[709]中国共産党「歴史決議」から個人崇拝禁止が消えた

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 習近平総書記は共産党の主席になりたいようです。毛沢東は党主席という名の地位に1945年から76年に亡くなるまで就いており、党の終身の最高指導者を意味するのです。
 先に開かれた共産党第19期中央委員会第6回全体会議で習近平は歴代第三回目の歴史決議をあげました。その中で鄧小平が1981年に主導した第二回目の歴史決議にあった「個人崇拝の禁止」の文言が消えました。任期がなく、権限も強い党主席に習近平がこだわるのは、現代中国の危機を党内外の異論を封じこめ強権的に乗りきりたいという思惑があり、そのために毛沢東と並び立つ権威の象徴である党主席規定を復活させたいのでしょう。今回の歴史決議は集団指導体制、終身制の禁止、個人崇拝の禁止がうたわれている現党規約を改定する布石をうったと言えると思います。
 台湾問題で米国とつばぜり合いの状況にある中で、コロナ危機下の中国はGDPの伸びが鈍化しています。深圳などで賃金切下げもあり、政府は国内の広がる貧富の差に労働者階級の反発をかわしおさえこむのに汲々としています。
習近平は8月共同富裕論をうちだし資本主義経済のひずみを修正するために専制体制を強化することをねらっているのです。
 先の「歴史決議」ではマルクス主義という言葉を何度も繰り返しています。中国社会主義を資本主義化するために社会主義市場経済という矛盾した概念を導入したのが鄧小平でした。スターリン主義的「マルクス主義」から資本主義に転向したことをおしかくすイチジクの葉っぱが歴史決議に乱舞する「マルクス主義」という言葉です。