[839]資源高


 3月26日の日経新聞トップは「景況感『悪化』4割に増加 ロシアの侵攻・資源高で」という見出しです。
 正しくは、景況感悪化は「ロシアの侵攻への各国の制裁による資源高」とすべきです。侵攻によって自然に資源高になるわけではないからです。
 日経新聞が3月8~23日に全国の主要企業の社長にアンケートし、回答したのは145社でした。景況感は悪くなっています。前回の12月のアンケート結果よりDIはマイナス7で、3ヶ月前の前回調査より41ポイント下落しました。下落幅が最大だったのは新型コロナ危機の初期20年6月で前回調査比63ポイントの下落でした。
 DI(Diffusion Index、ディフュージョン・インデックス) とは景気の変化の方向性を判断するための指標です。3ヶ月前と比較して構成されている指標が上昇しているときは「1」、下落しているときは「0」、横ばいであるときは「0.5」として計算します。この指標のうち、プラスの占める割合が50%を上回っていれば景気拡大の局面、50を下回っていれば景気後退の局面と判断できます。各経済部門に対する景気の波及の度合を測定することを主な目的とした指標です。〈トレイダーズ証券参照〉
 ロシアのウクライナ侵略と各国の経済的制裁が景気悪化に大きく影響しています。ロシアが高い生産シェアを持つ天然ガス原油、小麦やニッケルなどが軒並み高騰しています。
 アンケートでこれらの調達コストが上がると回答した企業は90·6%に達しました。その対策を販売先への価格転嫁としている企業が78·2%に登り、物価値上げに拍車がかかります。
 そしてまた、資本家は賃金抑制によって原材料高をカバーするのは明らかです。
 経済制裁によってブーメランのように帰ってくる資源高のツケは、結局物価値上げと賃金抑制に向けられます。
 私たち労働者は黙って受け入れるわけにはいきません。