[1234]治安維持権力が大きくなる

 3年ぶりに「人数制限のない」メーデーが29日に開催され私も組合員仲間と参加しました。しかし今回は籠の中のメーデーとでも言うべき集会でした。会場は従来のように公園が開放されず、高いネットでサッカーコート一つ分の広さに囲われ出入口は1ヶ所、そこで手荷物検査されるといった窮屈なものでした。集会中に事件を警戒する制・私服警察官がわがもの顔で巡回するといったものものしい雰囲気でした。

 4月30日の朝日新聞が「遮断の時代」という見出で特集記事を組んでいます。その中で政治学者の中島岳志さんの意見が紹介されています。中島さんは、和歌山の岸田首相襲撃事件を速報で知って「もっとも恐れていたテロの模倣連鎖起きた」と思ったと言います。

 中島さんは「今の状況は、1920年代とよく似ている」、「『生きづらさ』が暴力性を帯び、財閥や政治家に矛先が向けられた」と言い、テロがつづく時代には「市民は取り締まってほしいと望む。治安維持権力者が大きくなる」と指摘しています。

和歌山の事件の後、要人警備が強化されてきました。

 冒頭言いましたが、岸田首相が来たメーデーの様子はそれが端的に示されていました。

 中島さんは強化された警備にたいする市民側の心理を懸念して推察しています。

「『仕方ないよね』という空気で誰も文句を言わない。『あぶないやつ』だと思われたくない」と。こういう気持ちで治安維持の強化を容認していけば、「市民側で忖度するようになり、着実にものが言えない社会になっていく」と語っています。

 実際に社会はその方向に動いています。