すでにこの人物は忘れてしまっています。(いや、葛西は菅に似て、そもそもそのようなことには関心はなく、かつての国鉄分割民営化「3人組」と呼ばれたうちの一人で、国と国鉄当局がつくった経営危機の犠牲を大勢のJR労働者に強いました。電力の枯渇によって新幹線が動かないのではないかということだけを心配したことでしょう。)【注1】
 葛西は、福島第一原発事故の「教訓」により、それ以降、原発はより安全になったかのように唱えています。ほんとうでしょうか?
 「原子炉の格納容器は取り換えることはできない」と小出裕章氏は言っています。(#小出裕章氏は多くの諸作を書かれています。ネットで小出氏の著作を探してみてください。どの書物も分かりやすく原子力の基礎的な事柄から、原発の構造や危険性まで書かれています)
 原子力規制員会は政府の政策に基づいて、ある時から原発を再稼働させる方向へと転換したが、本当に第二の福島原発事故と同様の事故を、原発メルトダウンを起こさないと言えるでしょうか?
 40年をめどに作られた原発は、すでに「老朽化している」にもかかわらずかどうすることになり、その上さらにMOX燃料(注1参照)と言うウラン燃料よりも、より危険な燃料を使うところもあります。日本はプルトニウムが余っていて、なんとかそれを使いたいため、無理をしてMOX燃料【注2】を使っています。
 日本政府は、ウランを使用し、そこから出てきた、「プルトニウム」(冥府の王=地獄の閻魔大王の名前がついている物質です)
 (広島に落とされた原爆は、ウランでできた原爆です。長崎に落とされた原爆がプルトニウムです)
 ウランとプルトニウムは異なります。40年をめどにして使用するように作られたウラン用原発に、MOX燃料を使って、さらに20年延長して稼働させて良いものでしょうか?すでに原発はかなり劣化していると思います。壊れやすくなっています。
 皆様は、壊れかけている・劣化している車やタイヤなどを使い続けますか?事故のもとですよね!! 

 また、福島の原発事故の被害を受けた人たちに、十分な保証と贖罪も受けておられず、福島原発事故後の「処置=後始末」も今でも未だできていません。
 原発の稼働再開で、核のごみをますます増やし、核のゴミ捨て場に困っている現状を正視するならば、再稼働している原発の即時停止、これから稼働させようとしている女川原発などの再稼働の取りやめ、そしてあらゆる原発の停止をしすべきです。
 できれば福島第一原発の安全な解体ができればいいのですが、30年~40年で要してもかなり無理なようです。【注3】

 読者の皆様、労働者の皆様、学生の皆様 原発の勉強をし、原発の再稼働に反対し、核のごみを増やさない、核のごみを造らない、捨てない運動を一致団結して、推進していきませんか!!

注1:http://www.labornetjp.org/news/2009/1243922146186staff01 
国鉄首切り法をつくった江見氏がJR東海の役員に - labornetjp.org
松原です。 きょうの「東京新聞」の鎌田慧さんのコラム「論功行賞」を読んで驚いた。 1047名のクビを切った法律「国鉄改革法23条」をつくるに ...
www.labornetjp.org
注2:MOX燃料とは ウィキペディアでご覧ください。国や電力会社の安全性は全くあてになりませんので。
https://ja.wikipedia.org/wiki/MOX%E7%87%83%E6%96%99
MOX燃料 - Wikipedia
mox燃料(モックスねんりょう)とは混合酸化物燃料の略称であり、原子炉の使用済み核燃料中に1%程度含まれるプルトニウムを再処理により取り出し、二酸化プルトニウム(puo 2 )と二酸化ウラン(uo 2 )とを混ぜてプルトニウム濃度を4-9%に高めた核燃料である 。 ...
ja.wikipedia.org

注3:「国 東電は 廃炉は不可能 福島県に 謝罪すべき」 小出裕章 氏

   https://note.com/seikeitohoku/n/nf5b1a47042e0 

原発】【小出裕章】元京大原子炉実験所助教からの提言|月刊 政経東北|note
国・東電は「廃炉は不可能」と福島県に謝罪すべき 東京電力福島第一原発事故から丸9年経つが、廃炉作業は東電と国が示すロードマップ(工程表)通りには進んでいない。それだけ困難が多い証拠だが、そもそも東電や国が事あるごとに言う「30~40年で事故を収束させる」ことは本当に可能な ...
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