[1482]世界で大型選挙

 

 2024年は世界各国・地域で大型選挙が相次いで行われます。

 1月の台湾総統選を皮切りに3月にロシア大統領選、4月に韓国、4〜5月にインドでそれぞれ総選挙が続きます。11月の米大統領選は国際情勢を左右します。ウクライナ戦争やパレスチナ戦争の情勢と関わり方が選挙の論点となるのは必至でしょう。岸田首相は「これからの10年を決める1年になるかもしれない」と話しているといいます。

 日経新聞はリードで次のようにまとめています。

「日本は『法の支配』を結節点に国際秩序の維持を探る。」

法とは「国家権力発動の規範的形式」(長谷川正安)といえます。

 したがって「法の支配」とは支配階級がみずからの階級的な諸利害を貫徹する際に、被支配階級との力関係にふまえてつくった法律に則って権力を発動することといっていいでしょう。

 選挙は各国で法にもとづき数年に1度行われ、資本制国家を統治する代表者を決めます。戦後の国際秩序はロシアのウクライナ侵略によって壊され、ロシアの侵攻に抗議するアメリカがイスラエルのガザ侵攻を支持することによって国際的支配秩序の法(のり)は崩壊したと言っていいでしょう。 

 日経新聞はそういう情勢の認識にふまえて、日本は「法の支配」を基準として国際秩序の維持を探るべきだと言いたいのでしょう。

 選挙があっても政権にオーソリティがない国もあります。

 1月、バングラデシュで選挙があります。既にここまで複数の反政府デモを繰り広げてきた主要野党バングラデシュ民族主義党(BNP)は、幹部らが投獄もしくは国外追放されています。同党は、ハシナ首相が辞任し、総選挙に先駆けて暫定政権へ権力を移譲しなければ投票をボイコットすると迫っています。ハシナ氏は15年に及ぶ冷酷な統治を継続する公算が大きいといわれています。

 バングラディシュの政府のように国家の統治者は法治の名のもとに時には暴力を行使しても政治的経済的な秩序を維持しようとします。

 マルクスは今から176年前次のように言いました。

 「大工業と世界市場が建設されて以来、ブルジョア階級は近代代議制国家においてひとり占めの政治支配を闘いとった。近代的国家権力は、全ブルジョア階級の共通の事務をつかさどる委員会にすぎない。」(1848年共産党宣言

 近代代議制支配形態は今や世界中の国家の統治形態となっています。

 CNNによれば今年の選挙は世界の半分以上の人口を抱える国々が選挙を実施し、そこに暮らす40億人超が票を投じる計算になるといわれています。

 民主主義(統治)とか権威主義(統治)とかと区別されていますが本質的にはどちらも近代代議制統治形式のイデオロギーと形態です。

 選挙の本質は何年かに1度資本家階級の政治的代表者を決めるものでしかありません。しかし2024年の選挙でどういう代表を選ぶかで当面の危機の打開の方向性が違ってくるのは確かです。

注目しなければなりません。

つづく