[1174]自民党大会と連合指導部

 自民党の党大会がありました。連合芳野会長はいっとき参加するという話がありましたが、不参加でした。統一地方選を控えているからやめた方がいいと周りから諭され出席しなかったようです。選挙がなければ出席したかったのでしょう。

 芳野会長は賃金闘争について政労使会議を開いて「企業収益=パイ」の分前としての賃上げをお願いすることが最善の策だと考えています。そのために自民党の新年会に参加して友誼を深めてきたのです。「パイの分前」論の誤りについては[[832]賃金闘争とは][[1157]構造的賃上げとは]などを参照してください。

 しかし歴代会長が基本的にその考え方に基づいて賃金闘争に取り組んだ結果、日本の労働者階級のいまの生活費危機をもたらしているのです。芳野会長はますます政労使協議路線を濃化しています。

 次に産経新聞がまとめた自民党運動方針を抜粋して引用します。

 この方針を掲げる自民党の大会に参加するのだとしたら、批判し抗議するほかにやることはないでしょう。

 

自民党令和5年運動方針の要旨

連合との連携強化を明記

 

自民党は26日、東京都内で党大会を開き、連合や友好的な労組との連携強化などを明記した令和5年運動方針を採択した。運動方針の要旨は次の通り。

岸田首相、少子化皇位継承策などに注力 自民党大会

【前文】物価高への対応、構造的な賃上げの実現に全力を挙げつつ、新しい資本主義の実行を加速することで日本経済を力強く再生し、持続可能で一段高い成長軌道に乗せていく。

【党活動】各級選挙の公認・推薦候補の当選を至上命題とし、選挙戦に臨む。政策懇談等を通じ連合、友好的な労働組合との連携を強化し、雇用の安定や構造的な賃上げなど、働く人々の側に立った雇用労働政策の充実を目指す。

【経済】エネルギー高騰の緩和策や、地域の実情に応じたきめ細かな生活支援で国民生活を守り抜く。物価高を克服し、経済の好循環を実現するため、物価上昇を上回る賃上げを実現する必要がある。国民の生命・生活が経済的側面から脅かされることがないよう経済安全保障を推進する。

(中略)

【外交・安全保障】毅然(きぜん)とした外交・安保により、国民と国益を守ることは国の責務。防衛力を今後5年間で抜本的に強化する。

憲法改正】「国会での具体的な憲法論議」のために、衆参憲法審査会を安定的に開催し、憲法本体論議および憲法改正国民投票法について積極的に議論を促進する。

 

 ヤフーニュースで紹介された自民党の運動方針に読者の感想が投稿されています。その中のひとつを引用します。

ーー経営者や資産家に富裕層の為の政党が自民党、その自民党労働組合を弱体化して機能不全に堕とせば経営者は遣りたい放題、その内「労働組合など必要ない!」の風潮へ持って行ければ、自民党の念願「日本総非正規労働者」になる!ーー

 自民党の運動方針は、経団連の意を受けた派遣法など労働政策によって長期にわたる低賃金が持続されたことへの反省は全くありません。経済危機のしわ寄せを労働者に押しつけてきたのが自民党公明党)政権です。労働組合自民党と手を組んで、賃上げを経営者にお願いするというのは組合が政権政党の党利党略(組合員の票をとること)に利用されるだけではないでしょうか。

 いまの連合指導部の春闘のとりくみ方に時代の危機が象徴されていると思います。