[1505]アメリカのMAGA運動

 アイオワ州ニューハンプシャー州共和党予備選でトランプが圧勝しました。

 51歳のニッキー・ヘイリー元国連大使は、米大統領選史上最高齢となる81歳のバイデンと77歳のトランプによる再戦を望まない若年層や無党派層に支持を呼びかけてきました。しかしヘイリーは思うように無党派層を取り込むことができません。

 トランプはMAKE AMERICA GRATE AGAINというスローガンを連呼し、没落した中間層の気持ちに「希望」をよびおこすMAGA運動と呼ばれる運動をつくっています。資本のグローバル化によって失業したラストベルトの労働者に象徴される中間層の労働者がMAGA運動に参加し偉大なアメリカを取り戻す夢をトランプに託しているようです。アメリカは富める人は益々富み、貧しい人は益々貧しくなる傾向が顕著となりました。新型コロナ危機の中で感染しても健康保険に入ってない人が多く、亡くなった人は110万人もいました。

 貧困率は上がる一方です。2021年のアメリカの相対的貧困率は11•6%となり2020年から40万人増え、約3790万人になりました。

註∶相対的貧困率日経新聞参照)

 国や地域の中での経済格差を測る代表的な指標のひとつ。所得が集団の中央値の半分にあたる貧困線に届かない人の割合を指す。税金や社会保険料を除いた手取りの収入を世帯の人数で調整した「等価可処分所得」が比較の物差しになる。

日経新聞は次のようにいいます。

産業界も危機感を持ち始めたアメリカ政治

 MAGA共和党の新たな選挙戦略は、これまで政治的影響が限定的であった選挙運営の実務そして審判、ルール自体を入れ替えようとする前代未聞の試みだ。

 そもそも正常に機能してきた選挙制度で、2020年大統領選以降にまかれた不正選挙という陰謀論の種。2020年大統領選でのクーデター未遂後も押しつぶされることなく芽を出し、2022年中間選挙に向け成長し続けている。次期以降の大統領選には花を咲かせ、アメリカ史上初めて、国民が選んだ大統領を覆す、あるいは憲法が機能しない危機で大混乱となるリスクも秘めている。

 アメリカで2世紀以上も続いてきた選挙制度が容易に機能不全となることはないにしても、いずれは選挙制度に対する国民の信頼が失われることで、アメリカの民主主義は根底から揺らぎかねない。

 ハーバード大学ビジネススクールレベッカヘンダーソン教授は「民主主義の脆弱化は資本主義の正当性と健全性にとって重大な脅威」と指摘している。今日、全米商工会議所をはじめアメリカ産業界も危機感を持ち民主主義重視の姿勢を見せ始めている。

 アメリカ産業界では従来の「企業の社会的責任(CSR)」だけでなく、「企業の政治的責任(CPR)」が語られるようになった。つまり従来と違い、アメリカ世論は社会問題解決において企業が傍観していることを許さず、民主主義維持のために政治面でも企業に積極的関与を求める時代に入った。

以上日経新聞

 日経新聞が米民主党的な危機感を吐露しています。企業の政治的責任とは企業として米民主主義擁護運動を展開しなければならないということです。

 資本家が政治に直接的に関与するのは危険です。