[718]広がる“中国化”(その2)

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広がる“中国化”その2です。

11月16日に公表された第19期第6中全会「歴史決議」の「四、中国の特色ある社会主義の新時代」「(四)改革開放の全面的進化」なかで次のようにいわれています。

「党中央は次のように深く認識した。思想解放にも終わりがなく、改革開放にも終わりがない。改革は進行形しかなく、完成形はない。足踏みや後戻りに活路はなく、より大きな政治的勇気と知恵をもって改革を全面的に深化させなければならない。」

ここに明らかなように習近平はこの第3の歴史決議で1978年第11期3中全会において鄧小平が打ち出した改革開放という資本主義化路線はもはや後戻りできず永続的に進めるということを明らかにしました。さらに次のようにいっています。

「第11期3中全会は画期的で、改革開放と社会主義現代化建設の新しい時期を開いた」と確認し、2012年に習近平が総書記になった翌年の「第18期3中全会も画期的なものであり、改革が局部的探索から、システムの集成、全面的深化へと転換することを実現し、我が国の改革開放の新局面を切り開いた。」というのです。

習近平こそが改革開放・市場経済化を深化したといっています。

そしてさらにいいます。

「党中央は次のように深く認識した。開放が進歩をもたらし、閉鎖が必然的に劣位をもたらす。我が国の発展は優位性を勝ち取り、主導権を勝ち取り、未来を切り開くには、経済のグローバル化に順応し、我が国の超大規模な市場の優位性をよりどころとし、より積極的で能動的な開放戦略を実行しなければならない。」

その戦略が一帯一路なのです。

「我が国は共同協議、共同建設及び利益の共有の原則を堅持し、『一帯一路』の質の高い発展を共同で建設し、関連する諸外国の経済発展及び国民生活の改善を目的とした多くのプロジェクトを推進し、平和、繁栄、開放、環境保護イノベーション、文明の道を促進する。」と宣言しています。

広がる“中国化”その2を11月21のNHKスペシャルを参考にして続けます。


④最大の開発 海岸線の“中国化”
(①〜③は[717]その1を参照してください)

 カンボジア南部のダラサコー。いま、世界の一帯一路の中でも最大の都市リゾート開発が進んでいます。開発を取り仕切るのは中国企業優聯発展集団です。2000億円を投じてきたというこの企業は、カンボジア政府と契約し、広大な土地を99年にわたって借り上げました。カンボジア国家の生命線ともいえる海岸の一部を中国企業に貸し出すという開発です。中国企業の劉江氏は「プロジェクト全体で90キロの海岸線を持っています。これはカンボジアの海岸全体の20%にあたります」と語っています。

「ダラサコー・ロングベイ・プロジェクト」と銘うたれ、いま、ホテルやカジノの工事がカンボジア人1200人を雇用して急ピッチで進められています。中国の富裕層をターゲットに、年内のオープンを目指しているといわれ、年間100万人の観光客を見込んでいるようです。

このプロジェクトの要となる施設は3200メートルの滑走路を持つ巨大な空港です。中国からも直接来られるようになり、観光やビジネスに便利になるといわれていますが、いつでも軍用に転用できるようにつくられるのでしょう。

カンボジアは中国の国家戦略「一帯一路」の要衝です。この国家戦略は陸と海で中国とヨーロッパを結び、その沿線の国々にヒト、モノ、カネを送り込む巨大な経済圏構想なのであり、経済戦略に政治的軍事的戦略をリンクさせているのです。海上航路=シーレーンを重視する中国にとって、カンボジアは極めて重要な位置にあり、対岸のマレー半島では、インド洋につながる運河を建設する計画も進み、カンボジアの戦略的意義は高まっています。
つづく