[489](投稿)霞ヶ関、ブラック化

f:id:new-corona-kiki:20210415062755j:plain
<権力漂流>地盤沈下する霞が関 官邸主導で「ブラック」化 減るやりがい 進む離職
04/06 05:00

 ▼新型コロナウイルスの感染が再拡大し始めた3月下旬の午後9時ごろ。東京・霞が関厚生労働省のコロナ対策を担当する部署には多くの職員が残っていた。「根拠ある感染対策をどう打ち出すかを考えていた」。50代の職員は疲れた表情を浮かべ、自嘲気味に話した。「でも、いくらわれわれが残業して科学的にはこうですと言っても、官邸が世論をみて政策を変えるからね」

■振れ続ける政策 残業最長391時間

 過労死ラインの一つの目安とされる月80時間以上の残業をした厚労省職員が、1月は398人いたと国会で明らかになった。この職員はその一人。日をまたぐこともざらにある。内閣官房のコロナ対策推進室では、残業が最も長い人で1カ月391時間に及んだ。▼ 今、こうした長時間労働の常態化はコロナ対応に限らず、大半の府省に及ぶ。霞が関の激務は昔から知られた話だが、ここ最近は「時間も質も違う」という。▼「『官邸の意向』が出されるたびに、残業は増えた」。別の厚労官僚が言う。昨春の一斉休校や「アベノマスク」配布、観光支援事業「Go To トラベル」などコロナ対策は、官邸の判断によって急速に振れた。そのたびに与野党議員への説明に追われ、仕事が進まない。3月には国会提出法案に多数の誤りが見つかり、審議が中断した。国会議員は官僚の劣化を糾弾したが、「霞が関の『ブラック職場』化も一因だ」と職員の一人は訴える。▼ 「官僚支配」対「政治主導」―。1990年代から断続的に続いた政治・行政改革はそんな文脈で語られた。▼「政策立案で主導権を持つ官僚が事実上、この国を動かしている。選挙で国民から選ばれた政治家が取り戻す」との声が与野党から出た。だが政治主導を掲げて2009年に誕生した民主党政権は、それでつまずいた。当時の閣僚経験者は「官僚を敵と見て、使いこなすという考えができなかった」と振り返る。▼民主党政権を反面教師としつつ、より政治主導を強めたのが安倍政権だ。14年に設置した内閣人事局により、官房長官だった菅義偉首相が7年8カ月にわたって府省を人事で締め付ける。政権になびく一部の官僚を優遇して中枢に集め、反論する役人は更迭した。

■責任取らぬ与党 野党からは罵倒

 選別は極端だ。菅側近として知られた谷脇康彦前総務審議官や山田真貴子前内閣広報官の業者との接待問題が浮上した際、首相は当初、守る姿勢をみせた。一方、大人数で深夜会食した厚労省の職員の場合、問題発覚後すぐに処分した。閣僚経験者は「官邸主導のなれの果てだ」と批判する。▼「政治家の言うことをやればいい、という人が偉くなるんだから、やる気は出なくなる」。経済産業省の中堅職員はため息をつく。同期の3分の1は留学やベンチャー企業への転職などで既に退職した。「国会対応で野党から罵倒され、政府・与党の政治家は支持率ばかり気にして責任を取らない。これじゃいい政策なんて出ない。悪循環だ」▼人事院によると、キャリアと呼ばれる総合職試験の申込者数は、11年度の2万7567人から、20年度は1万6730人と1万人以上減少。合格者に占める東大出身者の割合は、11年度の32%から20年度の15%に半減した。離職も進む。河野太郎行政改革担当相によると、20代のキャリア官僚の自己都合退職者数は19年度に87人に達し、6年前の4倍超になった。▼総務省接待問題のような利権の構図はなお一部にはある。しかし、今春退職して民間企業に移った30代の元官僚は言う。「やりがいを感じられなくなった。このまま偉くなっても責任は増えるのに権限は増えないのが現実だ」。霞が関地盤沈下を止める手だては見えない。(荒谷健一郎)

