[324](投稿)患者の受け入れ拒否する病院

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旭川旭川医科大学病院が11月上旬から中旬にかけ、新型コロナウイルスクラスター(感染者集団)が発生した慶友会吉田病院(旭川)の感染者の受け入れを緊急に検討した際、同大の吉田晃敏学長が拒否し、受け入れを取りやめていたことが古川博之病院長への取材で29日、分かった。病院長は「学長に『受け入れるならおまえが辞めろ』と言われた」と話す。
 吉田病院は11月7日にクラスターが確認され、市保健所とコロナの専用病床を持つ旭医大病院など市内五つの基幹病院は同8日、吉田病院の入院患者受け入れを協議。同病院患者は寝たきりの高齢者らが多く、コロナは軽症でも医療スタッフへの負担が大きいため、当時、重症者を受け入れることになっていた旭医大病院も、軽症者1人を受け入れることにした。
古川病院長によると、協議後、病院長に軽症者受け入れを電話で報告したところ、学長は「許可しない。職員を危険にさらしたくない」と拒否。病院長は5日後の同13日、学長と面談し、あらためて受け入れを求めたが、学長が「受け入れるならおまえが辞めろ」と話したため、受け入れを断念したという。
吉田学長は今月15日付で同大ホームページ(HP)に病院長と連名の文書を発表。学長が受け入れを拒否したとの指摘は「事実誤認」とした。古川病院長は文書について「勝手に名前が使われた」と話す。
 吉田学長は北海道新聞の取材に、広報を通じて「個別の質問に対する回答は控える」とコメントした。
 吉田学長は、11月17日に非公開で開いた学内会議で、吉田病院について「コロナを完全になくすためには、完全になくなるしかない」などお発言し、その後、HPで「不適切な発言だった」と謝罪した。
 旭川医大病院は11月20日以降、旭川市内のクラスター拡大に伴って、コロナ感染者の受け入れ対象を重症者のみから一部軽症者患者にまで拡大している。(山中いずみ)
 2020・12・30 北海道新聞より引用しました。

※※※ 与謝不遜のコメント

 医師を育てる「旭川医科大学」の「学長」が、新型コロナのクラスターが発生した「吉田病院」の患者さんたちを、たとえ軽症者一人でも引き受けることを回避する発言を病院長にしたことが発覚し、「事件」になりました。
 旭川医大の吉田学長をウキペディアで調べると、

『遠隔地の医療の手薄な地域をインターネットで繋(つな)ぐ医療を提案して、2011年(平成23年産学官連携功労者表彰文部科学大臣賞をソフトバンクBB株式会社の孫正義代表取締役社長兼CEOと共に受賞している。(受賞事例名はICTを用いた「切れ目のない医療支援体制」の確立」である)。」

しかし、留学先の「ハーバード大学」で、一足先に同じことを先にやってしまったので、「遠隔医療」というシステムを提案したのは世界で初めてとはならなかったとある(この「遠隔医療」は、ハーバード大学の「アイデア」を借りた発想とも想像されますね)。また、『格差なき医療』というタイトルの著書が出ていますが、これは「遠隔医療」のことが書かれていると想像します。

 「遠隔医療」ということに力を注ぐ人物が、身近に「病」で苦しんでいる人が多数いて、しかも、周囲の主要ないくつもの病院にクラスターが発生しているときに、助力をしないことを、病院長に「命令」するということは、「医師の倫理」の反するのではないかと思います。本人は「眼科医」で、感染症の専門医ではないにしても、地域医療、広域医療に目が向いていると思われる言動をしていて、矛盾を感じなかったのでしょうか?感じなかったから「引き受けることを拒否」する命令ができたのでしょう。

● もう一つ、母親が「クラスター」が発生している職場に勤務していたため、その子供さんの治療を、旭川医大が拒んだそうです。
母職場でクラスター、子ども「受診拒否」 
医大学長を提訴
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 【旭川新型コロナウイルスクラスター(感染者集団)が発生した旭川市内の病院に母親が勤めていることを理由に、旭川医大病院が子どもの受診を拒否したのは不当として、父親が同大の吉田晃敏学長を相手取り、30万円の損害賠償を求めて旭川簡裁に提訴した。

 提訴は10日付。訴状などによると、この子どもは通院する旭川医大病院を11月24日に受診する予定だったが、母親がクラスターが発生した病院の職員であるとして医師から断られた。母親はPCR検査で陰性と判定され、感染者の濃厚接触者でもなかったため、翌日以降も受診を求めたが、「病院の感染対策本部で決めたルールで難しい」と認められなかったとしている。(2020・12・29 北海道新聞

 母親がPCR検査陰性でも診療を受けられないというのをどう思われますか?


 余計なことですが、「ヒポクラテスの誓い ジュネーブ宣言」のいくつかを取り上げてみます。

良き医学慣行に従い、良心と尊厳をもって専門職を実践する

医療専門職としての名誉と高貴な伝統を育む

教師、同僚ならびに生徒たちに、しかるべき尊敬と感謝の念を捧げる

患者の利益と医療の進歩のため、医学的知識を分かち合う

どうでしょうか。専門分野でなくても、感染症に立ち向かう医師・看護師・諸職種の集団の後押しをするのが、集団を統(す)べる「学長」ではないでしょうか? 

コロナを鎮圧しないと、世の中の「貧困」・「食糧難」という「難病」を克服できません。このことも頭に入れながら、吉田学長には「深く反省」してもらいたいものです。