[1521]動きはじめた軍需産業

 

 1月初旬から防衛省に迎撃ミサイル「パトリオット」に関する企業の問い合わせが続いています。政府は、昨年末に国内生産品を対米輸出すると決め発表しました。それを知って国内の武器生産企業は色めき立っています。

 日経新聞は、安全保障と技術革新の両面で自国の防衛産業が必要な時代となり、政府は増額した防衛費を国産品に振り向け、企業はそれを成長機会と捉え始めたと書いています。

 

「ここに決めよう」。

 IHIは近く、東京・市ケ谷防衛省から目と鼻の先にあるオフィスビルに新たな事務所を置きます。政府が英国やイタリアと共同開発する次期戦闘機開発プロジェクトの拠点として使うと言われています。IHIは防衛部門の体制を現在のおよそ1・5倍の850人に拡大することを検討しています。

 政府は27年までの5カ年で43兆円の防衛費を組み、軍事技術に使えそうな技術を持つ新興企業200社をリストアップしています。その他にスタートアップ企業から売り込みの連絡が政府にあるといいます。アメリカの軍事メーカーもチャンスと見ています。米BAEシステムズロッキードマーチンはアジアの統括機能を日本に移すと決めました。

 日経新聞は「防衛産業を探る」というタイトルの特集記事第一回目の終わりに次のように言います。

「平和主義の旗は降ろさず、抑止力を高め、防衛技術を使った成長も探る。『三兎』を追う新たな防衛産業のあり方を見いだすことが日本という国家の将来像探しにもつながる」

 今の日本は集団的自衛権の行使も敵基地攻撃能力の保持も「平和主義」の具現化というでしょう。侵略戦争の反省の上に心に誓った戦後日本の平和主義を、政府支配階級は放棄しました。

 今の日本政府が想いえがく「平和主義」的国家像は武器を゙つくり、売ることのできる「一流の軍事大国」日本です。

 すでに、今の日本社会は「戦後日本」という平和主義を包含した概念で規定することはできません。