[1284]兵器の国産を追求、「新たな危機」で政府方針原案

 

 日本が危ない時代に入ってきました。しかも動きが速い。

 防衛産業を支援する「防衛装備品生産基盤強化法」に基づき、防衛相が策定する基本方針の原案がメディアを通じて明らかにされました。「防衛装備品生産基盤強化法」という名の法案が国会を通過し成立たのは6月7日でした。抽象的でわかりにくいですが、要するに兵器産業を支援、武器輸出を促進し国有化することをも可能にする法律です。

 立憲民主党まで賛成して可決されました。

 この法にもとづいた基本方針が政府によって早くもつくられようとしています。読売新聞の記事をまとめます。

 今後新たに弾薬や艦船などの兵器品を取得する際、「国産取得を追求する」と明記されました。輸出については、「官民一体で推進」する方針も盛り込まれました。  新たな方針は、2014年に策定された「防衛生産・技術基盤戦略」に代わるものです。基盤強化の方向性が具体的に明示されており、10月の法施行に向け、近く公表する予定です。

 原案では、中国や北朝鮮、ロシアの軍事活動の活発化に言及し、日本を取り巻く安全保障環境が「新たな危機」に入ったとの認識にふまえ、自衛隊の任務遂行のためには「防衛産業の重要性はますます高まっている」と指摘。 日本の防衛産業を巡っては、利益率の低さなどを理由に撤退する企業が相次いでおり、原案でも「基盤の弱体化の進展」への危機感が示されています。 装備品の国産取得では、「継戦能力」のほか、通信や暗号技術に関して、「機密保持の観点から外国に依存すべきでない」とされているといいます。

 国産取得が困難な場合には、国際共同開発などを推進する考えも強調した。一方で、供給網を日本だけで完結させることが不可能なことから、「同盟国・同志国と相互に補い合う関係を構築することが不可欠」とも強調し、同盟国・同志国との間で、装備品の共通化を図るともいわれています。同法は、装備品の輸出について、相手国のニーズに合わせて、装備品のデザインや配線などの仕様を変える場合、企業に助成金を交付する規定を設けている。原案では、助成金の交付対象として、大手のプライム企業に加え、設計の一部を担うサプライヤー企業も加えられています。 

以上、読売新聞の要旨

インドネシアにF15エンジン部品輸出の案

 このような武器輸出促進などの方針案が流されるとほぼ同時に、インドネシアへのF15戦闘機のエンジン部品輸出案がメディアを通して明らかにされました。改修近代化される自衛隊機100機分で不要となる部品を「有効活用」する案です。

 日本政府は、中国の東南海進出に対抗する軍事的包囲網をアメリカとともに構築しつつあり、インドネシアとの軍事的協力関係を強化したいのは明らかです。

 天皇インドネシア訪問の最中、この案が発表されたところに私は不気味さ感じます。