政府はトリチウム入り処理水の海洋放出にたいする中国の水産物禁輸に対応して5本の対応策を発表しました。対策にあてる金額は基金800億円に予備費207億円を加え1007億円です。足りなくなるでしょう。朝日新聞によれば対策内容は次の通りです。
①国内消費拡大•生産持続対策
②風評影響に対する内外での対応
③輸出先の転換対策
④国内加工体制の強化対策
⑤迅速かつ丁寧な賠償
岸田首相は①にかんして国内消費を促すための「国民運動」を呼びかけています。
こうなるとは思わなかったのでしょう。今更バタバタしても遅く、水産業への影響は大きいと思います。
国民運動は中国にたいする排外主義的キャンペーンを伴うものになっています。「科学的根拠のない中国の対応」という対応は日本政府の主張です。「科学的根拠」は原発推進の立場に立つIAEAやICRPが言う「国際基準」基準です。
ウィキペディアによればIAEA(国際原子力機関)は1957年にアメリカが主導してつくられた国連の保護化にある自治機関です。原子力と放射線医学を含む核技術の平和利用と原子力の軍事利用の防止が目的とされています。ICRPは(国際放射線防護委員会)はイギリスのNPOで専門家の立場から放射線防護に関する勧告を行う民間の国際学術組織です。基準が緩すぎるという批判も厳しすぎる、あるいは間違っているという批判もあります。設立の目的、経緯からしてもこれら機関が示す安全基準は客観的科学的とは言えません。福島のトリチウム水海洋放出に関して有機結合型トリチウムによる内部被曝の危険性にかんしてはふれていません。したがって日本政府が言う「科学的根拠」は誤っています。
中国は自国原発からのトリチウム放水を棚にあげていますが、福島第一原発処理水をデブリを冷却した汚染水として強く反対し日本の水産物禁輸を続けています。放水を止めなければ、日本の水産業ダメージは大きくなる一方です。
さらに日本政府の処理水の放出強行は中国との国家的対立をエスカレートさせつつあります。今、台湾危機より、「放水危機」というべき状況です。