19日、ゼレンスキー大統領が国連総会に出席し演説しました。支援(SUPPORT)ではなく団結(UNITY、UNITE。)ということばを何度も使いました。
アメリカを後ろ盾としNATOと一体化した対ロシア戦争に、ゼレンスキー大統領が団結せよと呼びかけてもそれに応えるグローバルサウスの国は少なく国連総会は盛り上がらなかったようです。諸国政府はロシア•中国との経済的政治的結びつきが強いからです。ロシアのウクライナ侵略をきっかけとしたロシア対ウクライナ(アメリカ=NATO)の戦争は転回点に立っています。アメリカ国内で支援継続に否定的な意見が大きくなっており、ポーランドが支援を渋りつつあるからです。
EUのウクライナ産穀物輸入規制解除問題をきっかけとしたポーランド政府の独自禁輸措置とウクライナ政府のWTO提訴は、ポーランドのウクライナへの武器援助停止につながりつつあります。
15日欧州委員会はポーランドを含む東欧5カ国へのウクライナ産穀物の輸入規制を延長しないことを決定しました。この決定に東欧各国の農民の反発がおこることは必至です。実際総選挙を控えているポーランドのマゾビエツキ政権はこの決定に抗議し独自禁輸にふみきりました。これにたいしてウクライナ政府はWTOに提訴し、ポーランドとの対立は深まっています。ゼレンスキーは国連演説で「彼らはモスクワの役者のための舞台設置を手助けしている」と「欧州の友人」(=ポーランド)にたいして批判しています。対立はエスカレートしています。
そもそも今回の国連総会に常任理事国の中で首脳が出席したのはバイデン大統領一人でした。本会議で欠席が多くゼレンスキーの演説にも拍手は多くなかったと伝えられています。
ゼレンスキー大統領の「団結」発言は各国が戦争から距離をとりはじめたことへのいらだちすらも感じさせます。各国政府が距離をとりはじめたのは、インフレや食糧不足で厳しい生活を強いられている国民の政府にたいする反発を避けるためです。
ゼレンスキーは「密室での一握りの大国間の対話では平和は訪れない。平和を求めるすべての国が手を取り合う必要がある」と各国の政治エリート訴えました。
ウクライナ戦争は戦争に反対し、徴兵を忌避しているウクライナの労働者民衆とロシアで反戦の闘いを非公然に進めてい民衆とが団結して反戦の闘いを創造し終わらせなければなりません。国の支配者の対話•談合で終わらせる戦争は、国家間の利害衝突を取引•妥協によって先送りとするだけです。