[1077]参政党人気に映る時代の影

 

 この政党の参院選での「躍進」に私はちょっとびっくりしました。そもそも私はこの政党の名前をはじめて知りました。

 22日の朝日新聞が「参政党 勢力拡大の背景は」というタイトルで紹介しています。党副代表の神谷参院議員にインタビューしています。

 綱領に「先人の叡智活かし、天皇を中心に一つにまとまる平和な国をつくる」とうたわれているそうです。ユーチューブを手段にして党勢を広げているようです。街頭演説は扇動的に聞こえると記者は言います。

 この綱領をつくった人に映った日本は、先人の叡智が生かされていない、「天皇を中心に一つにまとまった平和な国」ではなくバラバラに分断された危険な国なのでしょう。

 いまと将来の生活に不安を感じる昨今、多くの人々がこの現状認識に共鳴するところがあるのかも知れません。天皇を神と崇めるという意味ではなく、不安の対極としての安心安定のシンボルとして天皇は心の中に有るのでしょう。

 さらに党が掲げるコンセプトは、「投票したい政党がないから、自分たちでゼロからつくる」です。党のホームページには「DO IT YOURSELF」と書いてあるそうです。略すとDIY。記者によればインテリアなどを自分でつくるという意味の略語だといいます。

 これは既成政党に嫌気がさしている人びとには受けいれられるかもしれません。。

 要するに日本の現状に不安を覚えている労働者民衆の中に、ユーチューブにのせて流されるこの政党のスローガンに新鮮さをおぼえ、参院選選挙の日だけ自分の反発心を預ける行動をした人がかなりいたということだ思います。労働組合員の中にも参政党に入れたという人がいます。

 しかし天皇を中心に一つまとまる平和な国は危ないと思う。戦前の日本はそうだったのではないでしょうか。

 いや、昔ではなく今、改憲の動きが強まり、戦争のできる国へと日本は変貌しつつあります。戦争に向かった昔も今も、日常生活は楽ではないけれど淡々と流れています。