■一種の独裁政権のよう 神戸学院大・中野雅至教授

 現在の政と官の関係について、中野雅至(まさし)・神戸学院大教授(行政学)=厚生労働省出身=に聞いた。
 安倍政権以降のような自民党1強が続くと政治的に中立であるべき官僚も政権になびき、出世のために忖度(そんたく)する。一種の独裁政権のようなものができている。▼官僚は各省庁の専門家として政策を立案することにやりがいを感じるが、官邸と一部の官僚が政治的に都合良く政策を決めてしまうため、おかしな点にも声を上げられない。今は自らの役割を探しあぐねている。▼それでも、成果目標を与えれば死ぬ気で頑張るのが受験秀才である官僚の悲しいところだが、人事で組織が分断されたことで、足の引っ張り合いになった。週刊誌報道で官僚の不祥事が次々と明るみに出ているのは、その表れではないか。▼官僚組織は機能不全に陥りつつある。幹部人事の決定に第三者が関与するなど中立的な視点を入れる対策や、一部の人間に仕事が偏る組織の見直しなどの対策が必要だ。対策の遅れは国家にとって手遅れになる。(2021/4/6 北海道新聞デジタルより)

※※※ 骨川筋衛門のコメント:◆出だしから驚きます。残業していてより良い新型コロナ対策・政策・制度設計等を考えていると思われる厚労省の熟練している官僚が、「でも、いくらわれわれが残業して科学的にはこうですと言っても、官邸が世論をみて政策を変えるからね」と政治家の非科学的政策に対して「自嘲気味に」話すことにたいして。しかし、さらなる問題は過労死ラインの一つの目安となる1か月の残業80時間を超えた厚労省職員は398人いたと国会で明らかになっている。最も長い職員は391時間/月に及んでいたという。「こうした長時間労働の常態化はコロナ対応に限らず、大半の府省に」及んでいるという。しかも、「霞が関の激務は昔から知られた話だが、ここ最近は『時間も質も違う』」ということだ。「昨春の一斉休校や『アベノマスク』配布、観光支援事業『Go To トラベル』などコロナ対策」などの対策は、「官邸の判断によって急速に」変わり、「そのたびに与野党議員への説明に追われ、仕事が進まない」という。「3月には国会提出法案に多数の誤りが見つかり、審議が中断した。国会議員は官僚の劣化を糾弾した」が、霞が関の「ブラック職場化」も「一因だ」と職員の一人は訴えている。「過労」が官僚たちを追い込んで仕事の「劣化」を招いているのです。◆「政策立案で主導権を持つ官僚が事実上、この国を動かしている。選挙で国民から選ばれた政治家が取り戻す」との声が与野党から出て、民主党が使いこなせなかった官僚を自民党は、民主党の元閣僚が「官僚を敵と見て、使いこなすという考えができなかった」という反省から「学び」、安倍政権は、14年に設置した内閣人事局により官房長官だった菅義偉首相が7年3カ月にわたって府省を人事で締め付けてきました。政権になびく一部の官僚を優遇し、中枢に集め、反論する役人は更迭しました。これは「恐怖政治」以外の何物でもないと思います。これでは馬鹿な「アベノマスク」が出てくるのも当然のことです。読者の皆様は、現在の官邸主導政治に対して、新型コロナ対策も新型コロナ変異株対策もワクチン対策もすべて遅く、手際が悪いという印象しかないと思いませんか!!◆結果、「政治家の言うことをやればいい、という人が偉くなるんだから、やる気は出なくなる」と経済産業省の中堅職員はため息をつく。そのために「同期の3分の1は留学やベンチャー企業への転職などで既に退職」する事態になりました。「国会対応で野党から罵倒され、政府・与党の政治家は支持率ばかり気にして責任を取らない。これじゃいい政策なんて出ない。悪循環だ」という声も当然です。どんどん力のある人が辞職し、東大生の受験者数も減少するという現象も招いています。「政府の官僚になってもつまらない、ひどいものだ」という声は、出身大学の後輩に伝染する力は、新型コロナ変異株より早いのかもしれません。◆30代の元官僚は言う。「やりがいを感じられなくなった。このまま偉くなっても責任は増えるのに権限は増えないのが現実だ」と。◆ この「独裁政権」の終わりは見えませんね。今の新型コロナのパンデミックのようです。ミャンマーの軍事政権のように「皆殺し」までは見せていませんが、中身は同じように見えます。自死した官僚や辞職していった官僚たちのことを考えれば、長く勤めたい仕事とは思えませんね。まさに「減るやりがい、進む離職」というのが政府に努めている公務員の心底にある気持ちでしょうね。

 読者の皆様はどのようにお考えになりますか?

 過労死しかねない国家公務員になりたいですか!?