実態は政府ぐるみ、批判拡大 金融機関要請、首相・閣僚に説明 「個人より政権の体質」
07/14 05:00
酒の提供停止に従わない飲食店に対し取引金融機関の働き掛けを求めた政府の新型コロナウイルス対策を巡り、13日も批判が拡大した。各省庁が入念に事前調整し、知らないと公言していた菅義偉首相が実際には説明を受けていたことも判明。政府ぐるみで進めようとした事実は否めず、酒卸業者に対して酒の提供を続ける店との取引停止を求める対策も撤回に追い込まれ、政権の弱体化は必至だ。▼ 西村康稔経済再生担当相は13日の記者会見で「深く反省している」と陳謝。閣僚辞任は「責任を果たしていきたい」と否定した。金融機関への要請に関して、首相も出席した7日の関係閣僚会合で事務方から提示したことも明らかにした。▼ 首相は9日、「承知していない」と記者団に述べていた。政権幹部は当初、西村氏個人の失言として幕引きを図る考えだったが、実際には内閣官房が銀行を監督する金融庁や、政府系金融機関を所管する財務、経済産業両省と事前に調整し、依頼文書を出していた。▼ 7日の会合に出ていなかった閣僚も個別に事前報告があったと認めた。麻生太郎財務相は13日の会見で「何か違うんじゃねえのと思った。(政府は飲食店へ)融資してくださいと言っているのに融資を止めろという話をしている。普通に考えればおかしい。ほっとけと言った」と説明。梶山弘志経産相も「強い違和感を覚え、趣旨を確認するように指示した。私が了承した事実はない」と述べた。▼ 首相や閣僚が報告を受けながら政府方針を「知らなかった」「了承していない」と主張し、責任を西村氏1人に押しつける異様な構図だ。自民党内では13日も西村氏に対し「辞任すべきだ」(閣僚関係者)と厳しい声が上がったが、立憲民主党の枝野幸男代表は党会合で「西村大臣個人の問題にとどまらない政権全体の体質の問題だ」と指摘した。▼ 首相は13日昼、公明党の山口那津男代表との会食で「ご心配をお掛けした」と陳謝した。そのわずか数時間後、今度は酒卸業者への呼び掛けも撤回。東京都への4度目の緊急事態宣言に伴う新たな対策は相次いで失策の烙印(らくいん)を押された。▼ 自民党関係者は「こんなことをやっていたら支持率は上がらない。衆院選は全部リセットするくらいじゃないと大変だ」と漏らした。野党は14日の衆院内閣委員会で責任を追及する。(佐藤陽介)(2021・7・14北海道新聞デジタルより)
※※※ 武田心玄のコメント:
「優越的地位」にあるとされる西村康稔経済再生担当相は続けて2度も酒類に関する政策の失態を演じました。①「酒の提供停止に従わない飲食店に対し取引金融機関の働き掛けを求めた政府の新型コロナウイルス対策」、この「政策」を補強するために、②「内閣官房が銀行を監督する金融庁や、政府系金融機関を所管する財務、経済産業両省と事前に調整し」、酒類を卸す業者に「酒類を卸すな」という意味の「依頼文書」を発出していたことで、政府・自民党は「大混乱」となり、「誤解だ」などとごまかしたりしながらの「大騒動」になりました。当初、菅首相は①に関しては、「知らない・聞いていない・(西村大臣は)そのようなことを言う人物ではない」というような内容を、本当は事前に知っていたにも関わらず公言しました。梶山経産大臣も「聞いていない」というような態度に終始。それゆえ、「酒卸業者への呼び掛けも撤回。東京都への4度目の緊急事態宣言に伴う新たな対策は相次いで失策の烙印(らくいん)を押され」、自民党内部からも衆議院選挙対策の練り直しの声が上がっているのも当然だと思います。何より菅首相の首がより危うくなりました。最近の世論調査でも菅政権の支持率は急降下しています。
このような権力を振り回してきた菅義偉氏の衣鉢(いはつ)を「まともに」継いでしまったのが西村康稔大臣で、彼の下策を裏で容認したのが菅首相たちです。現実に危険水位に達するのももうすぐだと予感させる菅首相の新型コロナ対策の失敗と「オリンピックのバブルの崩壊」の始まりの鐘の音が大きく鳴り響き、地盤沈下が早まろうとしていると思います。
加えて、ワクチンの「供給不足」をごまかすのに大わらわです。各自治体にはまだ在庫があるはずだ…などと言ってその場しのぎをしています。新型コロナデルタ株の感染拡大は「オリンピック村」からも拡大していくのではないかと危ぶまれます。その時期(とき)にあって、「備えのワクチン不足」は大打撃です。「備えなければ憂いあり」ですね…若い人も中年も罹患者が増えている現在…