[950]スリランカの労働者民衆が立ち上がった


 14日スリランカラジャパクサ大統領が議会に辞表を提出しました。20日に議会で新大統領が選出される見通しですが、先行きははっきりしていません。
 スリランカでは経済危機が深刻化し、ことし3月以降、政権の退陣を求めるデモが繰り返し起きていました。 そして、7月9日には大規模な抗議デモが広がり、最大都市コロンボではデモ隊の一部がゴタバヤ・ラジャパクサ大統領の公邸を占拠しました。
 13日、ウィクラマシンハ首相は大統領代行として非常事態宣言を発令しデモを抑え込もうとしています。催涙ガスで一人犠牲者が出たと伝えられています。

なぜ経済危機が起きたのか

 日経新聞を引用します。
 
 「コロンボの港湾開発(2019年) スリランカはインフラ整備を進めるため借金を繰り返し、対外債務の残高は2021年末の時点で507億ドル(日本円でおよそ7兆円)に膨らんでいます。 新型コロナウイルスの影響による観光客の激減なども重なり、深刻な外貨不足に陥りました。 また、ロシアによるウクライナ侵攻で原油価格が高騰する中、外貨不足で輸入が滞り、ガソリンなどの燃料費も高騰。食品や医薬品などの生活必需品の輸入も滞るようになっています。 こうした経済危機の根本的な原因は財政運営や農業政策の失敗、それに汚職にあるとしてラジャパクサ政権に対する不満が高まっていました。」

 世界的インフレとウクライナ戦争の経済制裁によるエネルギー価格の高騰と物価高が引き金となって経済危機下のスリランカ政権は民衆によって倒されました。深刻なことは、どうすればいいのかわからない状況になっているということです。崩壊した既存の経済システムをそのままにして再建することは困難でしょう。 
 中国の一帯一路戦略の要となっているスリランカの国家的破綻は中国にとって大きな問題です。民衆にとっては生活苦を解消することが第一の課題です。

 スリランカの深刻な燃料不足や50%以上にもなる急激なインフレは今後も悪化する見込みで、仮に新たな政権が誕生しても人々の生活の改善には長い時間がかかるとみられます。
 
 労働者民衆の生活危機は全世界に広がっています。 
 今、ウクライナ戦争とアメリカ発のインフレを止めるために労働者の国際的な闘いが問われていると思います。