[1022](寄稿)本の紹介

 

ペンギンドクターより

その2 

 ここで本の話をします。相変らずいろいろ本を読んでいるのですが、安部元首相の射殺事件を契機に、昔読んだ松本清張の「二・二六事件」全5巻を読み直しました。文春文庫です。15-6年前に通勤時間2時間の間に読んだ本です。清張『昭和史発掘5-9』の全5巻ですが、読み直してみて松本清張の凄さを再認識しました。ノンフィクション作家清張の最高傑作と言えます。資料収集が凄い。その協力者というか仕掛け人は、文藝春秋の編集者藤井康栄さんですが、二人の合作とも言えるこの本は二・二六事件を知るには最高の本だと思います。もちろん清張の推理小説も時代を画し、今も『砂の器』『点と線』『ゼロの焦点』など名作ですが、読み直して改めて驚嘆するのは、この『二・二六事件』です。
 

 協力者で思い出すのは、『人間の条件』の五味川純平中央公論社編集者の澤地久枝さんです。澤地久枝には『妻たちの二・二六事件』『滄海よ眠れ』(全6巻)があります。『妻たちの二・二六事件』は清張の『二・二六事件』とあわせて読むといいなと私は思っています。また私は澤地久枝を日本のノンフィクション作家として最高(の一人)と思っています。彼女は半藤一利と同じ1930年生まれですが、まだ存命のはずです。

 話が飛ぶのは私の悪い癖ですが、もう一つ、石弘之『噴火と寒冷化の災害史 「火山の冬」がやってくる』(角川新書2022年8月10日、初版発行)をただ今読書中です。30ページには・・・・・・同会(火山噴火予知連絡会)副会長石原和弘(京都大学名誉教授)によると、東日本大震災の直後には、北海道から九州まで10の火山が噴火し、18の火山で地震が観測された。・・・・・・という文章があります。まだ4分の3ほどしか読んでないのですが、説得力のある本です。いずれ紹介します。私はいずれ富士山も噴火する可能性が高いと災害史をみて思っているからです。過去の歴史からみての話でいつ・どこでがわかるわけではありませんが。
 本日はこのへんで。