[708](投稿)原発は地球温暖化の一要因の可能性あり

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読者より
 岸田政権も二酸化炭素削減のためにということを名目として、これからも原発に依存することを明言しています。しかし福島第一原発事故はなお収束していません。また核のゴミは安全に処分できるものではありません。
原発については小出裕章氏の著作をお勧めします。

原発が無くてもエネルギーは賄える。
②温暖化は原発の温排水による海水温の上昇がその一要因である可能性がある(註)。原発が海水温を上げ、同時に二酸化炭素が海水中から空気中に放出される。また、原発建設や放射性物質の精製、運搬、廃棄の過程で化石燃料が消費され二酸化炭素が出るので、その削減には寄与しないと小出氏の書物には書かれています。

参考文献:『原発事故は終わっていない』 小出裕章 著 毎日新聞社刊2021年 その他の小出氏の原発関連書は有益だと思います。

註∶小出裕章氏の意見を紹介します。
 「原発温廃水が海を壊す 原発からは温かい大河が流れている」

(imidas 小出裕章 2010/3/26)

https://imidas.jp/jijikaitai/k-40-059-10-03-g112

原子力発電所の稼働に不可欠な冷却水は、その膨大な熱とともに放射能や化学物質をともなって海に排出される。この温廃水(温排水 hot waste water)の存在、あるいは環境への影響が論じられることは少ない。地球温暖化への貢献を旗印として原子力回帰が叫ばれる中、けっして避けられない温廃水の問題を浮き彫りにする。

■ 蒸気機関としての宿命

 地球は46億年前に誕生したといわれる。その地球に人類が誕生したのは約400万年前。地球の歴史を1年に縮めて考えれば、人類の誕生は大みそかの夕方になってからにすぎない。その人類も当初は自然に寄り添うように生活していたが、18世紀最後の産業革命を機に、地球環境との関係が激変した。それまでは家畜や奴隷を使ってぜいたくをしてきた一部の人間が、蒸気機関の発明によって機械を動かせるようになった。以降、大量のエネルギーを使うようになり、産業革命以降の200年で人類が使ったエネルギーは、人類が全歴史で使ったエネルギー総量の6割を超える。その結果、地球の生命環境が破壊され、多数の生物が絶滅に追いやられるようになった。その期間を、地球の歴史を1年に縮めた尺度に合わせれば、大みそかの夜11時59分59秒かわずか1秒でのことである。

 今日利用されている火力発電も原子力発電も、発生させた蒸気でタービンを回す蒸気機関で、基本的に200年前の産業革命のときに誕生した技術である。

(中略)

現在稼働している原子力発電では······実際の熱効率は0.33、すなわち33%しかない。つまり、利用したエネルギーの2倍となる67%のエネルギーを無駄に捨てる以外にない。

■ 想像を絶する膨大さ

 この無駄に捨てるエネルギーは、想像を絶するほど膨大である。たとえば、100万kWと呼ばれる原子力発電所の場合、約200万kW分のエネルギーを海に捨てることになり、このエネルギーは1秒間に70tの海水の温度を7℃上昇させる。日本には、1秒間に70tの流量を超える川は30筋もない。原子力発電所を作るということは、その敷地に忽然として「温かい大河」を出現させることになる。

 7℃の温度上昇がいかに破滅的かは、入浴時の湯の温度を考えれば分かる。ふだん入っている風呂の温度を7℃上げてしまえば、普通の人なら入れないはずである。しかし、海には海の生態系があって、その場所に適したたくさんの生物が生きている。その生物たちからみれば、海は生活の場であり、その温度が7℃も上がってしまえば、その場では生きられな。逃げることのできない植物や底生生物は死滅し、逃げることができる魚類は温廃水の影響範囲の外に逃げることになる。人間から見れば、近海は海産資源の宝庫であるが、漁業の形態も変える以外にない。

途方もない環境破壊源

雨は地球の生態系を持続させるうえで決定的に重要なもので、日本はその恵みを受けている貴重な国の一つである。日本には毎年6500億tの雨が降り、それによって豊かな森林が育ち、長期にわたる稲作も持続的に可能になってきた。雨のうち一部は蒸発し、一部は地下水となるため、日本の河川の総流量は年間約4000億tである。一方、現在日本には54基、電気出力で約4900万kWの原子力発電所があり、それが流す温廃水の総量は年間1000億tに達する。日本近海の海水温の上昇は世界平均に比べて高く、特に日本海の温度上昇は著しい。原発の温廃水は、日本のすべての川の水の温度を約2℃温かくすることに匹敵し、これで温暖化しなければ、その方がおかしい。そのうえ、温められた海水からは、溶け込んでいた二酸化炭素(CO2)が大量に放出される。もし、二酸化炭素地球温暖化の原因だとするなら、その効果も無視できない。