司法制度改革にのり出したイスラエル・ネタニエフ政権に65万人の人びとが反対のデモに立ち上がり、労働組合はストライキでたたかいました。
3月27日ネタニエフ首相は法案の決定を延期することを決定しました。デモとストライキは一旦中止されましたが、労働者民衆は「自由か独裁か」というプラカードを掲げてたたかい、ネタニエフ政権に決定を延期させた意義は大きいと思います。
司法制度改悪案は国会(一院制)が最高裁の判断を覆せるようにするものです。そしてさらには裁判官の任命に関して政府の関与を強化することも含まれています。
労働組合は27日改悪に反対してストライキに入り、イスラエルの野党、市民は「三権分立」がおかされることに反対してデモを展開しました。
極右政党と連立内閣を組むネタニエフ首相は、ヨルダン川西岸のパレスチナ人居住地でユダヤ人入植活動を進めようとしています。しかしイスラエル最高裁は入植をめぐる政府の決定に無効判決を出していました。
これからのイスラエル国内の反対運動に注目しなければならないと思います。
ネタニエフがバイデンに反発
Wedgeによれば、米・バイデン大統領は28日、「極めて憂慮している。このまま改革を進めてはならない。撤回を望んでいる」とネタニヤフ首相のやり方を批判しました。記者団から首相の訪米が予定されているのかを聞かれ「近いうちにはない」と突き放した。
この発言にネタニエフ首相が「イスラエルは主権国家だ。決めるのは国民の意思であり、親友(米国)を含めた国外の圧力に基づいて決めるのではない」とツイートで反発しました。このツイートは29日の午前1時投稿でバイデン発言に即反応したと言えます。バイデンの発言にはネタニヤフ政権のメンバーから「イスラエルは米国の州の一つではない」と反発が広がり、米国でも議会共和党から「同盟国に対し、けしからん」といった批判が噴出しました。
その後ネタニエフ首相は両国関係のこれ以上の悪化を懸念してか、米国主導の「民主主義サミット」でオンライン演説、「両国は時折、意見が食い違うが、同盟は揺るがない」と力説して見せました。
ネタニエフは法案決定を延期したものの、連立の相手である極右の「宗教シオニズム」(党首スモトリッチ財務相)や「ユダヤの力」(党首ベングビール国家治安相)など、宗教政党はあくまでも譲歩をせずに改変を進めるよう要求するのは必至です。
ジレンマに陥ったネタニエフ政権は改革案で妥協をはかりつつ、極右政党の反発を恐れ、パレスチナ人への排外主義的攻撃を仕掛ける可能性があります。