[1185] 「けしからん番組は取り締まるスタンスを示す必要があるだろう」、2015年総務省文書の暴露

 8年前の安倍政権時代の報道規制問題がいま国会で議論されています。当時の「高市早苗総務相は2015年、放送番組が放送法の求めるとおり政治的に公平な内容かどうか、ひとつの番組だけを見て判断する場合があると答弁しました。その後放送法違反を繰り返せば電波を止める、停波にするとまで言いました。いつも考えていることを正直に言ったのでしょう。実際、報道番組ニュースステイションに政府が注意したこともありました。そういうことを政治家が公言する時代になってしまいました。

 放送法の政治的公平性についての安倍元首相との電話のやりとりを書いた総務省文書の記述は捏造であり真実なら議員辞職すると高市氏は言っています。森友問題で安倍元首相は「私や妻が関係していたら、総理大臣も国会議員も辞める」と発言しましたが、高市氏は総務省が文章を捏造したか自分が辞めるかだというのですからもっと強いです。

 ひとりの政治家がある番組の良し悪しを判断し政治的に規制するということを許してはいけない。しかし、今の日本のメディアは総体として政府に言われる前に自主規制しているので、お上の「規制」はほとんど社会問題化しないというのが実情です。

 NHKは先日のNHKスペシャル南海トラフ地震」で原発事故の可能性にふれませんでした。政府があれこれ注文をつけなくても報道機関は自主規制する時代になってしまいました。NHK労働組合は何を考えているのでしょうか。

 私は、むしろいまなぜ8年前の放送法問題の発言が明るみに出されたのか考えなければならないと思います。2015年の報道にたいする政治的規制を明るみに出して既成事実化し、「戦後日本」清算にのり出した岸田政権にハッパをかけているのでしょうか。

 誰が暴露を演出したのでしょうか。おそらく政権の内部抗争が背後にあるのでしょう。